ユーザーごとに異なる方法で監査するには、/etc/security/audit_user ファイルを編集して、ユーザーごとに監査フラグを追加します。これらの監査フラグが指定されている場合は、audit_control ファイルのシステム全体で有効なフラグと組み合わせ、そのユーザーに対して監査するイベントクラスが決定されます。audit_user ファイル内のユーザーエントリに追加するフラグは、audit_control ファイルにあるデフォルトを次の 2 つの方法で変更します。
そのユーザーについて常に監査するイベントクラスを指定する
そのユーザーについて監査しないイベントクラスを指定する
audit_user ファイルの各ユーザーエントリには、次の 3 つのフィールドがあります。
username フィールド
always-audit フィールド
never-audit フィールド
これらの監査フィールドは、この順番で処理されます。always-audit フィールドは、指定されたクラスの監査を有効にします。never-audit フィールドは、指定されたクラスの監査を無効にします。
never-audit フィールド内で all 監査フラグを設定したままにする誤りがよくあるので注意してください。all 監査フラグを指定したままにすると、そのユーザーの監査がすべてオフに設定され、always-audit フィールドに設定されているフラグが無効になります。このフラグは、audit_control ファイルで設定されたマシン全体の監査フラグよりも優先されます。
ユーザーの never-audit フラグは、システムのデフォルト値よりも優先されます。システムのデフォルトを有効にしたい場合も考えられます。たとえば、ファイルシステムオブジェクトの正常な読み込みを除いて、ユーザー tamiko のすべてのイベントを監査するとします。この方法は、ユーザーのほとんどすべての動作を監査しますが、監査データは、すべてのデータ読み取りを監査した場合の約 4 分の 3 しか生成されません。このとき、システムデフォルトを tamiko に適用したいとします。次に 2 つの audit_user エントリ例を示します。
正しいエントリ
tamiko:all,^+fr: |
間違ったエントリ
tamiko:all:+fr |
1 つ目の例は、「ファイル読み取り動作を除くすべての動作を監査する」ことを表しています。2 つ目の例は「常にすべての動作を監査するが、正常なファイルの読み取り動作はまったく監査しない」ことを表しています。2 つ目の例は正しいエントリではありません。never-audit フィールドがシステムのデフォルト値を無効にするからです。1 つ目の例では期待どおりの結果になります。always-audit フラグには、all フラグへの例外が含まれています。never-audit フィールドにはフラグが指定されていないため、audit_control ファイル内のシステムデフォルト値は無効になりません。
正常終了したイベントと失敗したイベントは別々に取り扱われます。プロセスが生成する監査レコードの数は、イベントが正常終了した場合よりも失敗した場合のほうが多くなる可能性があります。