ワークスペースからファイルを削除するというワークスペース管理ツールでの操作は、一般的な削除の概念と少し異なります。ワークスペースからファイルを削除するときに rm コマンドを使用すると、ワークスペース管理ツールはそのファイルがワークスペースの親または子で新たに作成されたものであると見なします。
たとえば、次の例を考えてみましょう。ファイル "C" が rm コマンドで子ワークスペースから削除された後、更新ブリングオーバーを使用してこの子ワークスペースを更新する場合です。
ワークスペース管理ツールはまず 2 つのワークスペースを検査して、ファイル "C" が親には存在するが、子には存在しないことを確認します。そこで、ワークスペース管理ツールは子にファイル "C" を作成します。
このような動作をすることから、ワークスペース内のファイルを削除したい場合には、一定の規則をプロジェクト内で決めておきます。たとえば、削除するファイルには、その名前の先頭に .del- という接頭辞を付けるようにします。
example% mv module.c .del-module.c example% mv SCCS/s.module.c SCCS/s..del-module.c
この方法には、次のような利点があります。
SunOS のデフォルトのコマンド (たとえば、ls) でこのファイルを表示させることができなくなります。
ワークスペース管理ツールはこのファイルを再作成しません。
ワークスペース管理ツールはこの変更をワークスペース階層全体をとおして名前変更されたものとして扱い、結果的にワークスペース全体でこのファイルは削除されたものと同じことになります。
実際に削除されたわけではないので、後でこのファイルが関連するリリースの再作成に利用することができます。たとえば、ファイルがフリーズポイントの一部になっていた場合などです。フリーズポイントについては、第 4 章「プロジェクトの開始」および第 14 章「フリーズポイントツールの使用」を参照してください。