この章は、ネットワーク内で使用するプリンタの管理について『Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』で説明している内容を補足するものです。
この章では、Solaris Print Manager を使用してプリンタを設定し、ネットワーク上のシステムがプリンタを使用できるようにする方法を説明します。Solaris Print Manager は、SolarisTM Easy Access Server 3.0 リリースで利用できます。この章で説明する操作手順は次のとおりです。
プリンタの概要については、Solaris 7 System Administrator Collection - Japanese の『Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』を参照してください。
Solaris Print Manager には次のような特徴があります。
ローカルとリモートのプリンタへのアクセスを管理するための Java ベースの GUI ツール
NIS、NIS+ (フェデレーテッドネーミングサービス (FNS) を使用)、files などのネームサービスのサポート
lp コマンド表示のサポート。Solaris Print Manager が呼び出す実際の lp コマンドは、メニューから「コマンド行コンソールを表示 (Show Command-Line Console)」を選択すると表示できる。印刷システムで問題が発生した場合には、このコマンド行コンソールを使用して解決できる
プリンタ情報をネームサービスに追加すると、ネットワーク上のすべてのシステムがプリンタにアクセスできるようになります。また、プリンタに関するすべての情報が集中管理されるため、一般にプリンタの管理が簡単になります。
ネームサービス |
プリンタ情報の集中化 |
使用する |
プリンタを NIS または NIS+ データベースに追加すると、ネットワーク上のすべてのシステムがそのプリンタを利用できるようになる |
使用しない |
プリンタを追加しても、プリンタ情報は印刷サーバーの構成ファイルに追加されるだけで、印刷クライアントからはプリンタ情報を自動的に認識できない プリンタを使用する必要がある印刷クライアントごとにプリンタ情報を追加しなければならない |
次の表で、印刷管理に関係する主な特徴と、印刷管理のツールについて説明します。
表 1-1 Solaris の印刷関連ツールの特徴
ツール |
含まれるソフトウェア |
GUI の使用 |
ネットワークプリンタの構成 |
印刷クライアントとサーバーの管理 |
NIS または NIS+ のサポート |
---|---|---|---|---|---|
Solaris Print Manager |
Solaris Easy Access Server 3.0 |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
Admintool |
Solaris 7 とその互換バージョン |
◯ |
* |
◯ |
* |
lp コマンド |
Solaris 7 とその互換バージョン |
* |
◯ |
◯ |
◯ |
上記の表から、使用しているネットワーク環境に最適の印刷ツールを決定してください。各ツールを使用したプリンタの設定方法については、次の表の説明個所を参照してください。
表 1-2 プリンタの設定情報
プリンタの設定に使用するツール |
説明個所 |
---|---|
Solaris Print Manager (ネームサービスを使用する場合と使用しない場合) | |
Admintool |
『Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』 |
lp コマンド |
『Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』 |
新しい Solaris Print Manager は、印刷サーバー、印刷クライアント、およびネームサービスのデータベースにある既存のプリンタ情報を認識します。印刷クライアントで Solaris 2.6 または Solaris 7 リリースを実行している場合は、特に変換作業を行わなくても、新しい Solaris Print Manager を使用することができます。
Solaris Print Managerを NIS+ (FNS を使用) または NIS で使用する場合、次の各節を参照してください。
Solaris Print Manager でプリンタ情報を管理するには、FNS の設定時に作成された NIS+ テーブル fns.ctx_dir.<domain> を使用して NIS+ (FNS を使用) を実行していなければなりません。
このほか、次のことに注意してください。
Solaris Print Manager では、Solstice AdminSuite プリンタマネージャの場合と同様に、フェデレーテッドネーミングコンテキスト (thisorgunit/service/printer) のプリンタ情報だけを管理できる
