Sun ONE Web Server 6.1 インストールおよび移行ガイド |
第 6 章
バージョン 4.1 から 6.1 への移行この章では、Sun ONE Web Server 4.1 から 6.1 に移行する場合の変更点を理解する上で役立つ移行情報について説明します。
この章は、次の節から構成されています。
移行の概要次の iPlanet Web Server 4.1 の情報を移行して、Sun ONE Web Server 6.1 で使用できます。
- ドキュメントルートおよびその他のディレクトリマッピング
- 設定スタイル情報
- ソフトウェアおよびハードウェアの仮想サーバー設定
- アクセス制御リスト (ACL) 情報
- SSL (Secure Socket Layer) 情報
- 証明書および鍵
- NSAPI 情報
- JSP (JavaServer Pages)
- シンプルセッションマネージャおよび JDBC セッションマネージャ (使用は推奨していません)
- サーバーサイド HTML (SHTML)
- SNMP (Simple Network Management Protocol) 設定 (snmp.conf ファイル)
- ファイルキャッシュの調整の設定 (nsfc.conf ファイル)
注
バージョン 4.1 よりも前の iPlanet Web Server から Sun ONE Web Server 6.1 に直接移行することはできません。その場合は、まず古いバージョンのサーバーを iPlanet Web Server 4.1 に移行してから、Sun ONE Web Server 6.1 に移行する必要があります。
設定値およびデータの移行
設定値およびデータを 4.1 サーバーから 6.1 サーバーに移行するには、次の手順に従います。
- 「Administration Server」ページで、「Migrate Servers」タブをクリックします。
- 「Migrate Server」をクリックします。
「Migrate Server」ページ
- 移行元サーバーのサーバールートを入力して「Search」をクリックします。その例を次に示します。
/usr/netscape/server4
C:¥netscape¥server4
Sun ONE Web Server は、指定したディレクトリにインストールされているサーバーインスタンスがあるかどうかを検出し、移行可能なサーバーをインストール済みサーバーのページに表示します。管理サーバーを移行することはできません。
- ドロップダウンリストからサーバーを選択し、「Migrate」をクリックします。
移行するサーバーの選択
- 新しく表示される「Migration Parameters」ウィンドウで、移行パラメータを指定します。
移行パラメータの指定
フォームに表示されるセクションは、iPlanet Web Server 4.1 で使用している機能、およびインストールしたコンポーネントによって異なります。次に、表示される可能性のあるパラメータセクションを示します。
- 「Migrate」をクリックします。
「Migrate server_name」ページが表示されます。正常に移行されたパラメータおよび手動で移行する必要のあるパラメータなど、移行の結果が表示されます。6.1 ではサポートされない 4.1 サーバーの機能も表示されます。
「Migrate server-name」ページ
注
バージョン 4.1 リリースの移行時に、magnus.conf ファイルの Address 指令も移行されますが、これは Sun ONE Web Server 6.1 では推奨されていません。このため、サーバーの起動時に次の警告メッセージが表示されます。「Warning ( ): Address directive ignored.」 この警告メッセージは無視してください。
- 「Configure Migrated Server」をクリックし、移行されたサーバーインスタンスをサーバーマネージャで設定するか、「Close」をクリックして移行ウィンドウを閉じます。
「Migrate server-name」ページ
移行時には、発生したエラーなど、すべての移行情報を記録するページ (「Migrate server_name」) が表示されます。iPlanet Web Server 4.1 で使用した機能で Sun ONE Web Server 6.1 ではサポートされない機能に関する警告が表示されます。移行プログラムは、obj.conf のエントリのうち、使用されなくなった機能に関するものは移行しません。
移行時に重大なエラーが発生しても、移行は続行されます。発生したエラーが結果のページに表示されるので、この情報を障害追跡に使用できます。
管理サーバーの移行
移行できるのは、個々のサーバーインスタンスに限られます。管理サーバーを移行することはできません。iPlanet Web Server インスタンスの移行後に、6.1 の管理サーバーで分散管理やクラスタなどの機能をもう一度設定する必要があります。
鍵および証明書も移行できます。
ユーザーおよびグループ情報の移行
Directory Server を使用した場合、ユーザーおよびグループを移行するために移行プロセス中は何もする必要はありません。移行後に、管理サーバーの「Global Settings」タブで、「Configure Directory Service」ページを使用して Directory Server を指定できます。
仮想サーバーの移行
iPlanet Web Server 4.1 では、ハードウェア仮想サーバーを作成する方法が 2 つありました。object.conf ファイルを使用する方法と virtual.conf ファイルを使用する方法です。ハードウェア仮想サーバーの情報を移行する方法は、どちらの方法を使用したかによって異なります。
iPlanet Web Server 4.1 ソフトウェアの仮想サーバー設定は、4.1 の obj.conf ファイルから 6.1 の server.xml ファイルに移行されます。
ACL の移行
管理サーバー 4.1 で分散管理用に ACL を設定した場合、それらの ACL は移行されません。これらの ACL は、手動で新しい管理サーバーに追加する必要があります。
証明書の移行
移行プロセスにより、4.1_server_root/alias ディレクトリにある key3.db や cert7.db などのデータベースファイルは 6.1_server_root/alias ディレクトリにコピーされます。
