Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)

NFS バージョン 3 プロトコル

NFS バージョン 3 のプロトコルは、Solaris 2.5 で新機能として追加されたものです。相互運用性とパフォーマンスを向上させるために、いくつかの変更が行われました。これらをすべて有効に利用するには、NFS サーバーとクライアントの両方で、バージョン 3 プロトコルを使用する必要があります。

バージョン 3 では、サーバーで非同期の書き込みが可能になります。サーバーがクライアントの書き込み要求をメモリーに保存するので、効率が向上しました。クライアントは、サーバーが変更内容をディスクに反映させるのを待つ必要がないため、応答時間が短縮されます。サーバーは要求をバッチ処理することもできるので、サーバー上の応答時間も短縮されました。

NFS バージョン 3 では、どの操作でもローカルキャッシュに保存されているファイル属性が返されます。キャッシュの更新頻度が増えたため、ローカルキャッシュのデータを更新する操作を独立して行う必要性が少なくなります。したがってサーバーに対する RPC コールの回数が減少し、パフォーマンスが向上します。

ファイルアクセス権の確認処理も改善されました。バージョン 2 では、ユーザーが適切なアクセス権を持っていないリモートファイルをコピーしようとすると、「書き込みエラー」や「読み出しエラー」というメッセージが出力されました。バージョン 3 では、ファイルを開く前にアクセス権がチェックされるので、「オープンエラー」というメッセージが出力されます。

NFS バージョン 3 プロトコルでは、8K バイトの転送サイズ制限が解除されました。クライアントとサーバーは、バージョン 2 の 8K バイトの制限を受けることなく、サポートされている転送サイズをネゴシエートします。Solaris 2.5 から、転送サイズが 32K バイトにデフォルトで設定されています。