Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : FNS、NIS+ 編)

FNS ポリシーの対象となるクライアントアプリケーション

FNS ポリシーの 1 つの目的は、ファイルシステム、およびカレンダマネージャ、印刷ツール、ファイルマネージャ、メールツールなどの DeskSet ツール、またこれらのツールをサポートする RPC、電子メール、印刷サブシステムなどのサービスなどの、共通して使用されるツールに一貫性を持たせることです。


注 –

これらのツールの一部は、現在の Solaris オペレーティング環境 には実装されていません。ここでは、FNS の使用例を示すために挙げています。


アプリケーションの例 - カレンダサービス

ここでは、カレンダサービスというアプリケーションを変更して、FNS ポリシーを使用する方法について説明します。この例では、ユーザーから FNS 複合名が提示され、承認される手順を示します。

DeskSet のカレンダサービスは、一般的なクライアントサーバーアプリケーションです。カレンダサーバーは、複数のマシンで動作し、ユーザーのカレンダを保持します。カレンダマネージャ (cm) は、デスクトップで動作し、適切なサーバーにコンタクトして必要なカレンダを入手します。

カレンダサービスは、次のような簡単なレジストリまたは検索のモデルを使用して FNS を利用します。

前の例では、名前 calendar を使用して、カレンダの割り当てを示しています。RPC プログラムを RPC 管理者に登録するのと同じように、カレンダサービスの開発者は、名前 calendar を FNS 管理者に登録します。サービス名およびリファレンスの登録 を参照してください。


注 –

ここで使用した名前 calendar は 1 つの例です。FNS ポリシーによって、特定のサービス名が指定されるわけではありません。


カレンダサービスでは、カレンダをサイト、組織、およびホストに関連付け、一定の方法でそれらをネーミングして、FNS ポリシーをさらに利用できます。たとえば、カレンダを会議室 (サイト) と関連付け、ユーザーのカレンダのセットでその部屋の会議に利用可能な時間を見つけるのと同じように、サービスを使用して会議室のカレンダを多重表示できます。同様に、カレンダは、グループ会議の組織や、保守スケジュールを管理するホストに関連付けることができます。

カレンダマネージャ (cm) は、いくつかの簡単な手順に従って、ユーザーが指定する必要のあることを明確にします。

  1. cm では、ユーザーからの複合名を承認して、カレンダが要求されたオブジェクト名を構成するためのツールが使用されます。

    オブジェクトは、ユーザー、サイト、ホスト、または組織の名前になります。たとえば、ユーザーが名前 kuanda を入力すると、カレンダマネージャで複合名 user/kuanda が生成されます。このツールは、DeskSet アプリケーションのグループ間で共有できます。

  2. cm は、XFN インタフェースを使用して、接尾辞 /service/calendar を含む名前を作成し、カレンダ名を入手します。

  3. このカレンダ名は、プロセスの初期コンテキストに関連付けて解決されます。

    続いて、名前 user/kuanda/service/calendar が解決されます。同様に、ユーザーがサイト名 pine.bldg-5 を入力した場合は、cm で名前 site/pine.bldg-5/service/calendar が生成され解決されます。

    印刷やメールなどの他のサービスでも、類似の方法で FNS ポリシーを利用できます。