この章では、Solaris ボリュームマネージャのソフトパーティションについて説明します。 関連する作業については、第13章「ソフトパーティション (作業)」を参照してください。
この章では、次の内容について説明します。
ディスク容量が大きくなり、ディスクアレイによって Solaris システムが使用できる論理デバイスの容量が増大すると、ディスクや論理ボリュームを 8 つより多くのパーティションに分割し、管理しやすい大きさのファイルシステムやパーティションを使用したくなります。 Solaris ボリュームマネージャのソフトパーティションは、この要求に応えるための機能です。
Solaris ボリュームマネージャは、ディスクセット (ローカルのディスクセット、無指定のディスクセットも含む) 当たり最大 8192 の論理ボリュームをサポートしますが、デフォルトのボリューム数は 128 (d0 から d127) に設定されています。 論理ボリュームの数を増やす方法については、「Solaris ボリュームマネージャのデフォルト値の変更 」を参照してください。
論理ボリュームの数を実際に使用する予定の数よりも大幅に増やさないようにしてください。 Solaris ボリュームマネージャは、最大数の論理ボリュームそれぞれに対してデバイスノード (/dev/dsk/md/*) とそれに対応するデータ構造を作成します。 使用されない余分なボリュームは性能に著しい悪影響を及ぼすことがあります。
ソフトパーティションでは、ディスクスライスや論理ボリュームを任意の数のパーティションに分割できます。 区画 (ソフトパーティション) には、名前を付ける必要があります。これは、ストライプやミラーなど、ほかの記憶ボリュームの場合と同じです。 名前の付いているソフトパーティションには、このソフトパーティションがすでに別のボリュームに含まれていない限り、ファイルシステムなどのアプリケーションからアクセスできます。 ボリュームにすでに含まれているソフトパーティションには、直接アクセスしないでください。
ソフトパーティションは、ディスクスライス上に直接置くことも、ミラーや、ストライプ、RAID ボリューム上に置くこともできます。 ただし、ソフトパーティションは他のボリュームの上下両方に置くことはできません。 たとえば、ソフトパーティション上にミラー化したストライプを構築し、さらにこの上にソフトパーティションを構築することはできません。
ファイルシステムなどのアプリケーションからは、ソフトパーティションは連続した 1 つの論理ボリュームに見えます。 しかし、実際には、ソフトパーティションを構成するメディアの任意の場所にある、一連のエクステントから構成されています。 システムに重大な障害が発生した場合でも、その障害から回復できるように、ソフトパーティションに加えディスク上のエクステントヘッダー (システム回復データ域ともいう) にも、ソフトパーティションの情報が記録されます。
ソフトパーティションとして使用されているスライスを他の目的で使用することはできません。
ディスクをパーティション分割し、それらのスライスにファイルシステムをすでに構築している場合は、ディスクフォーマットを変更または破棄しなければ、スライスを拡張することはできません。 しかし、ソフトパーティションでは、ソフトパーティションを構成するデバイスの容量が許す限りソフトパーティションを拡張できます。他のソフトパーティションにあるデータを移動したり、破棄する必要はありません。
ソフトパーティションのエクステントは、ディスク上の任意の場所に手動で置くことも技術的には可能です (「Solaris ボリュームマネージャ構成の表示 」の metastat -p の出力を参照) が、システムが自動的に配置するようにすべきです。
ソフトパーティションは、任意のスライス上に構築できますが、ディスクレベルでソフトパーティションを使用するときは、ディスク全体を占有するスライスを作成し、そこにソフトパーティションを作成するのが、もっとも効率的な方法です。
ソフトウェアパーティションの最大サイズはスライスのサイズやソフトパーティションを構成する論理ボリュームのサイズに制約されるため、ディスクスライス上にボリュームを構築してから、そのボリューム上にソフトパーティションを構築するようにします。 この方法では、ボリュームにコンポーネントを追加してから、必要に応じてソフトパーティションを拡張することができます。
柔軟性と可用性を最大限に高めるためには、ディスクスライスに RAID 1 (ミラー) か RAID 5 ボリュームを作成してから、そのミラーまたは RAID 5 ボリューム上にソフトパーティションを作成するようにします。
ソフトパーティション用のツールを使えば、大きな記憶領域をそれより小さい管理しやすい領域に分割できます。 たとえば、ほかのシナリオ (「シナリオ RAID 1 ボリューム (ミラー)」または 「シナリオ RAID 5 ボリューム」) では、多数の記憶領域を 1 つにまとめることによって、何G バイトという冗長記憶領域が構築できます。 しかし、考えられる多くのシナリオでは、少なくとも当初は、これほど大きい領域が必要になることはありません。 ソフトウェアパーティションでは、この記憶領域を管理しやすいセクションに分割できます。 そして、それぞれのセクションを完全なファイルシステムとして使用することができます。 たとえば、RAID 1 または RAID 5 ボリュームに 1000 のソフトパーティションを作成すれば、ユーザーは個別のファイルシステムにホームディレクトリを持つことができます。 ユーザーがより多くの領域を必要とする場合は、単にそのソフトパーティションを拡張するだけですみます。