Solaris のシステム管理 (IP サービス)

IPsec とは

IPsec では、IP 内に安全なデータグラム認証と暗号化の機構を含むセキュリティアソシエーション (SA) を提供します。IPsec を呼び出すと、IPsec グローバルポリシーファイルで有効にしておいた IP データグラムにセキュリティ機構が適用されます。アプリケーションで IPsec を呼び出すと、ソケット単位レベルで IP データグラムにセキュリティ機構が適用されます。

図 19–1は、IPsec を出力パケットで呼び出したときに、IP アドレス指定パケットが IP データグラムの一部として処理されるようすを示します。フロー図からわかるように、認証ヘッダー (AH) とカプセル化されたセキュリティペイロード (ESP) エンティティをパケットに適用できます。そのあとの節では、認証アルゴリズムと暗号化アルゴリズムとともに、これらのエンティティを適用する手順を説明します。

図 19–1 出力パケットプロセスに適用された IPsec

出力パケットはまず ESP によって、次に AH によって保護されます。その後、パケットはトンネルまたは物理インタフェースに送られます。

図 19–2 は、IPsec 入力プロセスを示したものです。

図 19–2 IPsec を入力パケットプロセスに適用

IPsec はまず入力パケットの AH ヘッダーを、次に ESP ヘッダーを処理します。十分に保護されないパケットはドロップされます。