Solaris のシステム管理 (IP サービス)

リースポリシーの設定

リースとは、DHCP サーバーが特定の IP アドレスの使用を DHCP クライアントに許可する期間のことです。管理者は、サーバーの初期構成時に、サイト全体に適用するリースポリシーを指定する必要があります。このポリシーには、リース期間やクライアントがこのリースを更新できるかどうかを指定します。 サーバーは提供された情報を使用して、構成時に作成するデフォルトマクロ内のオプションの値を設定します。管理者は、作成する構成マクロでオプションを使用することによって、特定のクライアントや特定のクライアントタイプごとに、異なるリースポリシーを設定することもできます。

リース期間は、リースが有効な時間数、日数、または週数として指定されます。クライアントに IP アドレスが割り当てられると (あるいは、クライアントが、すでに割り当てられている IP アドレスのリースを再度ネゴシエーションすると)、クライアントの DHCP 肯定応答のタイムスタンプにリース期間の時間数が加算され、リース満了日時が計算されます。たとえば、DHCP 肯定応答のタイムスタンプが 2001 年 9 月 16 日 9:15 AM で、リース期間が 24 時間の場合、リース満了時間は 2001 年 9 月 17 日 9:15 AM になります。リース満了日時はクライアントの DHCP ネットワークレコード中に保存され、DHCP マネージャまたは pntadm を使って表示されます。

リース期間には、期限切れの IP アドレスを速やかに再利用できるように比較的小さな値を設定します。ただし、リース期間は、DHCP サービスが使用できなくなっても、その DHCP サービスが動作するシステムの修理が終わるまでクライアントが動作を継続できるような長さでなければなりません。一般には、サーバーの予想停止時間の 2 倍を指定します。たとえば、故障部品を検出、交換し、サーバーをリブートするのに 4 時間かかるとすれば、8 時間をリース期間に指定します。

リースネゴシエーションオプションは、リースが満了する前に、クライアントが提供されたリースについてサーバーとネゴシエーションできるかどうかを決めるものです。リースのネゴシエーションが可能な場合には、クライアントがリースの残り時間を常に監視し、リース期間の半分が経過すると、リース期間を元の値に復元する要求を DHCP サーバーに送ります。IP アドレスの数より多くのシステムが存在するために IP アドレスの使用時間を制限したい場合には、リースのネゴシエーションを無効にすることができます。しかし、IP アドレスの数が十分にある場合は、リースネゴシエーションを有効にすべきです。これによって、NFS や telnet セッションなどの TCP 接続を中断するおそれがあるネットワークインタフェースの停止や新しいリースの取得を、クライアントに強制する必要がなくなります。管理者は、サーバー構成時に、リースネゴシエーションをサイト全体に対して有効にすることができます。あるいは、構成マクロの LeaseNeg オプションを使用すれば、特定のクライアントやクライアントタイプに対してのみ有効にすることができます。


注 –

ネットワークでサービスを提供するシステムはそれ自身の IP アドレスを保持すべきであり、短期的なリースに依存すべきではありません。このようなシステムで DHCP を使用する場合は、常時リースにより IP アドレスを割り当てるのではなく、予約済みの IP アドレスを手動で割り当てるべきです。これによって、このシステムの IP アドレスが使用されなくなったときには、それを検出することができます。