また、4.1 サーバーの magnus.conf ファイルにある SSL パラメータは、自動的に 6.1 の server.xml 設定ファイルに追加されます。
ACL 関連ファイルの secmod.db および dbswitch.conf ファイルは、移行時に上書きされます。
Sun ONE Web Server での証明書の使用については、Sun ONE Web Server の『管理者ガイド』を参照してください。
アプリケーションの移行
サーバーの設定値およびデータを移行したら、Sun ONE Web Server 6.1 上で動作するようにアプリケーションにも変更を加える必要がある場合があります。
NSAPI アプリケーションの移行
iPlanet Web Server 4.1 で使用した NSAPI プログラムのほとんどは、コンパイルし直さなくても Sun ONE Web Server 6.1 で動作します。一部のドキュメント化されていないデータ構造は、nsapi.h から削除され、公開されることはありません。プラグインでこれらのデータ構造を使用する場合、記述し直してアクセサ関数を使用する必要があります。現在非公開になっているデータ構造は、nsapi_pvt.h で定義されています。これは、情報を提供する目的でビルドに付属しています。
カスタム NSAPI プラグインは、自動的には新しいサーバーディレクトリにコピーされません。カスタムプラグインがある場合は、新しいサーバーの magnus.conf に示されているアップグレードされたパスにプラグインをコピーしてください。
これらのデータ構造および新しいアクセサ関数については、『Sun ONE Web Server 6.1 NSAPI Programmer's Guide』を参照してください。
サーバーサイド Java アプレット (HttpApplet)
サーバーサイド Java アプレット (HttpApplet) はサポートされていません。代わりに、Java サーブレットを使用します。サーバーサイド Java アプレットをサーブレットとして記述し直してインストールし直す必要があります。
移行されない情報移行プロセスでは、次の情報は移行されません。
詳細は、「Java サーブレット」を参照してください。
詳細は、「検索」を参照してください。
詳細は、「起動スクリプトおよび停止スクリプト」を参照してください。
詳細は、「cron 制御」を参照してください。
詳細は、「certmap.conf ファイル」を参照してください。
詳細は、「Web パブリッシング」を参照してください。
詳細は、「サーバーサイド JavaScript (SSJS)/LiveWire」を参照してください。
移行に関する変更点の要約iPlanet Web Server 4.1 から Sun ONE Web Server 6.1 に情報を移行すると、次の領域で変更が生じます。
アクセスログとエラーログ
サーバーのアクセスログファイルとエラーログファイルには、サーバーの稼動状況が記録されます。移行時には、新しいアクセスログが作成されます。4.1 の server-instance/logs ディレクトリのエラーログは、Sun ONE Web Server 6.1 の server-instance/logs ディレクトリにコピーされます。
設定ファイル
iPlanet Web Server 4.1 の magnus.conf ファイルにある指令は、Sun ONE Web Server 6.1 では server.xml ファイルに置かれます。移行プロセス中に、これらの指令は自動的に 6.1 サーバーの magnus.conf ファイルから削除され、server.xml ファイルに追加されます。
また、iPlanet Web Server 4.1 の obj.conf ファイルにある Init 関数は、Sun ONE Web Server 6.1 の magnus.conf ファイルに移されます。
推奨されていない指令のリストについては、Sun ONE Web Server 6.1の『Administrator's Configuration File Reference』を参照してください。
JSP (Java Server Pages)
iPlanet Web Server 4.0 では、JSP (Java Server Pages) は JSP 0.92 で記述しました。iPlanet Web Server 4.1 および 6.0 では、JSP は JSP 1.2 で記述します。バージョン 0.92 は、Sun ONE Web Server 6.1 ではサポートされていません。JSP は、バージョン 1.2 標準で記述する必要があります。また、JSP は Web アプリケーションの一部として作成することをお勧めします。スタイル例は、server_root/plugins/servlets/examples/web-apps にあります。
Web アプリケーションの一部として JSP 1.2 で記述された JSP は、サーバーで使用可能なディレクトリならどこにでも置くことができます。
JSP 1.2 のサンプルは、server_root/plugins/samples/servlets/jsp.10 にあります。
Java サーブレット
Netscape Enterprise Server または iPlanet Web Server 4.0 および 4.1 は、Java Servlet 2.1 仕様をサポートしていました。この仕様には、Web アプリケーションは含まれていませんでした。サーブレットの配備を簡単に行うために、配備スキーマが開発されました。Java Web アプリケーション (.war ファイル) とその配備記述子の登場によって、専用の配備システムを維持する必要がなくなりました。
iPlanet Web Server 6.0 では、両方のタイプの配備スキーマをサポートしていましたが、4.x の実装 (古いバージョンのサーブレットと呼ばれる) は推奨されていませんでした (iPlanet Web Server, Enterprise Edition の『Programmer's Guide to Servlets』の第 8 章「Legacy Servlet and JSP Configuration」を参照)。
Sun ONE Web Server 6.1 では古いバージョンのサーブレットはサポートされません。移行するサーバーの古いスタイルのプロパティファイル servlet.properties、context.properties、および rules.properties は移行時に削除されます。
