Solaris 9 12/03 インストールガイド

ミラーの一方を切り離してアップグレードする使用例

この例では、次の作業の手順を示します。

図 35–1 は、3 つの物理ディスクから成る現在のブート環境を示します。

図 35–1 RAID-1 ボリューム (ミラー) の一方を切り離し、アップグレードする

この図は、3 つの物理ディスクから成る現在のブート環境を示しています。

  1. ミラーを持つ新しいブート環境 second_disk を作成します。

    次のコマンドは、次のような処理を実行します。

    • lucreate コマンドにより、ルート (/) マウントポイントの UFS ファイルシステムが構成されます。d10 というミラーが作成されます。このミラー d10 に、現在のブート環境のルート (/) ファイルシステムがコピーされます。ミラー d10 にあるデータはすべて上書きされます。

    • 2 つのスライス c0t1d0s0 および c0t2d0s0 は、サブミラーとして指定されています。これら 2 つのサブミラーは、ミラー d10 に接続されます。


    # lucreate -c first_disk -n second_disk \
    -m /:/dev/md/dsk/d10:ufs,mirror \
    -m /:/dev/dsk/c0t1d0s0:attach \
    -m /:/dev/dsk/c0t2d0s0:attach 
    
  2. ブート環境 second_disk をアクティブ化します。


    # /usr/sbin/luactivate second_disk
    # init 6
    
  3. 別のブート環境 third_disk を作成します。

    次のコマンドは、次のような処理を実行します。

    • lucreate コマンドにより、ルート (/) マウントポイントの UFS ファイルシステムが構成されます。d20 というミラーが作成されます。

    • スライス c0t1d0s0 がその現在のミラーから切り離され、ミラー d20 に追加されます。このサブミラーの内容であるルート ( /) ファイルシステムは保持され、コピー処理は発生しません。


    # lucreate -n third_disk \
    -m /:/dev/md/dsk/d20:ufs,mirror \
    -m /:/dev/dsk/c0t1d0s0:detach,attach,preserve
    
  4. フラッシュアーカイブをインストールして、新しいブート環境 third_disk をアップグレードします。アーカイブはローカルシステムに存在します。-s および -a オプションで指定するオペレーティングシステムバージョンは、どちらも Solaris 9 リリースです。third_disk 上のファイルは、共有可能ファイルを除いてすべて上書きされます。


    # luupgrade -f -n third_disk \
    -s /net/installmachine/export/Solaris_9/OS_image \
    -a /net/server/archive/Solaris_9 
    
  5. ブート環境 third_disk をアクティブ化して、このブート環境からシステムを実行します。


    # /usr/sbin/luactivate third_disk
    # init 6
    
  6. ブート環境 second_disk を削除します。


    # ludelete second_disk 
    
  7. 次のコマンドは、次のような処理を実行します。

    • ミラー d10 を消去します。

    • c0t2d0s0 の連結の数を調べます。

    • metastat コマンドで見つけた連結を、ミラー d20 に接続します。metattach コマンドは、新しく接続した連結と、ミラー d20 の連結とを同期します。連結にあるデータはすべて上書きされます。


    # metaclear d10
    metastat -p | grep c0t2d0s0
    dnum 1 1 c0t2d0s0
    metattach d20 dnum
    
    num

    metastat コマンドで見つかった連結の数。

これで、新しいブート環境 third_disk がアップグレードされ、この環境からシステムが実行されます。third_disk には、ミラー化されたルート (/) ファイルシステムが含まれています。

図 35–2 は、上記の例のコマンドでミラーを切り離してアップグレードする手順の全体を示しています。

図 35–2 RAID-1 ボリューム (ミラー) の一方を切り離し、アップグレードする (続き)

この図は、ミラーの一方を切り離してアップグレードする手順を示しています。