Solaris for ISPs をご利用いただきありがとうございます。この Solaris オーバーパックは、Solaris オペレーティングシステムのオープンアーキテクチャとスケーラビリティを基盤として、インターネットサービスプロバイダ (ISP) とその加入者に最適な操作環境を提供します。
Solaris for ISPs は 2 種類のソフトウェアで構成されています。1 つはプラットフォーム拡張機能で、Solaris 基本環境に機能を追加して ISP サービスを可能にするものです。ただし、ISP 加入者が直接プラットフォーム拡張機能にアクセスすることはありません。これに対して ISP サービスは、拡張された Solaris 環境を利用して、インターネットニュース、FTP、WWW へのアクセス機能を加入者に提供します。
Solaris for ISPs は、Solaris オペレーティングシステムに次の拡張機能を追加します。
Sun Internet Administrator
ホスト構成ソフトウェア
Sun Internet Services MonitorTM
Sun Directory Services
SunScreen SKIP
FlexLM ライセンスサーバー
HotJavaTM ブラウザ
JavaTM 開発キット
Sun Internet Administrator は、分散型 ISP サービスを安全に中央管理するための次の機能を提供します。
管理者のための簡易サインオン。ISP 管理者は、Sun Internet Administrator に一度ログオンするだけで、管理者の権限に応じた全機能を利用できるようになります。ISP ガイドラインに従って開発され、Sun Internet Administrator の管理下にある各種サービスは、Sun Internet Administrator からログオン情報を引き継ぐので、サービスごとに毎回管理者にサインオンを要求することはありません。
管理者のクライアントマシンと遠隔サービスホスト間の安全な通信。オプションの SKIP ソフトウェアをインストールして、コンソールへのすべての接続、およびコンソールとサービスホスト間でセキュリティ機能を有効にすることにより、盗聴や偽装から通信を保護することができます。
管理者による操作の記録と追跡。管理者による操作 (ログオンからログアウトまでの全操作) は、syslog ユーティリティによりログに記録されます。ログ情報は、障害追跡やさまざまな検証に利用できます。
既存 ISP サービスの遠隔管理。Solaris for ISPs で提供されるすべてのサービスコンポーネントは、ネットワーク上のどこにあっても Sun Internet Administrator から管理できます。さらに、Sun Internet FTP Server と Sun Internet News Server は 3 階層のソフトウェアコンポーネントなので、Sun Internet Administrator に組み込まれているセキュリティ機能を最大限に利用できます。Sun Internet Administrator と各サービスの相互関係については、「Sun Internet Administrator によるサービス管理」を参照してください。
既存サービスの拡張。ISP はそれぞれ独自のアプリケーションを Sun Internet Administrator に統合し、Solaris for ISPs で提供される各種サービスと同じように管理することができます。アプリケーションを Sun Internet Administrator に統合する方法については、第 7 章「既存サービスアプリケーションの統合」を参照してください。
Solaris for ISPs のホスト構成ソフトウェアは次の機能を提供します。
ソフトウェアのインストール。管理者は Solaris for ISPs のホスト構成ソフトウェアを使用して、Solaris for ISPs のあらゆるソフトウェアをインストールまたはインストール解除できます。そのときインストールシナリオを保存しておけば、JumpStart の finish スクリプトを使用して、同じインストール作業を自動的に実行できます。
Solaris 基本環境の構成。セキュリティの向上と資源保護のために、不要な Solaris サービスを無効にします。Solaris コンポーネントのうちセキュリティに関係するものは ISP 環境に合わせて構成されます。
不正侵入の検出。侵入ディテクターは専用のログファイルを定期的にチェックして、不正なログオンが試みられた形跡がないかを調べます。そのような形跡が見つかった場合は、ログファイルから関連データを収集して、ユーザーが指定した方法 (たとえば、電子メール) で通知します。
サーバープロセスの管理。必要なサーバープロセス (たとえば、ニュースサーバー) が実際に起動していることを cron ジョブが確認します。異常終了したサーバープロセスがあれば、サーバープロセスマネージャはそのサーバープロセスを再起動します。
ログファイルの管理。監査ログと syslog ログは一日単位でサイクル使用されます。ログファイル管理デーモンは、毎週ログをアーカイブに保管し、一ヶ月以上経過したアーカイブを削除します。
