Solaris のシステム管理 (上級編)

ディスク割り当て制限の設定

ディスクの割り当て制限を設定することにより、ユーザーが利用できるディスク容量と、i ノードの数 (おおよそファイルの数に相当) を制限できます。これらの割り当て制限は、ファイルシステムがマウントされるたびに自動的に有効になります。この節ではファイルシステム用にディスク割り当て制限を構成し、設定し、有効にする手順を説明します。

割り当て制限を設定する一般的な手順は次のとおりです。

  1. いくつかのコマンドを使用してファイルシステムにディスク割り当て制限を決め、システムがリブートし、そのファイルシステムがマウントされるたびに割り当て制限を確認することができます。/etc/vfstab ファイルにエントリを追加し、また、そのファイルシステムの一番上のディレクトリに quotas ファイルを作成する必要があります。

  2. まず 1 人のユーザー用に割り当て制限を設定し、それを他のユーザー用にコピーします。

  3. ディスク割り当て制限を実際に有効にする前に、他のコマンドを使用して、整合性をチェックします。このチェックでは、提案したディスク割り当て制限と現在のディスク使用率を比較して、矛盾しないことを確認します。

  4. 最後に、コマンドは 1 つ以上のファイルシステムでの割り当て制限を有効にします。

以上の手順により、あるファイルシステムがマウントされるたびに、そのファイルシステムのディスク割り当て制限が有効になるように設定できます。上記手順の特定の情報については、「割り当て制限の設定 (作業マップ)」を参照してください。

表 17-1 で、ディスク割り当て制限を設定するコマンドを説明します。

表 17-1 割り当て制限を行うコマンド

コマンド 

手順 

マニュアルページ 

edquota

各ユーザーの i ノード数とディスク容量に強い制限と弱い制限を設定する 

edquota(1M)

quotacheck

マウントされている各 UFS ファイルシステムを調べ、ファイルシステムのディスク割り当て制限ファイルに格納されている情報とファイルシステムの現在のディスク使用状況を比較し、矛盾を明らかにする 

quotacheck(1M)

quotaon

指定したファイルシステムの割り当て制限を有効にする 

quotaon(1M)

quota

マウントされているファイルシステムのユーザーの割り当て制限を表示し、割り当て制限が正しく設定されていることを確認する 

quota(1M)

割り当て制限設定のガイドライン

ユーザーの割り当て制限を設定する前に、各ユーザーに割り当てるディスク容量の大きさとファイル数を決定する必要があります。ファイルシステムの合計領域サイズを超えないようにする場合は、ファイルシステムの合計サイズをユーザー数に等分すればよいでしょう。たとえば、3 人のユーザーが 100M バイトのスライスを共有し、それぞれが同じディスク容量のサイズを必要とする場合は、各ユーザーに 33M バイトずつ割り当てます。

すべてのユーザーがそれぞれに割り当て制限を押し上げることがないような環境では、割り当て制限の合計がファイルシステムの合計サイズを超えるように個々の割り当て制限を設定することも可能です。たとえば、3 人のユーザーが 100M バイトのスライスを共有する場合は、それぞれに 40M バイトを割り当ててもよいということです。

あるユーザーについて edquota コマンドを使用して割り当て制限を決定すると、同じファイルシステム上の他のユーザーにも同じ割り当て制限プロトタイプとして利用できます。

割り当て制限を有効にする前に、まず UFS ファイルシステムの割り当て制限を構成し、各ユーザーの割り当て制限を設定して、quotacheck コマンドを実行することによって、現在のディスク使用状況と割り当て制限ファイル間の整合性をチェックします。システムがリブートされる機会がそれほど多くない場合、quotacheck コマンドを定期的に実行することをお勧めします。

edquota により設定した割り当て制限は、quotaon コマンドを使用して有効にしなければ強制的に設定されません。割り当て制限ファイルを正しく構成したら、システムがリブートし、そのファイルシステムがマウントされるたびに、割り当て制限は自動的に有効になります。