デフォルトでは、TCP/IP は、複数のネットワークインタフェースを持つマシンをすべてルーターとみなします。しかし、ルーターをマルチホームホストに変更することもできます。マルチホームホストとは、複数のネットワークインタフェースを持っているけれども、ルーティングプロトコルの実行も IP パケットの転送もしないマシンのことです。一般に、次のような種類のマシンはマルチホームホストとして構成します。
NFS サーバー、特に大規模なデータセンターは、複数のネットワークに接続することによって、多数のユーザー間でファイルを共有できるようになります。この種のサーバーはルーティングテーブルを備えている必要はありません。
データベースサーバーは、NFS サーバーの場合と同じ目的で複数のネットワークインタフェースを持つことにより、多数のユーザーに資源を提供できます。
ファイアウォールゲートウェイは、企業のネットワークとインターネットなどの公共ネットワークとの間の接続を提供するマシンです。管理者は、セキュリティの手段としてファイアウォールを設定します。ファイアウォールとして構成されたホストは、自己に接続されているネットワーク相互間でのパケットの受け渡しを行いません。しかし、許可されたユーザーに対しては、通常どおり ftp や rlogin などの標準 TCP/IP サービスを提供します。
TCP/IP は、複数のネットワークインタフェースを持つマシンのすべてをルーターとみなすので、そのマシンをマルチホームホストに変えるには、いくつかの操作が必要になります。
マルチホームホストにしたいマシン上でスーパーユーザーになります。
マシンにインストールされている追加の各ネットワークインタフェースについて、/etc/hostname.interface ファイルを 1 つずつ作成します。
次のように入力します。
% touch /etc/notrouter
このコマンドで、/etc/notrouter という名前の、空のファイルが作成されます。
マシンをリブートします。
マシンをリブートすると、起動スクリプトは /etc/notrouter ファイルの有無を確認します。このファイルが存在する場合は、起動スクリプトは、in.routed -s も in.rdisc -r も実行しません。 また、ifconfig により “up” として構成されているすべてのインタフェースで IP 転送がオフに設定されます。この処理は、/etc/gateways ファイルが存在しているかどうかに関係なく行われます。これで、マシンはマルチホームホストになります。