ホスト構成ソフトウェアは必須ソフトウェアコンポーネントです。すべての Solaris for ISPs ホストマシン上にインストールする必要があります。
ISP は、このパフォーマンス監視ソフトウェアを使用して、加入者による ISP サービス利用をエミュレートする特殊なクライアントマシンを設定できます。パフォーマンス監視アプレットを設定して、目的の Web サーバー、メールサーバー、ニュースサーバー、ディレクトリサービスサーバーに接続し、加入者から見たパフォーマンス情報を収集します。こうして収集されたパフォーマンス情報を監視側ホストマシンに集めて、Web ブラウザで表示できます。
Sun Internet Services Monitor は 2 階層アプリケーションです。Sun Internet Administrator から管理できますが、簡易サインオンや管理者認証は適用されません。2 階層アーキテクチャの詳細は、「Sun Internet Administrator によるサービス管理」を参照してください。
これは、LDAP (軽量ディレクトリアクセスプロトコル) を実装したディレクトリサービスで、ユーザー (管理者) とサービス構成に関する情報の共有レポジトリを提供します。管理者は加入者情報をレポジトリに保存することもできます。現バージョンの Sun Directory Services が提供する機能を次に示します。
インターネット標準の LDAP v3 に準拠
NAS (ネットワークアクセスサーバー) 経由でネットワークに接続する遠隔ユーザーの認証を提供する RADIUS (遠隔アクセスダイアルアップユーザーサービス) サーバー
既存の NIS (ネットワーク情報システム) 環境と統合して、 一貫したネームサービスを提供する NIS サーバー
Deja ディレクトリエディタ、ディレクトリ管理のための Java 対応の管理コンソール、任意のブラウザからのアクセスを可能にする Web ゲートウェイなどの各種管理ツールの完備
Sun Directory Services は、X ベースのアプリケーションとして Sun Internet Administrator から管理できます。
Sun Directory Services は、ライセンスなしで 1000 個までのエントリをディレクトリに作成できます。Solaris for ISPs には 5000 個までのエントリ作成を可能にするライセンス証明書が付属しています。ライセンスを有効にするには、FlexLM ライセンスサーバーを使用して登録しなければなりません。ライセンス証明書をインストールして有効にする方法については、『Solaris for ISPs のインストール』を参照してください。
Solaris for ISPs における Sun Directory Services の役割については、このマニュアルの第 5 章「ディレクトリサービスの使用」と第 6 章「Solaris for ISPs のディレクトリサービスのスキーマ」を参照してください。Sun Directory Services のマニュアルとしては、『Sun Directory Services 3.1 管理ガイド』と『Sun Directory Services 3.1 ユーザーズガイド』があり、どちらも AnswerBook2 パッケージとして提供されています。Sun Directory Services の Deja ツールに関しては、オンラインヘルプで詳しく説明しています。
SunScreen SKIP は、IP 暗号化のキー管理の標準である SKIP (インターネットプロトコル用シンプルキーマネージャ) をベースにしています。SKIP の特徴を次に示します。
自動証明書交換
セッションレスプロトコル
IPv4 と IPv6 のマルチキャストおよびユニキャストのパケットプロトコル
CDP (証明書発見プロトコル)
完全な SKIP テクノロジを使用できるのは北米だけですが、各地域向けの輸出用バージョンも提供されています。SKIP をインストールすると、そのマニュアルページが /opt/SUNWicp/man にインストールされます。
Sun Directory Services は FlexLM ライセンスサーバーを使用して、さまざまなサイズのライセンスを管理します。ネットワーク上にバージョン 4.1 以降のライセンスサーバーが存在していれば、そのサーバーを使用して Sun Directory Services のライセンスを管理できます。
Sun Directory Services は、ライセンスなしで 1000 個までのエントリをディレクトリに作成できます。これはディレクトリのインストールと初期化には十分な個数ですが、使用する ISP アプリケーションによっては、より多くのエントリが必要になります。ライセンスキーの取得とサーバーの再構成については、『Solaris for ISPs のインストール』を参照してください。
FlexLM ライセンスサーバーをインストールすると、FlexLM マニュアルページが /opt/SUNWste/license_tools/man にインストールされます。
