Solaris のシステム管理 (基本編)

ufsrestore コマンドのオプションと引数

ufsrestore コマンドの構文を、次に示します。


/usr/sbin/ufsrestore options arguments filenames 

options

1 文字のオプション名からなる 1 つの文字列。irRtx から 1 つだけ選択する。表 50–3 に示す追加オプションは、省略可能。

arguments

オプションに対応する引数。オプション文字とそれに関連する引数は、同じ順序で並べる必要がある。 

filenames

復元するファイルを、x または t オプションの引数として指定する。これらの引数は、空白で区切り、常に最後に指定する。

次の表に示す ufsrestore コマンドオプションのうち、1 つだけを指定する必要があります。

表 50–2 ufsrestore コマンドに必要なオプション

オプション 

説明 

i

対話式。ufsrestore コマンドを対話モードで実行する。このモードでは、限られたシェルコマンドセットを実行してメディアの内容を表示し、復元するファイルやディレクトリを個別に選択できる。対話式コマンドのリストについては、表 50–4 を参照。

r

再帰的。メディアの内容全体を現在の作業ディレクトリ (ファイルシステムの最上位レベル) に復元する。完全バックアップ (restoresymtable など) の最上部に増分バックアップを復元するための情報も含まれる。ファイルシステムを完全に復元するには、このオプションを使用して完全 (レベル 0) バックアップを復元してから、各増分バックアップを復元する。このオプションは新しい (newfs コマンドで作成したばかりの) ファイルシステム用だが、バックアップメディアにないファイルが保存される。

R

復元の再開。復元を再開するボリュームをたずねるプロンプトを表示し、チェックポイントから再開する。完全復元 (r オプション) が中断された後は、このオプションを指定して ufsrestore コマンドを実行し直す。

x [ filenames]

 

抽出。filenames 引数で指定したファイルを選択的に復元する。filenames には、ファイルとディレクトリのリストを空白で区切って指定できる。h オプションも指定しなければ、指定したディレクトリの下のファイルがすべて復元される。filenames を省略するか、ルートディレクトリを表す「.」を入力すると、メディアのすべてのボリューム上 (または標準入力から) のすべてのファイルが復元される。既存のファイルは上書きされ、警告が表示される。

t [ filenames]

内容一覧。filenames 引数で指定したファイルがメディアと対照してチェックされる。ファイルごとに、完全ファイル名と i ノード番号 (ファイルが見つかった場合) が表示されるか、ファイルが「ボリューム」上にないことを示す (複数ボリュームのバックアップ内のボリュームを意味する)。filenames 引数を入力しなければ、メディアのすべてのボリューム上のファイルが表示される (どのボリュームにファイルが入っているかは区別されない)。

h オプションも指定すると、内容ではなく filenames で指定したディレクトリファイルのみがチェックされ表示される。内容一覧は、メディアの最初のボリューム、またはアーカイブファイル (a オプションを使用した場合) から読み込まれる。このオプションは xr オプションと一緒には使用できない。

次の表に、ufsrestore の追加オプションを示します。これらのオプションは省略可能です。

表 50–3 ufsrestore コマンドの追加オプション

オプション 

説明 

a archive-file [filenames]

アーカイブファイル。バックアップの内容一覧は、メディア (最初のボリューム) ではなく、指定した archive-file から取り出される。このオプションを ti、または x オプションとともに使用すると、メディアをマウントしなくても、ファイルがメディアに存在するかどうかを確認できる。このオプションを x オプションおよび対話型 (i) 抽出オプションと組み合わせて使用すると、ファイルを抽出する前に適切なボリュームのマウントを促すプロンプトが表示される。

b factor

ブロック係数。1 回の処理でテープから読み込む 512 バイトのブロック数を指定する。デフォルトでは、ufsrestore コマンドはテープへの書き込みに使用したブロックサイズの使用を試みる。

d

デバッグ。デバッグメッセージ機能をオンにする。 

f backup-file

バックアップファイル。ファイルは、デフォルトのデバイスファイル /dev/rmt/0m ではなく backup-file で指定したソースから読み込まれる。f オプションを使用する場合は、backup-file の値を指定する必要がある。backup-filesystem:device 形式であれば、ufsrestore はリモートデバイスから読み込む。backup-file 引数を使用すると、ローカルディスクやリモートディスク上のファイルも指定できる。backup-file が "-" であれば、ファイルは標準入力から読み込まれる。