Solaris Print Manager では、/usr/bin/fncreate_printer コマンドで他のコンテキストまたはサブコンテキストに追加されたプリンタ情報を管理できない
Solaris Print Manager を使用して fns.ctx_dir.<domain> ファイルを更新するには、次の作業を行う必要がある
Solaris Print Manager を実行するシステムを、fns.ctx_dir.<domain> ファイルの更新が許可されている NIS+ の admin グループに追加する
FNS と NIS+ の資格については、fns_nis+(5) と nisgrpadm(1) のマニュアルページを参照してください。
Solaris Print Manager をスーパーユーザーで起動する
NIS+ の構成によっては、/usr/bin/keylogin コマンドを実行する必要があります。詳細については、keylogin(1) のマニュアルページを参照してください。
NIS ネームサービスを実行しているシステムでは、Solaris Print Manager を使用して、NIS (yp) 互換モードで動作している NIS+ マスターネームサーバーを更新することはできません。
NIS 互換モードで動作している NIS+ デーモンが応答できる NIS マップへの要求は制限され、この中には printers.conf.byname は含まれていません。
この場合、唯一利用できる選択肢は files です。
NIS の互換性 (-Y オプション) については、rpc.nisd(1M) のマニュアルページを参照してください。
Solaris Print Manager を使用して NIS ネームサービスのプリンタ情報を更新するときは、次のことに注意してください。
NIS マップ printers.conf.byname を作成する場合は、/etc/printers.conf をソースファイルとしなければならない。これ以外のソースファイルを使用してプリンタ情報を更新するように NIS の makefile を変更している場合、Solaris Print Manager では、NIS ネームサービスのプリンタ情報を管理することができない
ネットワークに NIS マスターサーバーと NIS スレーブサーバーが設定されている場合、NIS スレーブでは、NIS スレーブが更新されるまで、更新されたプリンタ情報を認識することができない。詳細については、ypmake(1M) のマニュアルページを参照
NIS サーバーで Solaris 2.5 およびその互換バージョンを実行している場合、マップを更新するには NIS マスターサーバーに対する明示的なアクセス権が必要になる。アクセス権があるということは、NIS マスターサーバーのスーパーユーザー (root) の .rhosts ファイルに、そのシステム名のエントリがあるということを意味している
Solaris Print Manager では、ローカルまたはリモートのプリンタへのアクセスを設定するとき、デフォルトプリンタを定義できます。デフォルトプリンタとは、出力先プリンタを指定しない場合に印刷要求が送信されるプリンタのことです。
デフォルトプリンタは、選択したネームサービスや、プリンタがローカルであるかリモートであるかによって変わります。ネームサービス環境でのデフォルトプリンタの設定については、次の表を参照してください。
選択したネームサービス |
プリンタの状態 |
設定対象 |
---|---|---|
NIS または NIS+ (xfn) |
リモート |
デフォルトプリンタはネームサービスだけに設定される。ローカルシステムには設定されない |
NIS または NIS+ (xfn) |
ローカルシステムに接続 |
デフォルトプリンタはネームサービスとローカルシステム両方に設定される |
files |
設定しない |
デフォルトプリンタはローカルシステムにだけ設定される |
ユーザーごとにデフォルトプリンタを設定する方法については、「.printers ファイルの設定」を参照してください。
Solaris Print Manager を使用してシステム上にプリンタを設定する場合は、プリンタの特性を定義して、どのユーザーにそのプリンタへのアクセスを許可するかを指定します。プリンタをインストールしたシステムのことを印刷サーバーと呼びます。また、ケーブルで物理的にプリンタサーバーに接続されたプリンタをローカルプリンタ、ネットワークに物理的に接続されていて、印刷サーバーのローカルプリンタとみなされるプリンタのことをネットワークプリンタと呼びます。プリンタへのアクセスまたはリモートアクセスを追加すると、印刷クライアント (印刷サーバー以外でプリンタを使用するすべてのマシン) にプリンタへのアクセスが許可されます。
次の表では、プリンタを設定するために必要な情報を決定する、プリンタのプロパティについて説明します。
プリンタのプロパティ |
説明 |
例 |
デフォルトの設定 |
省略の可否 |
---|---|---|---|---|
プリンタ名 |
