Sun Cluster 2.2 のシステム管理

メディエータが示す障害

メディエータを使用すると、単一障害および一部の二重障害からの回復が行えます。Sun Cluster で保証されているのは単一障害からの自動回復だけであるため、この節では単一障害からの回復についてだけ詳細を述べます。二重障害については、一般的な回復処理だけを示します。

図 9-1 は、安定状態の dual-string 構成を示しています。メディエータは、両方の Sun Cluster ノードで確立されています。そのため、メディエータ定足数が存在し、メディエータが使用されるようにするには、両方のノードを動作させる必要があります。1 つの Sun Cluster ノードで障害が発生した場合、複製定足数は存在します。ディスクセットのテイクオーバーが必要な場合、メディエータを使用せずにテークオーバーは発生します。

以下の各節では、メディエータを使用して障害を回復する方法を説明します。

単一のサーバーの障害

図 9-2 は、1 つの Sun Cluster ノードに障害が発生した状況を示しています。この場合は、複製定足数が使用できるため、メディエータソフトウェアは使用されません。Sun Cluster ノード phys-hahost2 は、以前に phys-hahost1 によってマスターされていたディスクセットをテイクオーバーします。

回復処理は、Sun Cluster ノードに障害が発生して 3 つ以上のディスク string が存在する場合に行う処理と同じです。通常、phys-hahost1 がクラスタに再度加わった後で、スイッチオーバーを行います。これ以外の管理作業を行う必要はありません。スイッチオーバーの手順については、haswitch(1M) のマニュアルページを参照してください。

図 9-2 メディエータ構成における単一の Sun Cluster サーバーの障害

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単一の string の障害

図 9-3 は、図 9-1 に示した安定状態から単一の string に障害が発生した場合を示しています。String 1 に障害が発生すると、phys-hahost1phys-hahost2 双方のメディエータホストはそのイベントを反映するように更新され、システムは次に示すように継続して動作します。

コミット回数が増やされ、メディエータはゴールデンのまま留まります。

図 9-3 メディエータ構成における単一の string の障害

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この場合に必要な管理作業は、3 つ以上の string 構成で単一の string に障害が発生する場合に必要な処理と同じです。これらの作業の詳細は、使用しているディスク拡張装置のマニュアルを参照してください。

ホストと string の障害

図 9-4 は、String 1phys-hahost2 に障害が発生した二重障害を示しています。string にまず障害が発生し、その後ホストに障害が発生した場合、phys-hahost1 上のメディエータはゴールデンである可能性があります。この場合の状況を次に示します。

図 9-4 多重障害 - 1 つのサーバーと 1 つの string

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このような障害は、Sun Cluster によって自動的に回復します。ディスクセットのマスターは、phys-hahost2 によってマスターされていた場合、phys-hahost1 にテークオーバーされます。phys-hahost1 によってマスターされていた場合は、phys-hahost1 がそのままマスターを続けます。String 1 の修復が終わった時点で、String 1 のデータは String 2 のデータと同期をとり直す必要があります。同期をとり直す方法については、『Solstice DiskSuite ユーザーズガイド』と metareplace(1M) のマニュアルページを参照してください。


注意 - 注意 -

この状況では回復が可能ですが、3 つめの障害が発生するとクラスタが使用できなくなるため、障害が発生したコンポーネントは速やかに復元してください。


phys-hahost1 のメディエータがゴールデンではない場合、このケースは Sun Cluster によって自動回復されず、管理者の介入を必要とします。この場合、Sun Cluster はエラーメッセージを生成し、論理ホストは保守モード (読み取り専用) に置かれます。このような多重障害が発生した場合は、ご購入先にお問い合わせください。