Solaris for ISPs で提供される HotJava ブラウザは、Sun Internet Administrator などさまざまな管理ツールのユーザーインタフェースとして必要となります。HotJava ブラウザがサポートしているインターネット標準とプロトコルを次に示します。
Java 開発キット 1.1.6
HTTP 1.1 プロトコル
HTML 3.2
表とフレーム
固定クッキー
GIF と JPEG のメディア形式
AU オーディオ形式
FTP と Gopher のファイル転送プロトコル
SMTP と MIME の電子メールプロトコル
SOCKS プロトコル
SSL (Secure Sockets Layer) 3.0
JAR (Java Archive) 形式
Solaris for ISPs で提供される Java 開発キット (JDK) は、Solaris for ISPs コンポーネントからの Java 使用をサポートします。JDK バージョン 1.1.5 が提供する新機能を次に示します。
国際化
署名付きアプレット
JAR ファイル形式
AWT (ウィンドウツールキット) 拡張機能
JavaBeansTM コンポーネントモデル
ネットワーク拡張機能
大きい数値を扱う数値演算パッケージ
RMI (Remote Method Invocation)
リフレクション
データベース接続性 (JDBC)
現バージョンの Solaris for ISPs が提供するサービスを次に示します。
Sun WebServer (SWS)
Sun Internet News Server
Sun Internet FTP Server
どの ISP サービスも、グラフィカルユーザーインタフェース (GUI) はもちろん、コマンド行からも全機能にアクセスできるので、さまざまなスクリプトを自由に作成できます。
Sun WebServer (SWS) は信頼性が高く、安全で、標準に準拠した Web サーバーであり、インターネット、エクストラネット、イントラネット上で情報へのアクセス、管理、配布を可能にします。最新バージョンの SWS に追加された新機能を次に示します。
HTTP/1.1 のサポート。SWS は、最新バージョンの HTTP (名前付き仮想ホスト、コンテントネゴシエーションなど) をサポートします。
スケーラビリティの拡張。複数のサーバープロセスを同一サーバー上で実行し、1 つの管理 GUI から管理できます。そのため、使用できる仮想ホスト数が飛躍的に増加します。
Java Servlet のサポート。通常の CGI スクリプトの代わりに Servlet を使用することにより、サーバー側で Java のクロスプラットフォームが利用でき、同時に処理速度を向上できます。
Secure HTTP 通信。SWS は暗号化された安全な通信を実現するために、SSL 機能と Verisign 証明書をサポートしています。
Microsoft FrontPage のサポート。SWS はよく使用されている FrontPage 拡張機能をオーサリング、管理、動的コンテントなどの分野でサポートしています。
SWS は 2 階層アプリケーションです。Sun Internet Administrator から管理できますが、簡易サインオンは適用されません。SWS は Sun Internet Administrator と管理データを共有するように構成されます。構成方法の詳細は第 7 章「既存サービスアプリケーションの統合」、2 階層アーキテクチャの詳細は、「Sun Internet Administrator によるサービス管理」を参照してください。
Sun Internet News Server は、性能とスケーラビリティに優れたニュースサーバーです。主な機能を次に示します。
クライアント接続に関する高い性能とスケーラビリティ。マルチスレッド対応のマルチプロセスデーモンがクライアント接続を処理するため、多数のニュースリーダーが同時に接続しても、マルチプロセッサ型の Solaris サーバーの利点を活用して高いスケーラビリティを提供します。
完全なニュース提供機能。Sun Internet News Server は、インターネットソフトウェアコンソーシアムが提唱する INN (INN リリース 1.5 セクション 2) に基づいて、ニュース提供機能におけるユーザビリティ改善案をすべて実現しています。
ニュース提供機能とニュースリーダー機能の分離。ニュース提供機能とニュースリーダー機能を分離したことにより、ニュースリーダー接続処理に関して独立したスケーラビリティが実現されています。
ブラウザベースの中央管理。Sun Internet News Server は Sun Internet Administrator に統合して中央管理できる 3 階層サービスで、セキュリティ上のさまざまな利点があります。3 階層アーキテクチャの詳細は、「Sun Internet Administrator によるサービス管理」を参照してください。
これは高い性能とスケーラビリティを備えた FTP サーバーで、次のような拡張機能を提供します。
単一ホスト上の複数ドメイン。Sun Internet FTP Server は、IP ベースの仮想ホストをサポートしています。各仮想ホストは、特定ドメイン向けにサーバーを調整できる独自の構成ファイルを持ちます。
