独自にカスタマイズした Managed Object Format (MOF) データは、Solaris 9 の WBEM Services 2.5 で使用される新しい Reliable Log Repository 書式に更新しなければなりません。
Solaris 9 オペレーティング環境にアップグレードする前に、JavaSpaces データストアの保存が必要になる場合があります。また、Solaris 9 にアップグレードしたあと、アップグレードする前に使用していた Solaris のバージョンに応じて、データを変換するか、またはマージしなければなりません。
データの変換またはマージ処理を正しく実行しないと、データが損失します。
次の表を使って、アップグレードする前に JavaSpaces データストアを保存するかどうか、および Solaris 9 オペレーティング環境にアップグレードしたあとに WBEM データを変換するか、あるいはマージするかを判別してください。
表 2-1 WBEM データを変換するかマージするかの判別
Solaris 9 にアップグレードする前のオペレーティング環境 |
アップグレードする前に JavaSpaces データストアを保存するか |
変換かマージか |
---|---|---|
Solaris 8 (Solaris WBEM Services 2.0) Solaris 8 6/00 (WBEM Services 2.0) Solaris 8 10/00 (WBEM Services 2.2) |
はい |
変換 |
Solaris 8 1/01 (WBEM Services 2.3) Solaris 8 4/01 (WBEM Services 2.4) Solaris 8 7/01 (WBEM Services 2.4) Solaris 8 10/01 (WBEM Services 2.4) Solaris 9 (Beta) (WBEM Services 2.5) |
いいえ |
マージ |
スーパーユーザーになります。
必要になるファイルをダウンロードするか、または現在の JavaSpaces データストアを保存するかを決めます。
より安全な方法は、ファイルをダウンロードするよりも、現在の JavaSpaces データストアを保存することです。
ファイルをダウンロードすることに決めた場合は、“WBEM データを変換する方法”に進みます。
現在の JavaSpaces データストアを保存することに決めた場合は、次のコマンドを入力します。
# cd /usr/sadm/lib/wbem # cp outrigger.jar outrigger.jar.tmp # cp outrigger-dl.jar outrigger-dl.jar.tmp # cp transient-outrigger.jar transient-outrigger.jar.tmp # cp jini-core.jar jini-core.jar.tmp # cp jini-ext.jar jini-ext.jar.tmp # cp tools.jar tools.jar.tmp # cp pro.zip pro.zip.tmp |
システムに現在インストールされている JDK のバージョンを判別して記録しておきます。
# /usr/bin/java -version java version "1.2.1" Solaris VM (build Solaris_JDK_1.2.1_04c, native threads, sunwjit) |
WBEM データを変換するには、元の JavaSpaces データストアを作成したときに使用していた JDK と同じバージョンを実行していなければなりません。
システムを Solaris 9 オペレーティング環境にアップグレードします。
スーパーユーザーになります。
CIM Object Manager を停止します。
# /etc/init.d/init.wbem stop |
wbemconfig convert コマンドを実行する前に CIM Object Manager を停止しなかった場合、データが損傷を受ける場合があります。
“JavaSpaces データストアを保存する方法”の手順で、現在の JavaSpaces データストアを保存したかどうかを確認します。
保存した場合は、その JavaSpaces データストアを復元します。
# cd /usr/sadm/lib/wbem # cp outrigger.jar.tmp outrigger.jar # cp outrigger-dl.jar.tmp outrigger-dl.jar # cp transient-outrigger.jar.tmp transient-outrigger.jar # cp jini-core.jar.tmp jini-core.jar # cp jini-ext.jar.tmp jini-ext.jar # cp tools.jar.tmp tools.jar # cp pro.zip.tmp pro.zip |
保存しなかった場合は、http://www.sun.com/solaris/wbem から UpgradeRepository.zip ファイルをダウンロードして解凍します。
UpgradeRepository.zip には、あとで WBEM データを変換するときに必要になる .jar ファイルが含まれています。
現在使用中の JDK がインストールされているディレクトリ以外の場所に、“JavaSpaces データストアを保存する方法”で記録したバージョンの JDK を入手してインストールします。
シンボリックリンクを、/usr/java に現在インストールされている JDK から、“JavaSpaces データストアを保存する方法”で記録したバージョンの JDK に変更します。
たとえば、現在インストールされている JDK を、/old_sdk 内の Solaris_JDK_1.2.1_04c に変更するには、次のように入力します。
# rm /usr/java # ln -s /old_sdk/Solaris_JDK_1.2.1_04c /usr/java |
JavaSpaces データストア内のデータを、Reliable Log 書式に変換します。
# /usr/sadm/lib/wbem/wbemconfig convert |
wbemconfig convert コマンドでは、独自にカスタマイズした MOF データは正しく変換できますが、変更を加えた CIM または Solaris MOF データは変換できません。変更を加えた CIM または Solaris MOF データは壊れます。
変更を加えた CIM または Solaris MOF データを新しいレポジトリに再コンパイルするには、mofcomp コマンドを使用して、クラス定義を含む MOF ファイルをコンパイルします。
/usr/java からのシンボリックリンクを、Solaris 9 オペレーティング環境とともに出荷された JDK ソフトウェアの場所に変更します。
たとえば、シンボリックリンクを /usr/java1.4 に変更するには、次のように入力します。
# rm /usr/java # ln -s /usr/java1.4 /usr/java |
CIM Object Manager を停止します。
# /etc/init.d/init.wbem stop |
CIM Object Manager を起動します。
# /etc/init.d/init.wbem start |
CIM Object Manager は、変換されたデータの入ったレポジトリファイルを、/var/sadm/wbem/logr/ ディレクトリに追加します。このディレクトリは、システムを Solaris 9 にアップグレードしたときに Solaris インストールプログラムが作成したものです。
システムを Solaris 9 オペレーティング環境にアップグレードします。
スーパーユーザーになります。
CIM Object Manager を停止します。
# /etc/init.d/init.wbem stop |
wbemconfig convert コマンドを実行する前に CIM Object Manager を停止しなかった場合、データが損傷を受ける場合があります。
以前のバージョンの Reliable Log にある元のデータを、Solaris 9 の Reliable Log 内のデータとマージします。
# /usr/sadm/lib/wbem/wbemconfig convert |
wbemconfig convert コマンドでは、独自にカスタマイズした MOF データは正しく変換できますが、変更を加えた CIM または Solaris MOF データは変換できません。変更を加えた CIM または Solaris MOF データは壊れます。変更を加えた CIM または Solaris MOF データを新しいレポジトリに再コンパイルするには、mofcomp コマンドを使用して、クラス定義を含む MOF ファイルをコンパイルします。