すべての機能が 1 対 1 でマッピングされているわけではないため、古いバージョンのサーブレットを自動的に移行することはできません。
4.1 の古いスタイルのサーブレットを Web アプリケーション構造に移行する際に使用するマニュアルおよびサンプルについては、Sun ONE Web Server 6.1 の『Programmer's Guide to Web Applications』を参照してください。
cron 制御
Sun ONE Web Server 6.1 では、cron ファイルの名前が変更されました。Sun ONE Web Server 6.1 では、ns-cron.conf ファイルが schedulerd.conf に変わり、cron.conf ファイルが scheduler.conf に変わりました。これらのファイルは、https-admserv/config ディレクトリに格納されています。
移行時には、以前のバージョンの Web サーバーの cron 設定は Sun ONE Web Server 6.1 に移行されません。このため、移行されたインスタンスの cron 設定をこれらの cron ファイルにコピーしてください。
certmap.conf ファイル
移行プロセス中に、証明書マッピングファイル certmap.conf は移行されません。移行時に、移行するサーバーインスタンスの certmap.conf の既存のエントリを手動で移行する必要があることを示すメッセージが表示されます。
シンプルセッションマネージャ
シンプルセッションマネージャおよび JDBC セッションマネージャは、Sun ONE Web Server 6.1 ではサポートされていません。セッションマネージャの詳細は、Sun ONE Web Server 6.1 の『Programmer's Guide to Web Applications』を参照してください。
iPlanet Web Server 4.1 の Web アプリケーションで SimpleSessionManager が指定されている場合は、クラスの名前を IWSSessionManager に変更する必要があります。これにより、持続性を強化できます。Persistence-type は、s1ws60 に設定する必要があります。timeOut や reapInterval など、ほかの Init 属性は変更されません。
iPlanet Web Server 4.1 の Web アプリケーションで JDBCSessionManager が指定されている場合は、クラスの名前を IWSSessionManager に変更して、次の属性をセッションマネージャの init-param 要素に追加する必要があります。session-data-store='com.netscape.server.http.session.JdbcStore'。Persistence-type は、s1ws60 に設定する必要があります。
provider や url など、ほかの属性は変更されません。
MMapSessionManager のパッケージ名は、Web Server のバージョン 4.1 の com.netscape.server.http.session から、バージョン 6.0 および 6.1 では com.iplanet.server.http.session に変更されました。
仮想サーバー
iPlanet Web Server 4.1 では、ハードウェアおよびソフトウェアの仮想サーバーを使用して複数のサーバーインスタンスを作成できましたが、これらのインスタンスでは同じ設定情報を共有する必要がありました。Sun ONE Web Server 6.1 では、仮想サーバーのクラスを複数設定できます。各クラスには、それぞれ個別の設定情報があります。
仮想サーバーの設定値は、server_root/server_ID/config ディレクトリにある server.xml ファイルに格納されています。仮想サーバーについては、Sun ONE Web Server 6.1 の『管理者ガイド』を参照してください。
Web パブリッシング
Sun ONE Web Server 6.1 では、iPlanet Web Server 4.1 の Web パブリッシング機能はサポートされていません。その代わり、Web 上での共同作業が可能になるファイルの共有やオーサリング機能を使用できる WebDAV という新しい機能が追加されました。WebDAV については、Sun ONE Web Server 6.1 の『管理者ガイド』を参照してください。
検索
Sun ONE Web Server 6.1 では、iPlanet Web Server 4.1 で使用していた検索エンジンが新しい検索エンジンに置き換えられるため、移行プロセス中に既存の検索コレクションおよびインデックスは移行されません。Sun ONE Web Server 6.1 の検索機能を使用する場合は、検索コレクションおよびインデックスを新しく作成して設定する必要があります。詳細は、Sun ONE Web Server 6.1 の『管理者ガイド』を参照してください。
起動スクリプトおよび停止スクリプト
4.1 サーバーの起動スクリプトまたは停止スクリプトを修正した場合、その変更内容は移行プログラムでは移行されません。reconfig、restart、および rotate の各スクリプトについても同様です。
設定ファイル中のシンボリックリンク (UNIX および Linux)
サーバー設定ファイル中のシンボリックリンクまたは相対リンクは、アップグレード時に障害の原因となる場合があります。サーバールート下にあるファイルへの絶対参照を含むサーバー設定ファイルでは、常に同じ方法でサーバールートへのパスを参照します。できれば、シンボリックリンクが含まれないようにしてください。
サーバーサイド JavaScript (SSJS)/LiveWire
SSJS/Livewire を使用するアプリケーションのデータおよび設定値は移行されません。
SSJS アプリケーションを JSP に変換する方法の補足説明については、Sun ONE Web Server 6.1 の『Programmer's Guide to Web Applications』を参照してください。また、変換したアプリケーションのサンプルは server_root/plugins/samples/servlets/jsp.10/hangman にあります。