本書で使用する主要な用語について説明します。
TeamWare の各ワークスペースには、その最上位ディレクトリに Codemgr_wsdata という名前のメタデータディレクトリがあります。ワークスペース管理ツールは、ワークスペースに関するデータをこの Codemgr_wsdata ディレクトリに格納します。Codemgr_wsdata ディレクトリが存在するかどうかで、通常のディレクトリか、ワークスペース管理ツールのワークスペースが判断できます。詳細は、「ワークスペースのメタデータディレクトリ」を参照してください。
ワークスペース管理ツールに付属しているデフォルトの FLP (ファイルリストプログラム)。この FLP はディレクトリ階層を再帰的に下り、対応する SCCS 履歴ファイルが存在するすべてのファイルの一覧を示します。「FLP」の項目も参照してください。
File List Program (ファイルリストプログラム) の略。ファイルリストを生成して標準出力 (stdout) に出力するプログラムまたはスクリプトです。ワークスペース管理ツールは、この出力をブリングオーバーおよびプットバックトランザクションで処理します。
SCCS 履歴ファイルから sccs get コマンドによって取り出したファイルの作業用コピー。
SID は、特定のデルタを表わすときに使用する番号です。ID は、2 つの部分から構成され、その間はドット (.) で区切られています。デフォルトでは、最初のデルタの SID は 1.1 になります。SID の最初の部分はリリース番号を、2 番目の部分はレベル番号を表わします。デルタをチェックインするたびに、レベル番号は自動的に「1」ずつ加算されます。
SMID は、Xerox Secure Hash Function を使用して生成される番号です。SID が変更された場合でも、すべてのデルタを一意に識別できます。
あるファイルのデルタ履歴が格納されているファイル。ファイル名の先頭に s. が付くことから「エスドットファイル」とも呼ばれます。SCCS 履歴ファイルは SCCS ディレクトリに存在しなければなりません。これは g-ファイルの格納ディレクトリと同様です。「g-ファイル」の項目も参照してください。
SCCS デルタ ID。特定の SCCS デルタを表わすときに使用する番号です。
SCCS マージ可能 ID。特定の SCCS デルタを一意に識別する番号です。
ユーザがワークスペースへのアクセスを制御できるようにするワークスペース管理ツールの機能の 1 つ。
子ワークスペースの親を変更すること。
その Codemgr_wsdata/children ファイルにリストされている子ワークスペースを持つワークスペース。親ワークスペースは通常、統合領域として使用されます。一方、子ワークスペースは、開発、テスト、衝突解決などの作業に使用されます。
ワークスペース管理コマンドがワークスペース上でデータを変更したときに発生するロック。1 つのワークスペースについては、一度に 1 つの書き込みロックしか得られません。書き込みロックが有効な間は、書き込みロックを所有するコマンドだけが、そのワークスペースに書き込みを行うことができます。また、ほかのコマンドはそのワークスペースに対する読み取りロックを得ることはできません。「ロック」および「読み取りロック」の項目も参照してください。
1 つまたは複数のファイルがソースワークスペースと宛先ワークスペースの両方に存在し、ソースワークスペース側で変更があった場合に、ブリングオーバーまたはプットバックトランザクションでそれらのファイルを更新することを言います。宛先ワークスペース上の SCCS 履歴ファイルはソースワークスペースから得られる新しいデルタで更新されます。
既存の子ワークスペースの内容を、その親ワークスペース上に存在するファイルで更新するときに使用されるトランザクション。ワークスペース管理ツールのトランザクションはすべて、子ワークスペース側の視点から実行されます。このため、更新ブリングオーバートランザクションは親ワークスペースから子ワークスペースにファイルを「引き渡す (ブリングオーバー)」と言います。「作成ブリングオーバー」、「ワークスペース」、および「プットバック」の項目も参照してください。
ワークスペース管理ツールの基礎となる並列的に共同開発を行うための作業形態。これによって、複数の開発者はそれぞれ共通の統合領域からソースをコピーし、そのソースに独自の変更を加え、自分が加えた変更をほかの共同開発者が加えた変更内容とマージする、という一連の開発作業を進めます。
Codemgr_wsdata/parents ファイルにリストされている親ワークスペースを持つワークスペース。開発作業は通常子ワークスペース内で行われ、テスト終了後、完成ファイルはその親ワークスペースに戻され (プットバックされ) ます。ワークスペース管理ツールのトランザクションは子ワークスペース側の視点から実行され、すべての衝突は子ワークスペースで解決されます。
ワークスペース管理ツールのワークスペースの最上位ディレクトリ。このディレクトリのパス名が、ワークスペースを参照するための名前となります。
ワークスペース管理ツールのトランザクション出力で使用されます。あるファイルがソースワークスペース上には存在するが宛先ワークスペース上には存在しない場合、ブリングオーバーまたはプットバックのトランザクション実行時に、そのファイルが宛先ワークスペースにコピーされたとき、そのファイルは「作成」されたと言います。
ファイルを親ワークスペースから、存在しない子ワークスペースにコピーするときに使用されるトランザクション。このトランザクションを実行すると、指定された子ワークスペースが新たに作成されます。ワークスペース管理ツールのトランザクションはすべて、子ワークスペース側の観点から実行されます。このため、作成ブリングオーバートランザクションは親ワークスペースから子ワークスペースにファイルを「引き渡す (ブリングオーバー)」と言います。「更新ブリングオーバー」、「ワークスペース」、および「プットバック」の項目も参照してください。
