RBAC は、組織の情報資源を管理するときに、重要な役割を果たします。RBAC を計画する際には、RBAC の機能と組織のセキュリティ要件を十分に理解しておく必要があります。
RBAC の基本概念を理解します。
第 17 章「役割によるアクセス制御 (概要)」を参照してください。RBAC を使用したシステム管理は、従来の UNIX を使用した場合と大きく異なります。実装を開始する前に、RBAC の概念を理解する必要があります。詳細は、第 19 章「役割によるアクセス制御 (参照)」を参照してください。
セキュリティポリシーを調査します。
組織のセキュリティポリシーには、システムに対する潜在的な脅威を詳細に記述し、各脅威の危険性の分析結果に応じて適切な対応策を定義する必要があります。RBAC を使用したセキュリティ関連の作業とは切り離して行うことをお勧めします。推奨される役割とその構成をそのままインストールすることもできますが、セキュリティポリシーによっては RBAC の構成のカスタマイズが必要になることがあります。
組織に必要な RBAC を決定します。
組織のセキュリティ要件に応じて、さまざまなレベルの RBAC を使用できます。
RBAC を使用しない - すべての作業を root ユーザーとして実行できる。この例では、通常のユーザーとしてログインし、コンソールツールを選択するときに、ユーザーとして root を入力する
役割として root を使用する - この方式では、匿名の root ログインを防ぐために、すべてのユーザーが root としてログインできないようにする。代わりに、通常のユーザーとしてログインしてから、root 役割を引き受ける (「root を役割にする」を参照)
役割を 1 つだけ使用する - この方式では、Primary Administrator 役割だけを追加する。スーパーユーザーモデルと似た方式である
推奨される役割 - 容易に構成可能な 3 つの推奨される役割として、Primary Administrator、System Administrator、および Operator を利用できる。さまざまな責任レベルの管理者の業務が、推奨される役割と一致している組織の場合は、この方式が適している
カスタム役割 - 独自の役割を作成して、組織のセキュリティ要件を満たすことができる。新しい役割は、既存またはカスタマイズした権利プロファイルに基づいて作成できる
組織に適した推奨される役割を決定します。
推奨される役割とそのデフォルトの権利プロファイルの機能を確認します。推奨される役割を構成するときは、次の 3 つの権利プロファイルを使用できます。
Primary Administrator 権利プロファイル - すべての管理操作を実行できる役割用。ほかのユーザーに権利を与えたり、管理役割に関連付けられた権利を編集したりする。この役割のユーザーは、Primary Administrator 役割を割り当てたり、他のユーザーに権利を与えたりすることができる
System Administrator 権利プロファイル - セキュリティに関係しない管理操作を実行できる役割用。たとえば、System Administrator は新しいユーザーアカウントは追加できるが、パスワードを設定したり、ほかのユーザーに権利を与えたりすることはできない
Operator 権利プロファイル - バックアップと復元、プリンタ管理など、単純な管理操作を実行できる役割用
これらの権利プロファイルを利用すると、システム管理者は 1 つの権利プロファイルを使って推奨される役割を構成することができます。
これらの権利プロファイルを詳細に検証するには、権限ツールを使用して内容を表示します。標準的な権利プロファイルの概要については、「権利プロファイルの内容」 も参照してください。コンソールツールを使用すると、これらの役割と権利プロファイルをカスタマイズして、組織の要件を満たすことができます。
追加する任意の役割または権利プロファイルが組織に適切であるかどうかを判断します。
使用するサイトで、アクセスを制限する必要があるアプリケーションを調べます。セキュリティに影響するアプリケーション、サービス拒否が発生する可能性のあるアプリケーション、特別な管理者教育を必要とするアプリケーションには、RBAC を適用することをお勧めします。
役割に割り当てるユーザーを決定します。
必要な権限だけを割り当てるために、ユーザーの信頼レベルに応じて役割を割り当てます。ユーザーが使用しない操作の権限は割り当てないようにすると、問題が発生する可能性が減少します。