Solaris 9 4/04 リリースへのアップグレード時に発生するバグ情報について説明します。
Solaris フラッシュアーカイブをインストールするとファイルが新規として現れ、更新が失敗します。Solaris フラッシュソフトウェアはクローンシステム上のファイルはマスターシステムの正確な複製であるかどうか検証します。reboot_processing スクリプトはリブート時に削除されません。その結果、このファイルはフラッシュソフトウェアによって新規ファイルとして認識されます。
次のエラーメッセージが表示されます。
New files detected: /etc/init.d/flash_reboot_processing |
回避方法: この問題が発生しないようにするには、次いずれかの回避方法を選択します。
クローンシステムに Solaris フラッシュアーカイブをインストールする前に flash_reboot_processing ファイルを削除します。
差分アーカイブをインストールする場合、カスタム JumpStart の forced_deployment キーワードを使用してインストールを強制します。クローンシステムで検出された新規ファイルはインストール時に削除されて、インストールが完了します。
差分アーカイブをインストールする場合、プロファイルでカスタム JumpStart の no_content_check キーワードを使用して、ファイルの検査機能をオフにします。ソフトウェアはファイルの検査を実行せず、ファイルは削除されないままインストールが完了します。
差分アーカイブを作成するときにファイルを除外できます。アーカイブを作成中に、ファイルはファイルフィルタに追加されます。すると、アーカイブインストール時にファイルは無視されます。次の手順に従ってください。
マスターシステムを起動します。
アーカイブ作成時に /etc/init.d/flash_reboot_processing ファイルを除外するには、次のコマンドを入力します。
# flarcreate -n archive-name -A unchanged-master-image-dir-x \ /etc/init.d/flash-reboot-processing path/filename |
差分アーカイブの作成時に、-M オプションを使用すると、ファイルの検査をオフにできます。ファイルのマニフェストは作成されません。その結果、クローンシステム上のファイルは検査されません。次の手順に従ってください。
マスターシステムを起動します。
-M オプションを使用してファイルの検査をオフにするには、次のコマンドを入力します。
# flarcreate -n archive-name -A unchanged_master_image_dir -M path/filename |
ここで、archive-name は、アーカイブにつける名前です。
-A オプションには、unchanged-master-image-dir 引数で変更前のマスターイメージディレクトリを指定します。新しいシステムイメージと unchanged-master-image-dir 引数で指定したイメージを比較して、差分アーカイブを作成します。
path には、アーカイブファイルを保存したいディレクトリパスを指定します。パスを指定しないと、 flarcreate コマンドは現在の作業ディレクトリにアーカイブファイルを保存します。
filename には、アーカイブファイルの名前を指定します。
詳細については、『Solaris 9 4/04 インストールガイド』を参照してください。
Solaris Live Upgrade で luupgrade(1M) コマンドに -i オプションを指定して、アクティブでないブート環境をアップグレードした場合、言語によってはインストールプログラムが表示するテキストが判読不能になります。これは、現在のブート環境にはあるが古いリリースには存在しないフォントを、インストールプログラムが要求した場合に発生します。
回避方法: 次のいずれかを実行してください。
SOFTWARE 1 of 2 CD、2 of 2 CD、および LANGUAGES CD を統合したネットワークインストールイメージを使用してインストールします。
システムの環境変数を設定し、C ロケールを有効にします。
Solaris 8 ソフトウェアから Solaris 9 またはそれ以降のリリースへのアップグレードの際、SUNWjxcft パッケージが削除されるときに、次のようなエラーメッセージが upgrade_log ファイルに記録されます。
Removing package SUNWjxcft: Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.upr Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.scale Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.alias Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.upr Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.scale Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.alias Removal of <SUNWjxcft> was successful |
回避方法: このエラーメッセージは無視してください。アップグレード後の環境で問題は発生しません。
/etc/init.d/sshd デーモンから他社の Secure Shell (OpenSSH など) を実行しているシステムの場合、Solaris 9 4/04 リリースにアップグレードすると、既存の Secure Shell デーモンが使用できなくなります。アップグレード時に、Solaris 9 4/04 のソフトウェアが、Solaris 9 4/04 の sshd で /etc/init.d/sshd の内容を上書きし、既存の sshd が失われます。
回避方法 : 次のいずれかを実行してください。
システムに Secure Shell プロトコルサーバープログラムが不要な場合は、アップグレード時に SUNWsshdr パッケージと SUNWsshdu パッケージをインストールしない。
システムに Secure Shell プロトコルサーバープログラムもクライアントプログラムもどちらも不要な場合は、アップグレード時に Secure Shell Cluster (SUNWCssh) をインストールしない。
/export ディレクトリの空き容量がゼロに近い状態で、システムを Solaris 9 4/04 リリースにアップグレードしようとすると、/export ディレクトリ容量の必要条件の計算に誤りが発生し、アップグレードに失敗します。この問題は、ディスクレスクライアントがインストールされている場合によく発生します。または、/export ディレクトリに他社製のソフトウェアがインストールされている場合にも発生します。次のエラーメッセージが表示されます。
WARNING: Insufficient space for the upgrade. |
回避方法 : アップグレードの前に、次のいずれかを実行してください。
アップグレードが完了するまで、一時的に /export ディレクトリの名前を変更する
アップグレードが完了するまで、/etc/vfstab ファイル内の /export の行を一時的にコメントアウトする
/export が別のファイルシステムである場合は、アップグレードを実行する前に /export のマウントを解除する
現在のシステムが、Solstice AdminSuiteTM 2.3 の Diskless Client ツールによってインストールされたディスクレスクライアントをサポートしている場合、2 つの手順を実行する必要があります。
既存のディスクレスクライアントのうち、サーバーと同じ Solaris バージョンで同じアーキテクチャのものをすべて削除します。
Solaris 9 4/04 リリースをインストールするか、または Solaris 9 4/04 リリースにアップグレードします。
具体的な手順については、『『Solaris のシステム管理 (基本編)』』 を参照してください。
ディスクレスクライアントを削除せずに Solaris 9 4/04 ソフトウェアをインストールしようとすると、次のようなエラーメッセージが表示されます。
スライス <xxxxxxxx> 上の Solaris のバージョン (version-number) が アップグレードできません。ディスク上にインストールされたソフトウェア構成に 未知の問題があります。 |
このエラーメッセージの version-number は、現在、システムで稼働している Solaris のバージョンを表します。<xxxxxxxx> は、このバージョンの Solaris ソフトウェアを実行しているスライスです。