あるファイルが子ワークスペースと親ワークスペースの両方で変更されたときに生じる状態。衝突は更新ブリングオーバートランザクションによってその存在が確認され、衝突解決トランザクションによって解決します。
2 つの衝突したデルタから新しいデルタを作成すること。「マージ」および「衝突」の項目も参照してください。
ファイルやディレクトリの変更などのイベントが発生したことをユーザにメールで通知する、ワークスペース管理ツールの機能の 1 つ。
次のデルタが追加される SCCS 履歴ファイル内のブランチ。
あるファイルの 2 つのバージョンの差分について SCCS 履歴ファイルに収録されたデータの集まり。ファイルをチェックインすると、SCCS は、チェックインされたファイルとそのファイルの旧バージョン間の差分を行単位でのみ記録します。この一連の差分をデルタと呼びます。最初にチェックアウトした時点のバージョンのファイルは、一連の累積されたデルタから構成されています。デルタとバージョンという用語は、多くの場合同義語として使用されますが、意味は同じではありません。特定のデルタを除外したバージョンを抽出することができます。「バージョン」の項目も参照してください。
複数の開発者がそれぞれの作業結果をプットバックする (そして、マージする) 場所となるワークスペース。
直前に実行されたブリングオーバーやプットバックトランザクションを無効にして、ワークスペースを直前の状態に戻すこと。
ファイルをチェックインすると、SCCS は、チェックインされたファイルとそのファイルの旧バージョン間の差分を行単位でのみ記録します。この一連の差分をデルタと呼びます。最初にチェックアウトした時点のバージョンのファイルは、一連の累積されたデルタから構成されています。デルタおよびバージョンという用語は、多くの場合同義語として使用されますが、意味は同じではありません。特定のデルタを除外したバージョンを抽出することができます。「デルタ」の項目も参照してください。
SCCS を利用するためのグラフィカルインタフェースを提供する TeamWare ツールの 1 つ。第 9 章「SCCS ファイルのマージ」または第 11 章「バージョン管理ツールの使用」を参照してください。
衝突解決トランザクション実行時にデルタをマージするために使用される TeamWare ユーティリティ。第 8 章「衝突の解決」および第 3 章「ファイルマージの概要」を参照してください。
子ワークスペース上に存在するファイルによって親ワークスペースを更新するために使用するトランザクション。ワークスペース管理ツールのトランザクションはすべて、子ワークスペース側の観点から実行されます。このため、プットバックトランザクションは子ワークスペースから親ワークスペースにファイルを「戻す (プットバック)」と言います。「作成ブリングオーバー」、「更新ブリングオーバー」、「ワークスペース」の項目も参照してください。
SCCS 履歴ファイルの主デルタツリーから枝分かれしたデルタまたは一連のデルタ。
フリーズポイントツールを使用して保存した、ある時点のワークスペースの状態。
重要な箇所でワークスペースの「スナップショット」をとるために使用される TeamWare ユーティリティ。第 14 章「フリーズポイントツールの使用」を参照してください。
内容に相違が存在する 2 つのファイル (デルタ) から、相違を統合した 1 つのファイルを作成すること。通常、この処理はファイルマージプログラムを使用して行います。
ワークスペース管理コマンドがワークスペースの内容を検査している時に発生するロック。読み取りロックにより、コマンドがワークスペース内のファイルを検査している間は、そのワークスペースに変更を加えることはできません。読み取りロックは、複数のコマンドが同時に得ることもあります。読み取りロックが有効な間、ワークスペース管理コマンドはいずれもそのワークスペースに書き込みを行うことはできません。「ロック」および「書き込みロック」の項目も参照してください。
最初にファイルを SCCS の管理下に置いた時点で、その新しい SCCS ファイル用に履歴ファイルが作成されます。履歴ファイルの初期バージョンには、ソースファイルの全テキストをそのまま使用します。この後作成されるデルタは、この初期の履歴ファイルと比較されます。履歴ファイルは、その接頭辞 (.s) から s. ファイル (エスドットファイル) とも呼ばれます。
ファイルの整合性を保持するため、ワークスペース管理ツールのブリングオーバーおよびプットバックトランザクションは、その処理が完了するまでワークスペースをロックします。ロック状態は、各ワークスペース内の Codemgr_wsdata/lock ファイルに記録されます。ワークスペース管理ツールのコマンドをワークスペースに対して実行しようとすると、実行前にワークスペースのこのファイルがチェックされます。「読み取りロック」および「書き込みロック」の項目も参照してください。
特別な用途の (ただし標準の) ディレクトリおよびそのサブディレクトリ階層。通常、同じプロジェクトに携わる各開発者は、それぞれ独自のワークスペース上でほかの開発者と並行して作業を進めます。ワークスペース管理ツールは、このような共同開発用に、ワークスペースからワークスペースにファイルをインテリジェントにコピーすることができる各種ユーティリティを提供しています。
プログラマやリリースエンジニアがソフトウェア製品の開発、テスト、共有、リリースを行えるようにする親子ワークスペースの階層。