h

ディレクトリの展開をオフにする。指定したディレクトリファイルのみが抽出または表示される。 

m

指定したファイルが、バックアップ階層内の位置に関係なくディスク上の現在のディレクトリに復元される。さらに、指定したファイルの名前が i ノード番号を使用して変更される。たとえば、現在の作業ディレクトリが /files であれば、i ノード番号が 42 のバックアップ ./dready/fcs/test 内のファイルは、/files/42 として復元される。このオプションは、少数のファイルを抽出する場合にのみ有用である。

s n

スキップ。最初のボリュームメディア上の n 番目のバックアップファイルまでスキップする。このオプションは、1 本のテープに複数のバックアップを入れるときに便利である。

v

詳細表示。各ファイルが復元されるたびに、その名前と i ノード番号が表示される。 

y

メディアの読み込みエラーが発生しても処理を続行する。このオプションを指定すると、処理を停止して続行するかどうかを選択するプロンプトを表示せずに、不良ブロックをスキップしようとする。このオプションによって、コマンドは肯定の応答とみなすよう命令される。 

次の表に、ufsrestore の対話式コマンドを示します。

表 50–4 対話式の復元コマンド

オプション 

説明 

ls [directory-name]

現在のディレクトリまたは指定したディレクトリの内容を表示する。ディレクトリは接尾辞 / 付きで表示される。現在のリスト内で復元 (抽出) されるエントリは接頭辞 * 付きで表示される。詳細オプション (v) を使用すると、i ノード番号が表示される。

cd directory-name

バックアップ階層内の指定したディレクトリに変更する。 

add [filename]

現在のディレクトリまたは指定したファイルやディレクトリを、抽出 (復元) するファイルのリストに追加する。h オプションを使用しない場合は、指定したディレクトリとそのサブディレクトリ内のすべてのファイルがリストに追加される。ディレクトリに復元したいすべてのファイルが 1 つのバックアップテープやフロッピーディスクに入っていないことがある。すべてのファイルの最新バージョンを抽出するには、さまざまなレベルの複数のバックアップから復元しなければならない場合がある。

delete [filename]

現在のディレクトリまたは指定したファイルやディレクトリを、抽出 (復元) するファイルのリストから削除する。h オプションを使用しない場合は、指定したディレクトリとそのサブディレクトリ内のファイルがすべて削除される。ファイルとディレクトリは、構築中の抽出リストからのみ削除される。メディアまたはファイルシステムからは削除されない。

extract

リスト内のファイルを抽出し、ディスク上の現在の作業ディレクトリからの相対パスで指定される位置に復元する。単一ボリュームのバックアップに関して、ボリューム番号を確認するプロンプトが表示されたら、 1 を指定する。複数テープや複数フロッピーディスクから少数のファイルを復元する場合は、最後のテープまたはフロッピーディスクから始める。

help

対話式で使用できるコマンドのリストが表示される。 

pwd

バックアップ階層内の現在の作業ディレクトリのパス名が表示される。 

q

それ以上ファイルを復元しないで対話モードを終了する。 

setmodes

バックアップ元となったファイルシステムのルートディレクトリのモードに合わせて、復元するファイルのモードを設定できる。set owner/mode for '.' [yn]? というプロンプトが表示される。y (yes の意味) を入力すると、バックアップ元となったファイルシステムのルートディレクトリに合わせて、現在のディレクトリのモード (アクセス権、所有者、時刻) を設定できる。このモードは、ファイルシステム全体を復元する場合に使用する。

n (no の意味) を入力すると、現在のディレクトリのモードは変更されずにそのまま残る。このモードは、バックアップの一部をファイルのバックアップ元とは異なるディレクトリに復元するときに使用する。

verbose

詳細オプションのオンとオフを切り替える (対話型モードの外側では、コマンド行から v と入力することもできる)。詳細モードがオンの場合、対話型の ls コマンドでは i ノード番号が表示され、ufsrestore コマンドでは各ファイルが抽出されるたびにファイル情報が表示される。

what

テープやフロッピーディスク上のバックアップヘッダが表示される。