構成可能なユーザー認証。Sun Internet FTP Server は、UNIX アカウントまたは Sun Directory Services レジストリ内のエントリのどちらかを使用して管理者の認証を行います。
ブラウザベースの中央管理。Sun Internet FTP Server は、Sun Internet Administrator に統合して中央管理できる 3 階層サービスで、セキュリティ上のさまざまな利点があります。3 階層アーキテクチャの詳細は、「Sun Internet Administrator によるサービス管理」を参照してください。
一般の UNIX サーバーは多種多様なアプリケーションを実行しなければならないため、デフォルト設定で Solaris をインストールすると、ほとんどの UNIX サービスがインストールされます。それに対して ISP の Solaris 使用環境は、公共環境における特定サービスの提供に限定されています。そのような環境では、厳しいパフォーマンス要件とセキュリティ要件を満たす必要があります。
そのために、ISP の管理者は、Solaris 環境を ISP 向けに強化、調整する大変な作業を行わなければなりません。たとえば、不要な Solaris サービスを停止し、セキュリティ上の弱点をなくすためにファイルのアクセス権を変更するなどの作業が必要になります。そのような作業を行うには、大変な時間がかかります。
Solaris for ISPs に付属しているホスト構成ソフトウェアを使用すると、これらの強化、調整作業を自動化できます。ホスト構成ソフトウェアは、必要なソフトウェアパッケージを適切な場所にコピーするだけでなく、Solaris 2.6 基本環境を強化し、必要に応じてファイルの所有者とアクセスモードを変更して、Solaris のセキュリティとログメカニズムを再構成します。そして最後に、各ホストマシンの目的に合わない Solaris 標準サービス (たとえば、finger や rlogin) を選択的に無効にします。
Solaris for ISPs のホスト構成は、GUI を使用して対話的に行うことも、JumpStart を使用して同じホスト構成を非対話的に実行することもできます。
構成作業では現在のシステム構成に基づいて、インストール可能なソフトウェアコンポーネントはどれか、またインストールまたはインストール解除の対象としてユーザーが選択したコンポーネントはどれかというシナリオを作成します。
ホスト構成ソフトウェアは、インストール後にホストを再構成したり、必要に応じてサービスの追加または削除を行なったりする場合にも使用できます。
GUI を使用して対話的にホスト構成を行うと、構成シナリオを一連のファイル (バイナリ形式ファイルとその関連ファイル) に保存するオプションを選択できます。ISP 管理者は、インストールと構成のシナリオを作成して保存しておき、JumpStart の finish スクリプトでそのシナリオを使用すればインストールから構成までを非対話形式で自動的に実行できます。このような JumpStart によるインストールでは、同じ構成シナリオを何度も利用できます。
JumpStart は、Solaris オペレーティングシステムに組み込まれています。JumpStart を使用すると、再利用可能なカスタマイズ済みの Solaris インストール手順をローカルまたはリモートに実行できます。JumpStart によるカスタムインストールの作成方法については、『Solaris のインストール (上級編)』を参照してください。JumpStart によるカスタムインストールの finish スクリプトでシナリオファイルを使用する方法については、このマニュアルの第 2 章を参照してください。
Sun Internet Administrator を使用すると、あらゆる ISP サービスをローカルに、またはネットワーク経由で安全に中央管理できます。Sun Internet Administrator は、認証された管理者からの要求に応じて各サービスの管理 GUI を呼び出します (要求されたサービスに管理 GUI がある場合)。必要に応じて、Sun Internet Administrator のコマンド行インタフェースも使用できます。
Sun Internet Administrator が提供するセキュリティ機能を次に示します。
管理者の認証。管理者が特定の管理 GUI にアクセスするには、正当なユーザー名とパスワードを入力する必要があります。
管理者のアクセス制御。ISP サービスごとにアクセス制御が行われます。たとえば、ネットワーク上の FTP サーバーの管理者が、ニュースサーバーの管理権も持っているとはかぎりません。ただし、コンソール管理者 (Sun Internet Administrator プロセスの管理者) は、Sun Internet Administrator が管理するすべてのサービスにアクセスできます。
中央監査。管理者による操作はすべてログに記録されるので、後で追跡してさまざまな問題の原因追及に利用できます。
あらゆるネットワークトラフィックに対するプライバシーと完全性の保護。オプションの SKIP ソフトウェアを使用して、Sun Internet Administrator への接続を保護することができます。また、HTTP トラフィックを保護するために SSL を使用することもできます。
