この章では、Sun Cluster 構成の管理を行う場合に端末集配信装置を使用する方法について説明します。この章で説明する項目は次のとおりです。
この章で説明する手順は次のとおりです。
管理作業は、任意の Sun Cluster ノードに接続されたウィンドウから実行できます。端末集配信装置の最初の設定作業とセキュリティの設定方法は、Sun Cluster ノードのハードウェア計画とインストールに関するマニュアル、および端末集配信装置のマニュアルで説明されています。
次の作業は、Sun Cluster 構成の管理ワークステーションから接続を確立する方法を説明しています。
shelltool(1) には可変の値を指定できる上、接続の確立はシリアルポートコンソールインタフェースを介して行われるため、コンソールポートは接続が確立された shelltool(1) のウィンドウサイズを決定できません。列と行の数についての情報を必要とするアプリケーションの場合、ノードでウィンドウサイズを手動で設定する必要があります。
ワークステーションのデスクトップで、shelltool(1) ウィンドウを開きます。
tput(1) コマンドを実行し、shelltool(1) ウィンドウのサイズを書き留めます。
このサイズは、手順 6 で使用します。
# tput lines 35 # tput cols 80 |
端末集配信装置を介して Sun Cluster ノードの 1 つに telnet(1) 接続を開くために、次のコマンドを入力します。
# telnet terminal-concentrator-name 5002 Trying 192.9.200.1 ... Connected to 192.9.200.1. Escape character is '^]'. |
ポート番号は構成に依存します。通常、ポート 2 と 3 (この例では 5002 と 5003) は、サイトにおける最初の Solaris クラスタに使用されます。
別の shelltool(1) ウィンドウを開き、次のコマンドを入力してそのノードに対する telnet(1) 接続を開きます。
# telnet terminal-concentrator-name 5003 Trying 192.9.200.1 ... Connected to 192.9.200.1. Escape character is '^]'. |
Sun Cluster ノードのハードウェア計画とインストールに関するマニュアルに説明されているようにセキュリティを設定する場合は、ポートのパスワードの入力を求める画面が表示されます。接続を確立すると、ログイン名とパスワードの入力を求める画面が表示されます。
Console login: root Password: <root-password> |
stty(1) コマンドを使用して、端末の行と列の値を 手順 2 で確認した値に再設定します。
# stty rows 35 # stty cols 80 |
TERM 環境変数を、手順 1で使用したウィンドウの種類に基づいて、適切な値に設定します。
たとえば、xterm ウィンドウを使用している場合、次のように入力します。
# TERM=xterm; export TERM (sh または ksh の場合) または # setenv TERM xterm (csh の場合) |
この節では、端末集配信装置の接続をリセットする方法について説明します。
端末集配信装置上の Sun Cluster ノードコンソールポートに別のユーザーが接続している場合、ポートをリセットしてそのユーザーとの接続を切断できます。この作業は、すぐに管理作業を行う必要がある場合に便利です。
端末集配信装置に接続できない場合は、次のメッセージが表示されます。
# telnet terminal-concentrator-name 5002 Trying 192.9.200.1 ... telnet: Unable to connect to remote host: Connection refused # |
ポートセレクタを使用している場合は、ポートがビジー状態であることを示すメッセージが表示される場合があります。
接続を確立した後に Return キーを 1 回余分に押し、端末集配信装置に接続するためのコマンド行インタフェース (cli) を選択します。
# telnet terminal-concentrator-name ... Enter Annex port name or number: cli ... annex: |
su コマンドとパスワードを入力します。
デフォルトのパスワードは、端末集配信装置の IP アドレスです。
annex: su Password: |
どのポートをリセットするか決定します。
この例のポートはポート 2 です。接続を表示するには、端末集配信装置の組み込みコマンド who を使用してください。
annex# who Port What User Location When Idle Address 2 PSVR --- --- --- 1:27 192.9.75.12 v1 CLI --- --- --- 192.9.76.10 |
ポートをリセットします。
端末集配信装置の組み込みコマンド reset を使用して、ポートをリセットします。この例は、ポート 2 の接続を切断します。
annex# admin reset 2 |
annex# hangup |
ポートに再接続します。
# telnet terminal-concentrator-name 5002 |
この節では、端末集配信装置から OpenBoot PROM を入力する方法を説明しています。
ポートに接続します。