プリンタの名前 |
laser1 |
なし |
ローカルプリンタやネットワークプリンタをインストールするとき、プリンタへのアクセスを追加するときには必須 |
印刷サーバー |
印刷サーバーの名前 |
venus |
ローカルシステム |
ローカルプリンタやネットワークプリンタをインストールするとき、プリンタへのアクセスを追加するときには必須 |
備考欄 |
ユーザーが定義する文字列 |
休憩所の近くのレーザープリンタ |
なし |
省略可能 |
プリンタポート |
デバイスプリンタが接続されているポート |
/dev/term/a |
/dev/term/a |
ローカルプリンタをインストールするときには必須 |
プリンタタイプ |
プリンタの種類 |
PostScript |
PostScript |
ローカルプリンタやネットワークプリンタをインストールするときには必須 |
ファイルの形式 |
印刷されるファイルの形式 |
任意 |
PostScript |
ローカルプリンタやネットワークプリンタをインストールするときには必須 |
送信先 |
ネットワークプリンタの送信先名 |
なし |
ネットワークプリンタをインストールするときには必須 |
|
プロトコル |
プリンタとの通信に使用するプロトコル |
TCP |
BSD |
ネットワークプリンタをインストールするときには必須 |
プリンタ障害通知 |
ユーザーにエラーを通知する方法 |
スーパーユーザーにメールを送信する |
スーパーユーザーに対し write を実行する |
省略可能 |
デフォルトプリンタ |
デフォルトプリンタを指定する |
なし |
なし |
省略可能 |
バナーを常に印刷 |
印刷ジョブと一緒にバナーを印刷するかどうか |
なし |
バナーを常に印刷 |
省略可能 |
アクセス可能ユーザー |
印刷を許可されたユーザーのリスト |
rimmer,lister |
すべてのユーザーが印刷可能 |
省略可能 |
Solaris Print Manager でプリンタを設定する作業については、次の表の手順の説明を参照してください。
表 1-3 作業マップ: 印刷の設定
作業 |
説明 |
手順の説明 |
---|---|---|
プリンタの設定に使用する印刷ツールの決定 |
Solaris ネットワーク環境では、複数のプリンタ設定ツールを用意している | |
ローカルプリンタのインストール |
Solaris Print Manager を使用 プリンタを物理的にシステムに接続した後、Solaris Print Manager を使用してローカルプリンタをインストールし、印刷可能にする | |
ネットワークプリンタのインストール |
Solaris Print Manager を使用 プリンタを物理的にネットワークに接続した後、Solaris Print Manager を使用してネットワークプリンタをインストールする | |
プリンタへのアクセスの追加 |
Solaris Print Manager を使用 Solaris Print Manager を使用して、プリンタへのアクセスを印刷クライアントに追加する | |
.printers ファイルの設定 |
省略可能。$HOME/.printers ファイルを使用すると、ユーザー独自のカスタムプリンタ別名を設定できる | |
バナーページの印刷設定 |
省略可能。Solaris Print Manager を使用 バナーページを印刷するかどうかを設定する | |
プリンタ障害通知の設定 |
省略可能。Solaris Print Manager を使用 プリンタ障害通知を設定する | |
プリンタへのユーザーアクセスの制限 |
省略可能。デフォルトでは、すべてのユーザーがプリンタにアクセスできる。プリンタへアクセスできるユーザーを制限するには、拒否リストを設定する |
『Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』を参照 |
プリンタの削除 |
省略可能。Solaris Print Manager を使用 プリンタを削除するには、「プリンタ(Printer)」メニューから「プリンタを削除 (Delete Printer)」を選択する |
Solaris Print Manager を使用してプリンタを設定するには、Solaris Management ConsoleTM から Solaris Print Manager を起動します。
次の条件を満たしていることを確認します。Solaris Print Manager を使用する条件は次のとおりです。
ビットマップディスプレイモニターがあること。Solaris Print Manager は、 Sun のワークステーションの標準ディスプレイモニターなど、ビットマップ画面のコンソールを使用するシステムでだけ使用できる
X Window System (CDE 環境など) が動作していること。または、xhost 環境を実行しているシステム上でリモートディスプレイ機能を使用していること