Sun Internet Administrator は、2 階層と 3 階層の 2 種類のアーキテクチャのサービスをサポートします。上記のセキュリティ機能がすべて適用されるのは、3 階層アーキテクチャだけです。次の 4 種類のサービス UI がサポートされています。
3 階層のブラウザベースのアプリケーションには、Sun Internet Administrator が提供するセキュリティ上の利点がすべて適用されます。
2 階層のブラウザベースのアプリケーションには簡易サインオン機能は適用されませんが、Sun Internet Administrator から管理できます。SWS を使用して管理アプリケーションをサポートするアプリケーションの場合は、管理者認証を提供するように SWS を構成できます (構成方法については、第 7 章「既存サービスアプリケーションの統合」を参照してください)。2 階層アーキテクチャは、従来のアプリケーションをサポートするためのものです。
X ベースのアプリケーションには、3 階層アプリケーションと同様にすべてのセキュリティ機能が適用されます。
コマンド行から実行されるアプリケーション (スクリプト、プログラム、またはその両方) には、3 階層アプリケーションと同様にすべてのセキュリティ機能が適用されます。特定サービスに対してセキュリティ機能をいくつでも登録して Sun Internet Administrator から管理できます。その場合は、コマンド行プログラムのための Web インタフェースが構築されます。
ブラウザベースの 3 階層アプリケーションには、Sun Internet Administrator が提供するセキュリティ上の利点がすべて適用されます。
図 1-3 に示すように、管理者は次の手順でサービスの管理機能にアクセスします。
管理者は、ブラウザで特定の URL (Sun Internet Administrator の GUI メインページが入っている場所) を要求します。
クライアントブラウザに AWC がダウンロードされるので、管理対象とするサービスを選択します。
管理者のユーザー名とパスワードを要求するプロンプトが表示されます。このとき、コンソール GUI にアクセスできる UNIX アカウントを使用する必要はありません。Sun Internet Administrator の管理者情報は、ディレクトリサービスのレポジトリ (Sun Directory Services) が管理しているからです。この接続プロセスは、secure HTTP を使用して保護できます。
選択されたサービスは、そのサービスの ASCA の URL を要求し、それに対してサーバーエージェントの GUI がダウンロードされます。この時点で、サービスの管理プログラムに制御が渡されます。
以降のアクセスは、クライアントブラウザと、AWS 上にあるコンポーネントのサーバーエージェントの間で直接行われます。
AWS はディレクトリサービスに対する管理者認証を行い、管理者の要求をすべてログに記録します。管理者が適切なアクセス権を持っていれば、その要求を ASRA に渡します。
ASCA と ASRA の通信は、サービスの開発者が選択したプロトコルで行われます。この接続プロセスとその関連トラフィックは、適切な IP レベルのセキュリティ対策で保護できます。
ASRA も管理者による各操作を認証して記録します。ネットワーク通信を保護するために、SKIP を使用して IP レベルを暗号化できます。
Solaris for ISPs では、ASCA および ASRA モジュールがコマンド行プログラムと X ベースプログラムの両方に提供されています。アプリケーションを登録すると、Sun Internet Administrator はそれらのアプリケーションを自動的に使用します。
アプリケーションによっては、特に既存のサービスでは Sun Internet Administrator からアクセスするのに 2 階層アーキテクチャを使用する方が実用的なことがあります。このようなサービスは Sun Internet Administrator から管理できますが、セキュリティ上の利点のうち簡易サインオンとログ機能は使用できません。
図 1-4 に示すように、管理者は次の手順でサービスの管理機能にアクセスします。
管理者はブラウザで特定の URL (コンソールの GUI メインページが入っている場所) を要求します。
この手順は 3 階層アーキテクチャの場合と同じです。クライアントブラウザに AWC がダウンロードされるので、管理対象とするサービスを選択します。
選択されたサービスは、そのサービスの ASRA の URL を要求します。そのサービスの管理 GUI がブラウザベースでなければ、開発者が選択した別のプロトコルが使用されます。
以降のアクセスは、クライアントブラウザと、サービスの遠隔エージェントの間で直接行われます。この接続プロセスとその関連トラフィックは、適切な IP レベルのセキュリティ対策で保護されなければなりません。
2 階層アーキテクチャを使用するサービスは、簡易サインオン機能を利用できません。