基本的な UUCP 構成を行うときに、Systems、Devices、および Dialers の各ファイルに加えて、この節で紹介するファイルを使用できます。
/etc/uucp/Dialcodes ファイルにより、/etc/uucp/Systems ファイルの Phone フィールドで使用するダイアルコードの省略名を定義できます。Dialcodes ファイルは、同じサイトにある複数のシステムが使用する基本的な電話番号について、付加的な情報を指定するために使用できます。
各エントリの書式は次のとおりです。
abbreviation dial-sequence
abbreviation は、Systems ファイルの Phone フィールドで使用される省略名で、dial-sequence は、個々の Systems ファイルのエントリがアクセスされたときにダイアラに渡されるダイアルシーケンスです。表 40–6 に、この 2 つのファイル間の対応関係を示します。
表 40-6 Dialcodes ファイルと Systems ファイルの間の対応関係
|
フィールド名 |
|
|
|
|
|
---|---|---|---|---|---|---|
Dialcodes |
Abbreviation |
Dial-Sequence |
|
|
|
|
Systems |
System-Name |
Time |
Type |
Speed |
Phone |
Chat Script |
表 40–7 に示すのは、Dialcodes ファイルのエントリの例です。
表 40-7 Dialcodes ファイルのエントリ
Abbreviation |
Dial-sequence |
---|---|
NY |
1=212 |
jt |
9+847 |
最初の行の NY は、Systems ファイルの Phone フィールドで使用される省略名です。Systems ファイルのエントリは、たとえば次のようになります。
NY5551212
uucico は、Systems ファイルから NY を読み取ると、Dialcodes ファイルから NY を探し、それに該当するダイアルシーケンス 1=212 を取得します。これは、New York City への電話呼び出しに必要なダイアルシーケンスです。このシーケンスは、1 という番号と、一時停止して次の発信音を待つことを示す等号 (=) と、市外局番 212 で構成されています。uucico はこの情報をダイアラに送り、再び Systems ファイルに戻って残りの電話番号 5551212 を処理します。
jt 9=847- というエントリは、Systems ファイル内の jt7867 などのような Phone フィールドを取り扱います。uucico は、jt7867 を含むエントリを Systems ファイルから読み取り、ダイアラとトークンのペアの中のトークンが \T であれば、9=847-7867 というシーケンスをダイアラに送ります。
/etc/uucp/Sysfiles ファイルでは、uucp と cu が Systems、Devices、Dialers ファイルとして使用する別のファイルを割り当てます 。cu の詳細は、cu(1C) のマニュアルページを参照してください。Sysfiles は次の目的に使用できます。
別の Systems ファイルにより、uucp のサービスとは異なるアドレスに対してログインサービスを要求できます。
別の Dialers ファイルにより、cu と uucp で異なるハンドシェークを割り当てることができます。
複数の Systems、Dialers、Devices ファイル。特に Systems ファイルはサイズが大きくなるので、いくつかの小さいファイルに分割しておくと便利です。
service=w systems=x:x dialers=y:y devices=z:z |
w には、uucico、cu、またはその両方をコロンで区切って指定します。x には、Systems ファイルとして使用される 1 つまたは複数のファイルをコロンで区切って指定します。これらは指定された順序で読み込まれます。y は Dialers ファイルとして使用される 1 つまたは複数のファイルです。z は Devices ファイルとして使用される 1 つまたは複数のファイルです。
完全パスで指定しない限り、各ファイル名は /etc/uucp ディレクトリからの相対パスとみなされます。
次に示すのは、標準の /etc/uucp/Systems に加えて使用するローカル Systems ファイル (Local_Systems) を定義する /etc/uucp/Sysfiles の例です。
service=uucico:cu systems=Systems :Local_Systems |
/etc/uucp/Sysfiles の中にこのエントリがある場合、uucico と cu はどちらも、まず標準 /etc/uucp/Systems ファイルを調べます。呼び出そうとしているシステムのエントリがそのファイル内にないか、またはそのファイル内の該当エントリの処理に失敗した場合は、両コマンドは /etc/uucp/Local_Systems を調べます。
上記のエントリの場合は、cu と uucico は、Dialers ファイルと Devices ファイルを共有します。
uucico サービス用と cu サービス用に別の Systems ファイルを定義した場合は、マシンは 2 つの異なる Systems のリストを持つことになります。uucico リストは uuname コマンドを使用して表示でき、cu リストは uuname -C コマンドを使用して表示できます。このファイルのもう1 つの例として、代替ファイルの方を先に調べ、デフォルトファイルは必要なときだけ調べる場合を次に示します。
service=uucico systems=Systems.cico:Systems dialers=Dialers.cico:Dialers \ devices=Devices.cico:Devices service=cu systems=Systems.cu:Systems \ dialers=Dialers.cu:Dialers \ devices=Devices.cu:Devices |
UUCP を使用するすべてのマシンは、ノード名と呼ばれる識別名を持っている必要があります。この名前は、リモートマシンの /etc/uucp/Systems ファイルに、chat スクリプトやその他の識別情報とともに格納されます。通常は、UUCP は、uname -n コマンドから返されるものと同じノード名を使用し、TCP/IP でもこの名前を使用します。
/etc/uucp/Sysname ファイルを作成することによって、TCP/IP ホスト名とは別の UUCP ノード名を指定できます。このファイルには、ローカルシステムの UUCP ノード名が入った 1 行のエントリが含まれています。