ローカルプリンタまたはネットワークプリンタをインストールするときは、印刷サーバーにスーパーユーザーでログインしていること。プリンタへのアクセスを追加するときは、印刷クライアントにスーパーユーザーとしてログインしていること
NIS または NIS+ のデータベースを管理するために必要なアクセス権を持っていること
ネームサービスが NIS の場合、NIS マスターの スーパーユーザー (root) のパスワードが必要
ネームサービスが NIS+ (FNS を使用) の場合、次の操作が必要
NIS+ マスターにスーパーユーザーでログインします。
フェデレーテッドネーミングテーブルを所有するグループを確認します。
# niscat -o fns.ctx_dir.domain_name.com . . . Group : "admin.domain_name.com" |
必要であれば、Solaris Print Manager を実行するシステムを、fns.ctx_dir.<domain> ファイルの更新が許可されている NIS+ の admin グループに追加します。
# nisgrpadm -a admin.domain_name.com host_name |
Solaris Print Manager を実行するシステムに、スーパーユーザーでログインします。NIS+ の構成によっては、/usr/bin/keylogin コマンドを実行する必要があります。詳細については、keylogin(1) のマニュアルページを参照してください。
SUNWppm パッケージをインストールしていること
# pkginfo | grep SUNWppm system SUNWppm Solaris Print Manager |
Solaris Management Console を起動します。
# smc & |
Solaris Management Console ウィンドウが表示されます。
Solaris Management Console ウィンドウの「Solaris Print Manager」アイコンをクリックします。
Solaris Print Manager のメインウィンドウの上に、「ネームサービスを選択 (Select Naming Service)」ウィンドウが表示されます。
Solaris Management Console ウィンドウに「Solaris Print Manager」アイコンが表示されない場合は、DISPLAY 環境変数を設定してから、Solaris Print Manager を起動してください。
# DISPLAY=hostname # export DISPLAY # /usr/sadm/admin/bin/printmgr & |
ネットワークで使用するネームサービスを「ネームサービスを選択 (Select Naming Service)」ウィンドウで選択します。「NIS+ (xfn)」、「NIS」、「files」の中から選択します。
ドメイン名が正しいことを確認します。
ネームサービスが正常に読み込まれると、Solaris Print Manager のメインメニューが表示されます。
システムにローカルプリンタやネットワークプリンタをインストールすると、そのプリンタにローカルシステムからアクセスできるようになります。プリンタをインストールしたシステムが、「印刷サーバー」になります。
ここからは、新しい Solaris Print Manager を使用して、ローカルプリンタまたはネットワークプリンタを印刷サーバーにインストールする方法を説明します。
印刷サーバーにするシステムを選択します。
印刷サーバーにプリンタを接続して、プリンタの電源を入れます。
ハードウェアのスイッチやケーブルの要件については、プリンタのインストールマニュアルを参照してください。
プリンタを接続した印刷サーバー上で、Solaris Print Manager を起動します。
手順については、「Solaris Print Manager を起動する方法」を参照してください。
「プリンタ (Printer)」メニューから「新しいローカルプリンタを設定 (New Attached Printer)」を選択します。
「新しいローカルプリンタを設定 (New Attached Printer)」ウィンドウが表示されます。
ウィンドウに必要事項を入力します。
フィールドに入力するために情報が必要な場合は、「ヘルプ (Help)」ボタンをクリックしてください。
「了解 (OK)」をクリックします。
Solaris Print Manager のメインウィンドウに新しいプリンタのエントリがあるかどうかを調べて、プリンタがインストールされていることを確認します。このプリンタで印刷できることを確認するには、次のコマンドを使用します。
$ lp -d printer-name filename |
Solaris Print Manager を終了します。
Solaris Print Manager の「プリンタマネージャ (Print Manager)」メニューから「終了 (Exit)」を選択します。
次の表を参照して、次に行う作業を決定してください。
必要な作業 |
手順の説明 |
