ファイルシステムが格納されているボリュームを拡張 (領域を追加) したときに、そのボリュームに UFS が格納されている場合は、ファイルシステムを拡張して新しい領域が認識されるようにする必要があります。 ファイルシステムの拡張は、growfs コマンドを使って手動で行う必要があります。 growfs コマンドは、マウントされているファイルシステムも拡張できます。 ただし、growfs コマンドの実行中は、ファイルシステムに書き込みアクセスを行うことはできません。
データベースなど、raw デバイスを使用するアプリケーションは、独自の方法で領域を拡張できなければなりません。 Solaris ボリュームマネージャには、この機能はありません。
growfs コマンドは、ファイルシステムを拡張する間、マウントされているファイルシステムを「書き込みロック」します。 ファイルシステムが書き込みロックされている時間を短縮する必要がある場合は、ファイルシステムを段階的に拡張できます。 たとえば、1G バイトのファイルシステムを 2G バイトに拡張する場合は、-s オプションを使って新しいファイルシステムの合計サイズを拡張処理の各段階で指定することによって、ファイルシステムを 16M バイト単位で拡張できます。
拡張処理の間はファイルシステムが書き込みロックされるため、このファイルシステムへの書き込みは実行できません。 書き込みアクセスは growfs コマンドがファイルシステムのロックを解除するまで自動的に中断され、ロックが解除されると再開されます。 読み取りアクセスには影響はありませんが、ロックが行われている間の読み取りアクセス時間は保証されません。
Solaris ボリュームマネージャのボリュームは拡張することはできますが、縮小することはできません。
ボリュームは、ファイルシステム、アプリケーション、データベースのいずれで使用されていても拡張できます。 RAID 0 (ストライプ方式と連結方式) ボリューム RAID 1 (ミラー) ボリューム、RAID 5 ボリュームだけでなく、ソフトパーティションも拡張できます。
ファイルシステムが格納されているボリュームを連結できます。 ファイルシステムが UFS であれば、growfs コマンドを使って、このファイルシステムを、拡張された領域まで拡張できます。このとき、データへの読み取りアクセスは中断されません。
いったん拡張されたファイルシステムは、UFS の制約により、縮小することはできません。
raw デバイスを使用するアプリケーションやデータベースは、独自の方法で領域を拡張し、それを認識できなければなりません。 Solaris ボリュームマネージャには、この機能はありません。
RAID 5 ボリュームにコンポーネントを追加すると、コンポーネントはデバイスへの連結になります。 新しいボリュームにはパリティ情報は格納されませんが、 このコンポーネントのデータは、ボリュームに対して行われる全体的なパリティ計算によって保護されます。
コンポーネントを追加することによって、ログデバイスを拡張できます。 再起動時に Solaris ボリュームマネージャは新しい領域を自動的に認識するため、growfs コマンドを実行する必要はありません。
ソフトパーティションを拡張するには、そのパーティションを構成するボリュームまたはスライスから領域を追加します。 その他のボリュームはすべて、スライスを追加することによって拡張できます。
growfs コマンドを使ってローカルボリュームの UFS を拡張します。
# growfs -M /mount-point /dev/md/rdsk/volumename |
詳細は、次の例と growfs(1M) のマニュアルページを参照してください。
# df -k Filesystem kbytes used avail capacity Mounted on ... /dev/md/dsk/d10 69047 65426 0 100% /home2 ... # growfs -M /home2 /dev/md/rdsk/d10 /dev/md/rdsk/d10: 295200 sectors in 240 cylinders of 15 tracks, 82 sectors 144.1MB in 15 cyl groups (16 c/g, 9.61MB/g, 4608 i/g) super-block backups (for fsck -F ufs -o b=#) at: 32, 19808, 39584, 59360, 79136, 98912, 118688, 138464, 158240, 178016, 197792, 217568, 237344, 257120, 276896, # df -k Filesystem kbytes used avail capacity Mounted on ... /dev/md/dsk/d10 138703 65426 59407 53% /home2 ... |
この例では、新しいスライスがボリューム d10 にすでに追加されています。このボリュームには、マウントされているファイルシステム /home2 があります。 growfs コマンドでは、-M オプションを使ってマウントポイントに /home2 を指定し、これを raw ボリューム /dev/md/rdsk/d10 上に拡張します。 growfs コマンドが終了すると、このファイルシステムはボリューム全体を占めます。 拡張の前後で df -hk コマンドを使用すれば、全体のディスク容量を確認できます。
ミラーやトランザクションボリュームの場合は、サブミラーやマスターデバイスに領域を追加する場合でも、必ずトップレベルのボリューム (サブミラーやマスターデバイスではなく) に対して growfs コマンドを実行する必要があります。