システムタイプは、ルート (/) と /usr ファイルシステム (スワップ領域を含む) にアクセスする方法によって決まる場合があります。たとえば、スタンドアロンとサーバーシステムでは、これらのファイルシステムをローカルディスクからマウントしていますが、その他のクライアントでは、これらのファイルシステムをリモートからマウントし、サーバーから提供されるサービスに依存しています。次の表にそれぞれのシステムタイプの特徴を示します。
表 7-1 一般的なシステムタイプの特徴
システムタイプ |
ローカルファイルシステム |
ローカルスワップ領域 |
リモートファイルシステム |
ネットワーク利用度 |
相対パフォーマンス |
---|---|---|---|---|---|
サーバー |
/ /usr /home /opt /export/home /export/root |
あり |
なし |
高 |
高 |
スタンドアロンシステム |
/ /usr /export/home |
あり |
なし |
低 |
高 |
ディスクレスクライアント |
なし |
なし |
ルート (/) スワップ /usr /home |
高 |
低 |
AutoClient システム |
キャッシュルート (/) キャッシュされた /usr |
あり |
/var |
低 |
高 |
アプライアンス |
なし |
なし |
なし |
高 |
高 |
ルート (/) と /usr ファイルシステム、およびスワップ領域
/export と /export/home ファイルシステム。クライアントシステムをサポートし、ユーザーにホームディレクトリを提供する
アプリケーションソフトウェアを格納する /opt ディレクトリまたはファイルシステム
サーバー上には、他のシステムをサポートするために次のソフトウェアも格納できます。
サーバーとは異なるプラットフォームで、別のリリースまたはクライアントを稼働させるディスクレスシステムまたは AutoClient システム用のオペレーティングシステム (OS) サービス
ネットワークに接続されたシステムがリモートインストールを実行するのに必要な Solaris CD のイメージソフトウェアとブート用ソフトウェア
ネットワークに接続されたシステムが カスタム JumpStartTM インストールを行うのに必要な JumpStart ディレクトリ
「ネットワークに接続されたスタンドアロンシステム」は、ネットワーク上の他のシステムと情報を共有できますが、ネットワークから切り離されても機能できます。
スタンドアロンシステムは、ルート (/)、/usr、/export/home の各ファイルシステムとスワップ空間を含むハードディスクを自ら持つため、独立して動作できます。つまり、スタンドアロンシステムは、オペレーティングシステムのソフトウェア、実行可能ファイル、仮想メモリ空間、ユーザーが作成したファイルにローカルにアクセスできます。
スタンドアロンシステムに必要なファイルシステムを保持するには、十分なディスク領域が必要です。
「ネットワークに接続されないスタンドアロンシステム」は、ネットワークに接続されていない点を除き、ネットワークに接続されたスタンドアロンシステムと同じです。
「ディスクレスクライアント」とは、ディスクが搭載されておらず、必要なすべてのソフトウェアおよび記憶装置をサーバーに依存しているシステムのことです。ディスクレスクライアントには、サーバーからリモートで、ルート (/)、/usr、および /home ファイルシステムがマウントされます。
ディスクレスクライアントでは、ネットワークを介してオペレーティングシステムソフトウェアおよび仮想メモリ領域に継続的にアクセスする必要があるため、かなりのネットワークトラフィックが発生します。ディスクレスクライアントは、ネットワークから切り離されたり、そのサーバーが正しく機能しない場合は機能できません。
ディスクレスクライアントの概要については、「ディスクレスクライアント管理の概要」を参照してください。
AutoClient システムはインストールおよび管理方法においては、ディスクレスクライアントとほとんど同じです。AutoClient システムには、次の特徴があります。
サーバーから個々のルート(/) ファイルシステムおよび /usr ファイルシステムをスワップおよびキャッシュするため最低 100 MB のローカルディスクが必要
サーバーが使用できない場合、サーバーのキャッシュにアクセスできるように設定可能
ほかのファイルシステムおよびソフトウェアアプリケーションへのアクセスは、サーバーに依存
アプライアンス (たとえば、Sun Ray アプライアンス) は、管理を必要としない X ディスプレイデバイスです。このデバイスには、CPU、ファン、ディスクがなく、メモリもわずかしか搭載されていません。アプライアンスは Sun ディスプレイモニタに接続されていますが、アプライアンスユーザーのデスクトップセッションは、サーバーで実行され、その結果がユーザーのモニタに表示されます。ユーザーの X 環境は自動的に設定されます。この環境の特徴は、次のとおりです。
ほかのファイルシステムおよびソフトウェアアプリケーションへのアクセスは、サーバーに依存
ソフトウェアの一元管理およびリソース共有機能を提供
永続的なデータがない、FRU (現場交換可能ユニット) として使用
次の特徴に基づいてそれぞれのシステムタイプを比較することにより、使用中の環境にどのシステムタイプが適切かを判断することができます。
一元管理
システムを FRU (現場交換可能ユニット) として扱えるか。これは、時間がかかるバックアップや復旧操作を必要とせずに、またシステムデータを失わずに、障害が発生したシステムを直ちに新しいシステムと交換できることを意味する
システムをバックアップする必要があるか。数多くのデスクトップシステムのバックアップを実行するには、時間とリソースの点で多大の費用コストがかかる場合がある
システムのデータは、中央サーバーから変更できるか
クライアントシステムのハードウェアを操作せず、短時間で簡単に、システムを中央サーバーからインストールできるか
性能
この構成は、デスクトップで使用しても性能が低下しないか
ネットワークにシステムを追加すると、既存のネットワーク上のシステムの性能に影響を与えるか
ディスク使用率
この構成を効果的に導入するには、どれくらいのディスク容量が必要か
次の表では、各システムタイプの順位をカテゴリ別に表示しています。1 は、最も効果があることを意味します。4 は、最も効果が低いことを意味します。
表 7-2 システムタイプの比較
システムタイプ |
一元管理 |
性能 |
ディスク使用率 |
---|---|---|---|
スタンドアロンシステム |
4 |
1 |
4 |
ディスクレスクライアント |
1 |
4 |
1 |
AutoClient システム |
1 |
2 |
2 |
アプライアンス |
1 |
1 |
1 |