プリンタ情報がネームサービスのデータベースに追加されていないため、印刷クライアントから新たにインストールしたプリンタにアクセスできるようにする | |
.printers ファイルを設定する |
ネットワークプリンタとは、印刷サーバーにケーブルで直接接続されてはいないが、印刷クライアントに印刷サービスを提供するハードウェアデバイスのことです。ネットワークプリンタは固有のシステム名と IP アドレスを持ち、ネットワークに直接接続されています。印刷サーバーに直接は接続されていなくても、ネットワークプリンタにも印刷サーバーを設定しておく必要があります。印刷サーバーを設定すると、ネットワークプリンタで、待ち行列化機能、フィルタリング機能、印刷管理機能を使用できるようになります。
ネットワークプリンタでは、 1 つ以上の特別なプロトコルを使用します。このため、プリンタベンダー提供の印刷プログラムが必要です。ベンダー提供の印刷プログラムの設定手順はそれぞれ異なることがあります。プリンタに、こうしたプログラムが付属していない場合は、Solaris Print Manager を使用できます。ただし、できるだけベンダー提供のソフトウェアを使用することを強く推奨します。ベンダー提供の印刷プログラムの詳細については、Solaris 7 System Administrator Collection - Japanese の『Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』を参照してください。
次に、ネットワークプリンタのインストールに関して、Solaris Print Manager で使用する用語を示します。
送信先 (ネットワークプリンタのアクセス名): プリンタサブシステムがプリンタにアクセスするときに使用するプリンタノードポートの内部名。プリンタノード名か、プリンタベンダーポート指定が付いたプリンタノード名になる。プリンタベンダーポート指定は、プリンタに固有のものであり、プリンタベンダーのマニュアルで明示的に定義されている。プリンタがプリンタホストデバイスでありプリンタでもある場合、ポート指定は、プリンタホストデバイスのマニュアルに記載されている。書式としては次のいずれかを使用できる
printer_node_name
または
printer_node_name:port_designation
ネットワークプリンタの送信先名の例については、次の節で説明します。
プロトコル: プリンタとケーブルを介して通信するためのネットワークプロトコル。プリンタのマニュアルには、選択するプロトコルに関する情報が記載されている。Solaris Print Manager のネットワークプリンタは、BSD プリンタプロトコルと raw TCP の両方をサポートする。実装によって、両方のプロトコルを使用するように設定することもできる
印刷サブシステムはプリンタのアクセス情報を必要とします。これは、プリンタへのネットワーク接続を行うときにサブシステムが使用する名前です。この名前は、システム管理者が Solaris Print Manager の「新しいネットワークプリンタを設定 (New Network Printer)」画面で指定します。この名前は、プリンタ構成データベースの一部になります。送信先名はプリンタノードの名前であり、ポート名で修飾される場合もあります。ポート指定はプリンタベンダーによって異なります。ポート指定については、プリンタのマニュアルを参照してください。プリンタアクセス名の書式は次のとおりです。
printer_node-name[:port_designation]
TCP の共通ポート指定は 9100 です。プリンタノード名が pn1 で、プリンタベンダー側で、このポートを 9100 と定義している場合、ネットワークプリンタの送信先名は次のようになります。
pn1:9100
BSD プロトコルを使用するとき、ポート指定は番号ではなく、プリンタベンダーが定義した名前です (例:xxx_parallel_1)。プリンタノード名が cardboard であれば、プリンタアクセス名は次のようになります。
cardboard:xxx_parallel_1
ポート指定がなく、プリンタ名が newspaper であれば、プリンタの送信先名はプリンタ名になります。
newspaper
ネットワークプリンタをインストールするには、次の手順に従います。
印刷サーバーにするシステムを選択します。
ネットワークにプリンタを接続して、プリンタの電源を入れます。
ハードウェアのスイッチやケーブルの要件については、プリンタのインストールマニュアルを参照してください。
Solaris Print Manager を起動します。
手順については、「Solaris Print Manager を起動する方法」を参照してください。
「プリンタ (Printer)」メニューから「新しいネットワークプリンタを設定 (New Network Printer)」を選択します。
「新しいネットワークプリンタを設定 (New Network Printer)」ウィンドウが表示されます。
ウィンドウに必要事項を入力します。
