Sun Directory Services により、NIS と同じレベルのサービスを提供できます。表 6-1 は、標準の NIS 機能が Sun Directory Services でどのように実現されているかを示します。
表 6-1 NIS 機能と LDAP 機能の対応
Sun Directory Services |
従来の NIS |
NIS サービス |
---|---|---|
dsservd |
ypserv |
NIS 要求に応答するサーバープロセス |
dsyppasswdd |
rpc.yppasswdd |
NIS passwd テーブルを変更するためのデーモン |
dsypxfrd |
ypxfrd |
NIS テーブルを転送してマスターサーバーとスレーブサーバーを同期させるデーモン |
dsyppush |
yppush |
更新をスレーブサーバーに伝達するときにマスターサーバーで使用するコマンド |
dsypxfr |
ypxfr |
更新を NIS マスターに要求するときにスレーブの NIS サーバーで使用するコマンド |
dsmakedbm |
makedbm |
標準ファイルから NIS テーブルを作成するプロセス |
dsypinit |
ypinit |
NIS クライアント、NIS マスターサーバー、NIS スレーブサーバーを初期設定するプロセス |
dsyprsvd |
rpc.nisd_resolv |
DNS アクセス |
dsservd デーモンは、NIS デーモン ypserv と同じようにして NIS 要求を受信し、応答します。このデーモンは NIS をネイティブモードでサポートするので、NIS 要求を LDAP 要求に変換したり、LDAP 応答を NIS 応答に変換したりすることはありません。
さらに、dsservd デーモンは NIS テーブルの最新コピーを維持しているので、伝達要求は高速に処理されます。このデーモンは、/etc/opt/SUNWconn/ldap/current/mapping/nis.mapping ファイルのマッピング情報に基づいてディレクトリ情報を NIS テーブルに変換します。
dsservd デーモンの構成方法については、dsservd(8) のマニュアルページを参照してください。
dsservd デーモンは LDAP サーバーでもあります。
dsyppasswdd デーモンは、LDAP ディレクトリに格納されているパスワードテーブルの変更を管理します。このデーモンはマスターサーバーで動作し、passwd コマンドでパスワード、(gecos フィールドの) 記述全体、またはシェルを変更するユーザーの要求に応答します。dsyppasswdd デーモンは、LDAP データベースだけでなく、NIS passwd ファイルも更新します。さらに、shadow ファイルがある場合は、このファイルも更新します。
dsyppasswdd デーモンの構成方法については、dsyppasswdd(8) のマニュアルページを参照してください。
dsypxfrd デーモンは、従来の NIS 環境において、マスターサーバーからスレーブサーバーへの NIS テーブルの伝達を管理します。このデーモンは、NIS 情報の LDAP 複製は管理しません。このプロセスはマスターサーバーだけで動作します。
dsypxfrd デーモンは、NIS 環境の ypxfrd デーモンと同じように動作します。つまり、スレーブサーバーで動作する dsypxfrd プロセスからの要求を待ち、要求されたテーブルを配信します。dsservd デーモンは、処理を速くするためにすべての NIS テーブルの最新コピーを持っています。したがって、NIS テーブルを転送する前に、それらのテーブルを LDAP ディレクトリの情報から作成する必要はありません。
dsypxfrd の構成方法については、dsypxfrd(1M) のマニュアルページを参照してください。
dsyppush コマンドは、更新を NIS スレーブサーバーに伝達するときにマスターサーバーで使用します。このデーモンは、/var/yp にある NIS Makefile によって呼び出されます。さらに、管理コンソールで「自動配信 (Autopush)」オプションが有効に設定されていれば、ディレクトリが変更されると、このデーモンが自動的に起動されます。
詳細は、dsyppush(1M) のマニュアルページを参照してください。
dsypxfr コマンドは、更新を NIS マスターサーバーに要求するときにスレーブサーバーで使用します。このコマンドは、マスターサーバーで動作しローカルデータベースを更新する dsypxfrd デーモンを呼び出します。この更新は、標準の NIS 伝達を使って行われます。
詳細は、dsypxfr(1M) のマニュアルページを参照してください。
dsmakedbm コマンドは、NIS ソースファイルに格納されている情報から NIS テーブルを作成します。このコマンドは、dsimport ユーティリティを呼び出して、ディレクトリに NIS エントリを作成するという点が NIS の標準の makedbm とは少し異なります。
dsypinit コマンドは、NIS サーバーをマスターサーバーやスレーブサーバーとして宣言または初期設定するときに使用します。NIS の標準の ypinit コマンドの代わりに、このコマンドで NIS クライアントを初期設定することもできます。
詳細は、dsypinit(1M) のマニュアルページを参照してください。
NIS サービスの初期設定には dsypinit を使用しないでください。初期設定の場合には、「NIS サービスを初期設定するには」の dsypinstall を使用してください。
dsyprsvd デーモンは、要求されたホスト情報がディレクトリの NIS エントリにない場合は DNS サーバーに連絡します。このデーモンが動作するのは、NIS サーバーが DNS 相互運用モードで動作するように構成されている場合だけです。この指定は、NIS 初期設定スクリプト dsypinstall のプロンプトに対して入力します。
詳細は、dsyprsvd(1M)のマニュアルページを参照してください。