Solaris のシステム管理 (基本編)

ディスクラベルについて

どのディスクにも、そのディスクのコントローラ、ジオメトリ、スライスに関する情報を格納する特殊な領域が確保されています。そのような情報をディスクの「ラベル」と呼びます。VTOC ラベル付きのディスク上のディスクラベルを「VTOC (Volume Table of Contents)」と呼びます。「ディスクにラベルを付ける」とは、ディスクにスライス情報を書き込むことを意味します。通常は、ディスクのスライスを変更した後にラベルを付けます。

スライスを作成した後でディスクにラベルを付けないと、オペレーティングシステムはスライスを「認識」する方法がないので、そのスライスを利用できなくなります。

パーティションテーブル

ディスクラベルのうち重要な部分は「パーティションテーブル」です。この部分は、ディスクのスライス、スライスの境界 (シリンダ単位)、スライスの合計サイズを表します。ディスクのパーティションテーブルは、format ユーティリティを使用して表示できます。次の表に、パーティションテーブル関連の用語を示します。

表 32–7 パーティションテーブル関連の用語

用語 

値 

説明 

番号 

0 - 7

VTOC – 0 〜 7 の番号が付いたパーティションまたはスライス

EFI – 0 〜 6 の番号が付いたパーティションまたはスライス

タグ 

0=UNASSIGNED 1=BOOT 2=ROOT 3=SWAP 4=USR 5=BACKUP 7=VAR 8=HOME 11=RESERVED

一般にこのパーティションにマウントされたファイルシステムを記述する数値 

フラグ 

wm

パーティションは書き込み可能でマウント可能 

 

wu rm

パーティションは書き込み可能でマウント不可。これは、スワップ領域専用のパーティションのデフォルト状態である。ただし、mount コマンドでは「マウント不可」のフラグはチェックされない

 

rm

パーティションは読み取り専用でマウント可能 

パーティションのフラグとタグは必ず割り当てられるので、管理する必要はありません。

パーティションテーブルを表示する手順については、ディスクスライス情報を表示する方法または ディスクラベルを検査する方法を参照してください。

パーティションテーブル情報の表示

次の例は、format ユーティリティを使って、4.0G バイトの VTOC ラベル付きディスクのパーティションテーブルを表示したものです。


Total disk cylinders available: 8892 + 2 (reserved cylinders)

Part      Tag    Flag     Cylinders        Size            Blocks
  0       root    wm    1110 - 4687        1.61GB    (0/3578/0) 3381210
  1       swap    wu       0 - 1109      512.00MB    (0/1110/0) 1048950
  2     backup    wm       0 - 8891        4.01GB    (0/8892/0) 8402940
  3 unassigned    wm       0               0         (0/0/0)          0
  4 unassigned    wm       0               0         (0/0/0)          0
  5 unassigned    wm       0               0         (0/0/0)          0
  6 unassigned    wm       0               0         (0/0/0)          0
  7       home    wm    4688 - 8891        1.89GB    (0/4204/0) 3972780

format ユーティリティを使用して表示されるパーティションテーブルには、次の情報が含まれます。

列名 

説明 

Part

パーティション (またはスライス番号)。この列についての説明は、表 32–7 を参照。

Tag

パーティションのタグ。この列についての説明は、表 32–7 を参照。

Flags

パーティションのフラグ。この列についての説明は、表 32–7 を参照。

Cylinders

スライスの開始シリンダ番号と終了シリンダ番号を示す。 

Size

スライスのサイズを M バイト単位で示す。 

Blocks

合計シリンダ数と 1 スライス当たりの合計セクター数 (カラムの右端) を示す。 

First Sector

EFI – 開始ブロック番号。

Last Sector

EFI – 終了ブロック番号。

次の例は、prtvtoc コマンドを使用して EFI ディスクラベルを表示した結果です。


# prtvtoc /dev/rdsk/c4t1d0s0
* /dev/rdsk/c4t1d0s0 partition map
*
* Dimensions:
*     512 bytes/sector
* 2576941056 sectors
* 2576940989 accessible sectors
*
* Flags:
*   1: unmountable
*  10: read-only
*
*                           First     Sector    Last
* Partition  Tag  Flags     Sector     Count    Sector   Mount Directory
       0      2    00          34   629145600  629145633
       1      4    00   629145634   629145600 1258291233
       6      4    00  1258291234  1318633404 2576924637
       8     11    00  2576924638       16384 2576941021
* Flags:
*   1: unmountable
*  10: read-only
*

prtvtoc コマンドで、次の情報が取得できます。

列名 

説明 

Dimensions

このセクションでは、ディスクドライブの物理的な構成を示す。 

Flags

このセクションでは、パーティションテーブルのセクションに記載されたフラグを示す。パーティションフラグについての説明は、表 32–7 を参照。

Partition (または Slice) テーブル

このセクションには次の情報が含まれます。 

Partition

パーティション (またはスライス番号)。この列についての説明は、表 32–7 を参照。

Tag

パーティションのタグ。この列についての説明は、表 32–7 を参照。

Flags

パーティションのフラグ。この列についての説明は、表 32–7 を参照。

First Sector

スライスの最初のセクターを示す。 

Sector Count

スライス内の合計セクター数を示す。 

Last Sector

スライスの最後のセクターを示す。 

Mount Directory

ファイルシステムの最後のマウントポイントのディレクトリを示す。