フィールドに入力するために情報が必要な場合は、「ヘルプ (Help)」ボタンをクリックしてください。ネットワークプリンタの送信先とプロトコルを決定する方法については、「ネットワークプリンタの送信先名の選択」を参照してください。
「了解 (OK)」をクリックします。
Solaris Print Manager のメインウィンドウに新しいプリンタのエントリがあるかどうかを調べて、プリンタがインストールされていることを確認します。このプリンタで印刷できることを確認するには、次のコマンドを使用します。
$ lp -d printer-name filename |
Solaris Print Manager を終了します。
Solaris Print Manager の「プリンタマネージャ (Print Manager)」メニューから「終了 (Exit)」を選択します。
次の表を参照して、次に行う作業を決定してください。
必要な作業 |
手順の説明 |
プリンタ情報がネームサービスのデータベースに追加されていないため、印刷クライアントから、新たにインストールしたプリンタにアクセスできるようにする | |
.printers ファイルを設定する |
印刷クライアントとは、プリンタ用のサーバーではないが、プリンタにアクセスできるシステムのことです。印刷クライアントは印刷サーバーのサービスを使用して、印刷ジョブのスプール、スケジュール、フィルタリングを実行します。1 つのシステムが、あるプリンタの印刷サーバーになり、同時に、別のプリンタの印刷クライアントになることもできます。
プリンタへのアクセスは、プリンタ情報をネームサービスのデータベースに追加するかどうかによって、ドメイン単位またはマシン単位で構成できます。
リモートプリンタへのアクセスを追加したいシステム上で、Solaris Print Manager を起動します。
詳細は、「Solaris Print Manager を起動する方法」を参照してください。
「プリンタ (Printer)」メニューから「プリンタへのアクセスを追加 (Add Access to Printer)」を選択します。
「プリンタへのアクセスを追加 (Add Access to Printer)」ウィンドウが表示されます。
ウィンドウに必要事項を入力します。
フィールドに入力するために情報が必要な場合は、「ヘルプ (Help)」ボタンをクリックしてください。
「了解 (OK)」をクリックします。
Solaris Print Manager のメインウィンドウに新しいプリンタのエントリがあるかどうかを調べて、プリンタへのアクセスが追加されていることを確認します。このプリンタで印刷できることを確認するには、次のコマンドをします。
$ lp -d printer-name filename |
Solaris Print Manager を終了します。
Solaris Print Manager の「プリンタマネージャ (Print Manager)」メニューから「終了 (Exit)」を選択します。
プリンタ情報をカスタマイズする必要がない場合は、ユーザーのホームディレクトリに .printers ファイルを設定する必要はありません。けれども、.printers ファイルを設定しておけば、ユーザー独自のカスタムプリンタ別名を設定することができます。別名 _default を使用すると、デフォルトのプリンタを指定できます。また、特殊な別名 _all を設定すると、印刷要求を取り消すときや、プリンタの状態を確認するときに対象とするプリンタのリストを定義できます。
lp コマンドは、プリンタ構成情報を探す場合に、ネームサービスよりも先にユーザーのホームディレクトリを調べます。つまり、ユーザーのプリンタ構成ファイルを使用すれば、ネームサービスの共有情報ではなく、カスタムプリンタ情報を使用できることになります。
.printers ファイルの詳細については、printers(4) のマニュアルページを参照してください。
システムにスーパーユーザーでログインします。
任意のエディタで、ユーザーのホームディレクトリに .printers ファイルを作成します。
(省略可能) 別名 _default を設定して、特定のプリンタをデフォルトプリンタに指定します。たとえば、次のようなエントリを作成します。
# _default printer_name |
(省略可能) 別名 _all を設定して、印刷要求を取り消したり、プリンタの状態を調べたりするときの対象となるプリンタを定義します。たとえば、次のようなエントリを作成します。
# _all printer1,printer2,printer3 |
編集したファイルを .printers という名前で保存します。
次の節では、Solaris Print Manager を使用して、プリンタのプロパティ (バナーページの印刷を無効にする、プリンタ障害通知を設定する、プリンタへのアクセスを許可するなど) を変更する方法を説明します。
