Dialer-Token-Pairs (DTP) フィールドには、ダイアラの名前とそれに渡すトークンが入ります。DTP フィールドの構文は次のとおりです。
dialer token [dialer token]
dialer の部分は、モデムかポートモニターの名前あるいは直接リンクデバイスの場合は direct または uudirect です。ダイアラとトークンのペアはいくつでも指定できます。dialer の部分がない場合は、Systems ファイル内の関連エントリから取得されます。token 部は、dialer 部の直後に指定できます。
対応するダイアラによっては、最後のダイアラとトークンのペアはない場合もあります。ほとんどの場合は、最後のペアには dialer 部だけが含まれます。token 部は、対応する Systems ファイルエントリの Phone フィールドから取得されます。
dialer 部の有効エントリは、Dialers ファイル内で定義されているものか、いくつかの特殊ダイアラタイプのうちの 1 つとなります。これらの特殊ダイアラタイプはコンパイル時にソフトウェア中に組み込まれているので、Dialers ファイル内に該当エントリがなくても使用できます。表 40–3 に、特殊ダイアラタイプを示します。
表 40-3 ダイアラとトークンのペア
TCP/IP ネットワーク |
|
トランスポートレベルインタフェースネットワーク (STREAMS を使用しないもの) |
|
トランスポートレベルインタフェースネットワーク (STREAMS を使用するもの) |
詳細は、UUCP Devices ファイル内のプロトコル定義を参照してください。
DTP フィールドの構造は、エントリに対応するデバイスに応じて 4 通りに設定できます。
直接接続モデム
コンピュータのポートにモデムが直接接続されている場合は、対応する Devices ファイルエントリの DTP フィールドに入るペアは 1 つだけです。このペアは、通常はモデムの名前です。この名前は、Devices ファイルの特定のエントリと、Dialers ファイル内のエントリとを対応付けるために使用されます。したがって、Dialer フィールドは、Dialers ファイルエントリの最初のフィールドに一致している必要があります。
Dialers hayes =,-, "" \\dA\pTE1V1X1Q0S2=255S12=255\r\c \EATDT\T\r\c CONNECT |
Devices ファイルエントリの DTP フィールドには、dialer 部 (hayes) だけが示されている点に注意してください。これは、ダイアラに渡す token (この例では電話番号) が、Systems ファイルエントリの Phone フィールドから取得されることを意味します (例 40–9 で説明するように、\T が暗黙で指定されます)。
直接リンク – 特定のコンピュータへの直接リンクの場合は、対応するエントリの DTP フィールドには、キーワード direct が入ります。これは、Direct、Sys-Name の両方の直接リンクエントリにもあてはまります (UUCP Type フィールドを参照)。
同じポートセレクタ上のコンピュータ – 通信したいコンピュータが、ローカルコンピュータと同じポートセレクタスイッチ上にある場合は、ローカルコンピュータはまずそのスイッチにアクセスする必要があります。そのスイッチが、相手のコンピュータとの接続を確立します。この種のエントリでは、ペアは 1 つだけです。dialer 部が Dialers ファイルのエントリと突き合わされます。
Dialers develcon ,"" "" \pr\ps\c est:\007 \E\D\e \007 |
token 部が空である点に注意してください。このように指定されている場合は、この部分が Systems ファイルから取得されることを示しています。このコンピュータ用の Systems ファイルエントリには、Phone フィールドにトークンが含まれています。このフィールドは、通常、コンピュータの電話番号用として確保されています。UUCP /etc/uucp/Systems ファイルを参照してください。この種類の DTP にはエスケープ文字 (\D) が含まれています。これは、Phone フィールドの内容が、Dialcodes ファイル内の有効エントリとして解釈されないことを保証します。
ポートセレクタに接続しているモデム – ポートセレクタに高速モデムが接続されている場合は、ローカルコンピュータはまずポートセレクタスイッチにアクセスする必要があります。そして、そのスイッチがモデムとの接続を確立します。この種類のエントリには、ダイアラとトークンのペアが 2 つ必要です。各ペアの dialer 部 (エントリの 5 番目と 7 番目のフィールド) が、Dialers ファイル内のエントリと突き合わされます。
Dialers develcon "" "" \pr\ps\c est:\007 \E\D\e \007 Dialers ventel =&-% t"" \r\p\r\c $ <K\T%\r>\c ONLINE! |
最初のペアでは、develcon がダイアラで、vent が Develcon スイッチに渡されるトークンです。トークンは、コンピュータに接続するデバイス (たとえば Ventel モデム) をダイアラに指示しています。各スイッチごとに設定が異なることがあるので、このトークンは各ポートセレクタに固有のものにします。Ventel モデムが接続された後、第 2 のペアがアクセスされます。このペアでは、Ventel がダイアラで、トークンは Systems ファイルから取得されます。
\T – Phone (token) フィールドを、/etc/uucp/Dialcodes ファイルを使用して解釈することを指定します。通常、モデム (Hayes、US Robotics など) に対応する各呼び出しスクリプトについて、/etc/uucp/Dialers ファイルにこのエスケープ文字を組み込みます。したがって、呼び出しスクリプトがアクセスされるまでは、解釈は行われません。
\D – Phone (token) フィールドを、/etc/uucp/Dialcodes ファイルを使用して解釈しないことを指定します。Devices エントリの末尾にエスケープ文字が何も指定されていないときは、デフォルトで \D があるものと想定します。\D は、/etc/uucp/Dialers ファイルの中でも、ネットワークスイッチ (develcon と micom) に関連したエントリで使用されます。