# telnet terminal-concentrator-name 5002 Trying 192.9.200.1 ... Connected to 129.9.200.1 . Escape character is '^]'. |
必要に応じて、scadmin stopnode コマンドを使用してクラスタソフトウェアを停止し、続いてシステムを停止します。
システムは、halt(1M) コマンドを使用して停止してください。
# halt |
halt(1M) コマンドでシステムを停止できない場合は、telnet(1) コマンドモードを使用してください。デフォルトの telnet(1) エスケープ文字は、Control-] です。
telnet> send brk |
OpenBoot PROM コマンドを実行します。
この節では、端末集配信装置に関連する障害追跡方法について説明します。
telnet(1) を使用して端末集配信装置にアクセスしようとした時に、connect: Connection refused というメッセージが表示された場合は、以下の原因が考えられます。
ポートが別のユーザーによって使用されている。
ポートが不正に構成されており、ネットワーク接続を受け付けない。
端末集配信装置に対してポートを指定せずに telnet を実行し、続いて対話形式でポートを指定します。
# telnet terminal-concentrator-name Trying ip_address .. Connected to 192.9.200.1 Escape character is '^]'. [you may have to enter a RETURN to see the following prompts] Rotaries Defined: cli - Enter Annex port name or number: 2 |
次のメッセージが表示される場合、ポートは使用中です。
Port(s) busy, do you wish to wait? (y/n) [y]: |
次のメッセージが表示される場合、ポートの構成が正しくありません。
Port 2 Error: Permission denied. |
ポートが使用中の場合、「端末集配信装置の接続のリセット」で説明されている作業方法に従って端末集配信装置の接続をリセットしてください。ポートが不正に構成されている場合は、次の作業を行なってください。
コマンド行インタプリタ (cli) を選択し、端末集配信装置のスーパーユーザーになります。
Enter Annex port name or number: cli Annex Command Line Interpreter * Copyright 1991 Xylogics, Inc. annex: su Password: |
端末集配信装置のスーパーユーザーとして、ポートモードをリセットします。
annex# admin Annex administration MICRO-XL-UX R7.0.1, 8 ports admin: port 2 admin: set port mode slave You may need to reset the appropriate port, Annex subsystem or reboot the Annex for changes to take effect. admin: reset 2 admin: |
以上の操作で、ポートは正しく構成されます。
端末集配信装置の管理コマンドの詳細は、『Sun Terminal Concentrator General Reference Guide』を参照してください。
ルーターを介して行われる端末集配信装置の接続は、断続的な割り込みを受ける場合があります。そのため、断続的に接続が行われたり、接続が停止したりします。接続が停止している場合、新しい端末集配信装置の接続を試みるとタイムアウトします。端末集配信装置は、再起動の兆候は示しません。その後、必要な経路が再確立されても、結果的に消滅するだけです。この問題の原因は、端末集配信装置のルーティングテーブルのオーバーフローとネットワーク接続の失敗です。
このことは、端末集配信装置と同じネットワーク上に存在するホストから確立された接続には問題となりません。
この問題を解決するには、端末集配信装置内にデフォルトの経路を確立し、routed 機能を無効にします。デフォルト経路の消滅を防ぐには、routed 機能を無効にする必要があります。次の作業は、この方法を示しています。詳細は、端末集配信装置のマニュアルを参照してください。
端末集配信装置の EEPROM ファイルシステム内に、config.annex ファイルが作成されています。このファイルを使用して、デフォルトの経路が使用されるように定義します。このファイルを使用すると、ポート番号の代わりに使用することができる記号名を定義することもできます。routed 機能を無効にするには、端末集配信装置の set コマンドを使用してください。
端末集配信装置に対して、shelltool(1) 接続を開きます。
# telnet terminal-concentrator-name Trying 192.9.200.2 ... Connected to xx-tc. Escape character is '^]'. Rotaries Defined: cli - Enter Annex port name or number: cli Annex Command Line Interpreter * Copyright 1991 Xylogics, Inc. |
su コマンドと管理パスワードを入力します。