バナーページを印刷したくない場合は、「新しいローカルプリンタを設定 (New Attached Printer)」、「新しいネットワークプリンタを設定 (New Network Printer)」、または「プリンタのプロパティを変更 (Modify Printer Properties)」画面で「バナーを常に印刷 (Always Print Banner)」オプションの選択を解除します。デフォルトでは、バナーページの印刷は無効に設定されています。Solaris Print Managerでプリンタを追加した後、バナーページを常に印刷するようにしたい場合には、「プリンタのプロパティを変更 (Modify Printer Properties)」画面から「バナーを常に印刷 (Always Print Banner)」オプションを選択します。
バナーページの印刷を無効または有効にしたい印刷サーバー上で、Solaris Print Manager を起動します。
手順については、「Solaris Print Manager を起動する方法」を参照してください。
Solaris Print Manager のメインウィンドウで、バナーページの印刷を有効または無効にしたいプリンタを選択します。
「プリンタ (Printer)」メニューから「プリンタのプロパティを変更 (Modify Printer Properties)」を選択します。
次のいずれかを選択します。
「了解 (OK)」をクリックします。
Solaris Print Manager を終了します。
Solaris Print Manager の「プリンタマネージャ (Print Manager)」メニューから「終了 (Exit)」を選択します。
プリンタ障害通知を設定すると、プリンタに障害が発生したときにスーパーユーザーに通知する方法が決定します。Solaris Print Manager の選択肢は、「スーパーユーザーに対し write を実行する (write to superuser)」、「スーパーユーザーにメールを送信する (mail to superuser)」、あるいは「なし (none)」のいずれかです。lpadmin -A コマンドを使用すると、プリンタ障害通知を細かく設定することができます。詳細については、lpadmin(1M) のマニュアルページを参照してください。
プリンタ障害通知を設定したい印刷サーバー上で、Solaris Print Manager を起動します。
手順については、「Solaris Print Manager を起動する方法」を参照してください。
Solaris Print Manager のメインウィンドウで、障害通知を設定したいプリンタを選択します。
「プリンタ (Printer)」メニューから「プリンタのプロパティを変更 (Modify Printer Properties)」を選択します。
「プリンタ障害通知 (Fault Notification)」メニューから障害通知オプションを選択します。
「了解 (OK)」をクリックします。
Solaris Print Managerを終了します。
Solaris Print Manager の「プリンタマネージャ (Print Manager)」メニューから「終了 (Exit)」を選択します。
プリンタと印刷サーバーとの接続を切断するには、プリンタのサービスを無効にするか、印刷要求を別のプリンタに移動します。詳細については、『Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』を参照してください。ある印刷クライアントに関してプリンタへのアクセスを削除したい場合は、次の手順に従ってください。
プリンタへのアクセスを削除したい印刷クライアント上で、Solaris Print Manager を起動します。
手順については、「Solaris Print Manager を起動する方法」を参照してください。
Solaris Print Manager のメインウィンドウで、削除したいプリンタを選択します。
「プリンタ (Printer)」メニューから「プリンタを削除 (Delete Printer)」オプションを選択します。
「了解 (OK)」をクリックすると、プリンタが削除されます。
Solaris Print Manager のメインウィンドウからプリンタのエントリが削除されます。
Solaris Print Manager を終了します。
Solaris Print Manager の「プリンタマネージャ (Print Manager)」メニューから「終了 (Exit)」を選択します。
この節では、マウスの代わりにキーボードを使用して、Solaris Print Manager を操作する方法について説明します。
マウスの代わりにキーボードを使用して、画面の構成要素をアクティブにできます。標準の英数字キーの他に次のキーを利用できます。
Shift、Control、Alt の 3 つの修飾キー
4 つの矢印キー
Delete、Backspace、Home、End、Page Up、Page Down の各キー
修飾キー (Shift、Control、Alt) を押しても文字は入力されません。修飾キーは、他のキーと組み合わせて使用します。
この節で説明する機能は、共通デスクトップ環境 (CDE) バージョン 1.1 と 1.2 で正しく動作することが確認されています。これ以外のウィンドウマネージャでは、マウスを使用しないで操作すると、予想外の結果になる可能性があります。
