IP 仕様では、IP パケットのヘッダーにおける TOS フィールドも定義されています。このフィールドは、パケットの経路制御を最適化する方法について、上位層プロトコルによってインターネット層へ情報提供するのに使用されることが想定されています。
ネットワークトポロジは、パケットの発信元と着信先との間に複数の経路が存在することを意味します。いくつかの経路は他の経路よりも信頼性が高く、また高価な (呼び出し設定料や使用料が高い) 経路や、低コストだが低速な経路もあります。パケットに最適な経路はアプリケーションやユーザーによって異なり、時刻など他の要素によっても変わる可能性があります。たとえば、リモートシステムを監視するシステム管理者の場合、コストに関係なく警報トラフィックをできるだけ迅速に受信する必要があります。これは警報トラフィックを経路指定するコストはシステム障害によるコストよりもはるかに低いためです。しかし、翌日の仕事に備えて終業時刻間際に同じリモートシステムから ftp で文書を入手する場合は、低コストで低速な経路で十分です。
インターネット層は、アプリケーションやユーザーに対して経路を最適化する方法に関して直接的な知識を持っていません。TOS 機能は、いかにパケットを最適に経路付けるかについてのヒントを提供するのに使用されることが想定されていました。これは、待ち行列アルゴリズムと経路制御アルゴリズムの両方に影響を与えます。TOS 機能には、3 ビットの優先度フィールドと 4 ビットの TOS フィールドがあります。優先度フィールドの設定値は、優先順位を示す次の値のうちの 1 つを示します。
Network Control
Internetwork Control
CRITIC/ECP
Flash Override
Flash
Immediate
Priority
Routine
次に、TOS フィールドに設定できる値を示します。
最小遅延
最大スループット
最大信頼性
金銭的な最小コスト
通常サービス
TOS 機能は従来、あまり使用されていませんでした。しかし、IETF (Internet Engineering Task Force) は、現在、TOS 機能の定義を変更し、その使用を推進しています。