デフォルトのパスワードは、端末集配信装置の IP アドレスです。
annex: su Password: administrative-password |
config.annex ファイルを編集します。
annex# edit config.annex |
IP アドレスは、実際に使用するデフォルトルーターのものに置き換えてください。
Ctrl-W:save and exit Ctrl-X: exit Ctrl-F:page down Ctrl-B:page up %gateway net default gateway 192.9.200.2 metric 1 active ^W |
ローカル routed を無効にします。
annex# admin set annex routed n You may need to reset the appropriate port, Annex subsystem or reboot the Annex for changes to take effect. annex# |
端末集配信装置を再起動します。
annex# boot |
Sun Cluster 2.2 では、インストール時に端末集配信装置 (TC) またはシステムサービスプロセッサ (Sun Enterprise 10000 のみ) についての情報を必要とします。この情報は、クラスタ構成ファイルに格納されています。
この情報は次の目的で使用されます。
ハングアップしたノードを強制的に停止する。
パーティション分割されたノードがクラスタに加わることを防ぐクラスタ全体のロック機構を実装する。
この 2 つの機構は、直接接続された記憶装置を使用した 4 ノード構成のクラスタにおけるデータの完全性を守る役割を果たします。
Solstice DiskSuite を使用している場合、tcmon と quorum は無効になっており、TC 情報は不要です。
scconf(1M) コマンドを使用すると、クラスタハードウェア構成の TC または SSP 情報が変更される場合などに、クラスタ構成ファイルの情報を変更できます。
TC または SSP 情報の変更の詳細は、表 8-1と scconf(1M) のマニュアルページを参照してください。
これらのコマンドは、すべてのクラスタノードで実行する必要があります。
目的 |
実行するコマンド |
---|---|
TC の IP アドレスまたは名前を置換する |
scconf(1m) -t -i new-IP-address old-IP-address|TC-name |
新しいパスワードを指定する |
scconf(1m) -t -P old-IP-address|TC-name |
クラスタ全体のロック機構に使用されるポート番号を変更する (TC のみ) |
scconf(1m) -t -l new-port old-IP-address|TC-name |
特定のホストに対応する情報を変更するには、scconf -H コマンドを使用します。たとえば、あるホストのアーキテクチャタイプを変更して、その SSP (または TC) に新しい IP アドレスを指定するには、すべてのクラスタノードで次のコマンドを実行します。このコマンドの -d には、そのホストに対応する新しいアーキテクチャ (この例では Sun Enterprise 10000) を指定します。-t には、そのホストに接続された SSP (または TC) の新しい IP アドレスまたはホスト名 (この例では foo-ssp) を指定します。
# scconf clustername -H foo -d E10000 -t foo-ssp |
SSP (または TC) のホストのコンソールにポート番号を指定するには、すべてのクラスタノードで scconf -p コマンドを実行します。
# scconf clustername -H hostname -p port-number |
次に例を示します。
# scconf clustername -H foo -p 10 |
複数のホストを同じ TC に接続できます。-H オプションは、特定のホストに対応する情報にだけ影響します。
システム内の特定の TC の構成を変更するには、すべてのクラスタノードで scconf -t コマンドを実行します。たとえば、TC の IP アドレスを変更するには、次のコマンドを使用します。このコマンドの -i には、指定する端末集配信装置 (または SSP) の IP アドレス (この例では 129.34.123.52) を指定します。-l には、障害防御でロックのために使用する新しいポート (この例では 8) を指定します。
# scconf clustername -t foo-tc -i 129.34.123.52 -l -8 |
端末集配信装置が使用中の場合は、2 〜 n の範囲の未使用の TC ポートを指定します (n は TC 内のポートの数)。SSP が使用中の場合、値 -1 を指定する必要があります。
SSP (または TC) に新しいパスワードを指定するには、すべてのクラスタノードで scconf -P コマンドを実行します。
# scconf clustername -t foo-ssp -P foo-ssp(129.34.123.51) Password:***** |
SSP または TC でユーザーパスワードを変更する場合は、各クラスタノードからこの作業を実行して、 Sun Cluster ソフトウェアにも変更を知らせる必要があります。この通知を行わないと、SSP または TC から「ブレーク送信」を行うことにより障害のあるノードを強制的に停止する必要がある場合に、障害防御が適切に動作しない場合があります。