キーボードフォーカスがあると、次のキーストロークで、Solaris Print Manager のウィンドウや構成要素が有効になります。ほとんどの場合、キーボードフォーカスがある構成要素は点線で囲まれて表示されます。また、編集可能なテキスト構成要素の場合は挿入ポイントが点滅します。
ウィンドウを開くと、キーボードフォーカスは最も論理的な構成要素に割り当てられます。通常、この構成要素は最初に使用する可能性がある構成要素か、ウィンドウの左上にある構成要素です。キーボードフォーカスがボタンに割り当てられている場合もあります。
一般的に、Tab キーを押すと、キーボードフォーカスの位置が主な構成要素間で切り替わります。Shift-Tab キーを押すと、逆の順番で切り替わります。矢印キーを使用すると、構成要素のグループ内でフォーカスを移動させることができます。たとえば、Tab キーを押すと、あるグループ内のボタンから別のグループ内のボタンへとフォーカスが移動します。矢印キーを押すと、グループ内の個々のボタン間でフォーカスが移動します。フォーカスのある要素を選択するには、通常、スペースキーを押します。
次の表で紹介するキーボードナビゲーション操作の一部は、一時的に不完全になったり、実装されていなかったりすることがあります。
表 1-4 キーボードナビゲーション
キー |
使用目的 |
---|---|
Tab |
構成要素間を移動 |
Shift-Tab |
Tab キーとは逆方向に移動 |
左向き矢印 |
1 文字左に移動、または、グループ内の左の構成要素に移動 |
右向き矢印 |
1 文字右に移動、または、グループ内の右の構成要素に移動 |
上向き矢印 |
1 行上に移動、または、グループ内の上の構成要素に移動 |
下向き矢印 |
1 行下に移動、または、グループ内の下の構成要素に移動 |
Page Up |
1 つ上のビューに移動 |
Page Down |
1 つ下のビューに移動 |
Home |
データの冒頭に移動。表では、行の最初の列に移動 |
End |
データの末尾に移動。表では、行の最後の列に移動 |
Enter または Return |
デフォルトのボタンを選択 |
Esc |
メニューやダイアログボックスを変更しないで閉じる |
スペース |
キーボードフォーカスがある構成要素を選択 |
ニーモニックを使用すると、マウスの代わりに、キーボードで Solaris Print Manager のメニューを表示したり、コマンドを選択したりできます。ニーモニックは、メニュータイトル、メニュー項目、コマンドボタンなどに括弧付き文字で表示されています。Alt キーを押しながらこの括弧付き文字のキーを押すと、メニューが表示されたり、コマンドが選択されます。このようなキーボード操作でメニューを表示したとき、その後に押す文字はそのメニューに対する操作とみなされます。
たとえば、「プリンタ (Printer)」メニューを表示して「プリンタへのアクセスを追加 (Add Access to Printer)」メニューを選択するには、Alt-P を押して、次に A を押します。すると、「プリンタへのアクセスを追加 (Add Access to Printer)」が選択されます。Alt-H を押すと、「ヘルプ (Help)」メニューが表示されます。
Solaris Print Manager のダイアログボックス (「ネームサービスを選択 (Selecting Naming Service)」など) にも、ニーモニックがあります。ボタンのニーモニックはボタンのラベルに表示されています。キーボードフォーカスをダイアログボックス内に移動すると、ボタンのニーモニックを押すだけで、そのボタンをアクティブにすることができます。
Solaris Print Manager のダイアログボックスのうち、ボタンを持つものには、それぞれデフォルトボタンがあります。デフォルトボタンは、太い黒の境界線で囲まれていて、フォーカスがダイアログボックス内のどこにあっても Return キーを押すだけで選択できます。
フォーカスが「ネーミングサービスを選択 (Select Naming Service)」ダイアログボックスの「ネームサービス (Naming Service)」メニューなどのコンボボックス内にあるときは、Return キーを押してもデフォルトボタンはアクティブにはなりません。また、Esc キーを押してもメニューは取り消されません。その代わりに、次のようになります。
Return キーを押すと、構成要素が強調表示される
Esc キーを押すと、以前のメニューが表示される
選択可能なボタン間でフォーカスを移動させると、現在フォーカスがあるボタンがデフォルトの選択であることを示す境界線で囲まれます。つまり、ボタンにフォーカスを移動させて、Return キーを押すと、そのボタンが選択されたことになります。Return キーの代わりにスペースキーを押しても、同じことができます。ダイアログ内の別の構成要素にフォーカスを移動すると、元のデフォルトボタンに戻ります。