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親子関係

あるワークスペースからファイルをコピーして別のワークスペースを作成すると、それらのワークスペースの間には親子関係が築かれます。すなわち、オリジナルのワークスペースは新たに作成されたワークスペースの親であり、新しいワークスペースはその子ということになります。この方法により、ワークスペース管理ツールの任意のワークスペースからファイルを取得することができます。また、ワークスペースはいくつでも子を持つことができます。親ワークスペースから何をコピーするかは、コピーする時点に決定します。親からそのすべての内容をコピーすることもでき (この場合、親と子はまったく同じ内容となります)、必要な部分だけをコピーすることもできます。このように、親ワークスペースから子ワークスペースにファイルをコピーするときに行うトランザクションを「ブリングオーバー」と呼びます。


注 -

ブリングオーバートランザクションを使用して、存在しないワークスペースにファイルをコピーしようとすると、新たに子ワークスペースが作成されて、そのワークスペースにファイルがコピーされます。これは、ブリングオーバートランザクションの特殊な処理で、「作成ブリングオーバー」トランザクションと言います。また、「更新ブリングオーバー」トランザクションを使用すると、既存の子ワークスペースの内容を更新できます。


このような親子関係は、プロジェクトデータが親と子の間でのみやりとりされる点が特殊です。子ワークスペースに格納されているファイルはすべて、親ワークスペースから取り込まれたものであるか、あるいは子ワークスペース内で作成されたものです 。子ワークスペースで開発とテストが完了すれば、そのワークスペースで変更あるいは追加したファイルを親ワークスペースに戻すことができます。また、変更したファイルが親ワークスペースに存在する場合には、それらを別の子ワークスペースにコピーしたり、その親ワークスペースの 1 つ上の親ワークスペースに渡すことも可能です。子ワークスペースから親ワークスペースにファイルをコピーするときに行うトランザクションを「プットバック」トランザクションと言います。


注 -

子ワークスペースが別のワークスペースの親でない場合は、新しいファイルをその子ワークスペースからコピーすることもできます。


ワークスペースの階層は、ブリングオーバートランザクションを行なっていくつかの子ワークスペースを作成することによって形成されます。したがって、親子ワークスペースの階層を見ると、プロジェクト全体でデータがどのように移動するかを知ることができます。

次に挙げる例では、あるワークスペースで最初にプロジェクトが作成された後、ブリングオーバートランザクションによって 3 層のワークスペース階層が作成されています。オリジナルのワークスペースは統合ワークスペースの親と見なされ、逆に統合ワークスペースはオリジナルのワークスペースの子と見なされます。この例では、図 2-3 に示すように開発者 1、開発者 2、開発者 3 の 3 名の開発者がそれぞれ作成ブリングオーバートランザクションを使用して、統合ワークスペースから子ワークスペースを作成し、これによって 3 層のワークスペース階層が形成されています。

図 2-3 作成ブリングオーバーによるワークスペース階層の作成

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この階層では、開発者 1 のワークスペースから開発者 2 と開発者 3 がそれぞれ所有する「兄妹」ワークスペースにファイルをコピーすることができます。図 2-4 に示すように、開発者 1 はプットバックトランザクションを使用して自分のワークスペースから変更したファイルを共通の親にコピーし ()、開発者 2 と開発者 3 が更新ブリングオーバートランザクションを使用して親からそれぞれのワークスペースにファイルをコピーします ()。

図 2-4 ワークスペース間でのファイルのコピー

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