一般の UNIX サーバーは多種多様なアプリケーションを実行しなければならないため、デフォルト設定で Solaris をインストールすると、ほとんどの UNIX サービスがインストールされます。それに対して ISP の Solaris 使用環境は、公共環境における特定サービスの提供に限定されています。そのような環境では、厳しいパフォーマンス要件とセキュリティ要件を満たす必要があります。
そのために、ISP の管理者は、Solaris 環境を ISP 向けに強化、調整する大変な作業を行わなければなりません。たとえば、不要な Solaris サービスを停止し、セキュリティ上の弱点をなくすためにファイルのアクセス権を変更するなどの作業が必要になります。そのような作業を行うには、大変な時間がかかります。
Solaris for ISPs に付属しているホスト構成ソフトウェアを使用すると、これらの強化、調整作業を自動化できます。ホスト構成ソフトウェアは、必要なソフトウェアパッケージを適切な場所にコピーするだけでなく、Solaris 2.6 基本環境を強化し、必要に応じてファイルの所有者とアクセスモードを変更して、Solaris のセキュリティとログメカニズムを再構成します。そして最後に、各ホストマシンの目的に合わない Solaris 標準サービス (たとえば、finger や rlogin) を選択的に無効にします。
Solaris for ISPs のホスト構成は、GUI を使用して対話的に行うことも、JumpStart を使用して同じホスト構成を非対話的に実行することもできます。
構成作業では現在のシステム構成に基づいて、インストール可能なソフトウェアコンポーネントはどれか、またインストールまたはインストール解除の対象としてユーザーが選択したコンポーネントはどれかというシナリオを作成します。
ホスト構成ソフトウェアは、インストール後にホストを再構成したり、必要に応じてサービスの追加または削除を行なったりする場合にも使用できます。
GUI を使用して対話的にホスト構成を行うと、構成シナリオを一連のファイル (バイナリ形式ファイルとその関連ファイル) に保存するオプションを選択できます。ISP 管理者は、インストールと構成のシナリオを作成して保存しておき、JumpStart の finish スクリプトでそのシナリオを使用すればインストールから構成までを非対話形式で自動的に実行できます。このような JumpStart によるインストールでは、同じ構成シナリオを何度も利用できます。
JumpStart は、Solaris オペレーティングシステムに組み込まれています。JumpStart を使用すると、再利用可能なカスタマイズ済みの Solaris インストール手順をローカルまたはリモートに実行できます。JumpStart によるカスタムインストールの作成方法については、『Solaris のインストール (上級編)』を参照してください。JumpStart によるカスタムインストールの finish スクリプトでシナリオファイルを使用する方法については、このマニュアルの第 2 章を参照してください。