この章では、Sun Cluster 構成に含まれる Sun StorEdge A3x00 と Sun StorEdge A1000 の拡張装置とディスクの管理方法について説明します。これらの拡張装置は、どちらも RAID5 ハードウェアをサポートします。Sun StorEdge A3x00 には RAID5 コントローラが 2 つ、Sun StorEdge A1000 には 1 つあります。管理作業のほとんどは、両方の拡張装置で共通しています。
この章で説明する手順は次のとおりです。
Sun Cluster 構成でディスクの交換または修復を行う場合は、Sun StorEdge A3x00 ディスクまたは Sun StorEdge A1000 ディスクのサービスマニュアルと、ボリューム管理ソフトウェアのマニュアルを参照してください。
Sun StorEdge A3x00 と Sun StorEdge A1000 のディスク拡張装置には、冗長電源シーケンサが入っています。各電源シーケンサは、拡張装置のコンポーネントの半分に電力を供給します。そのため、これらの電源の一方で電力損失が発生してもシステムの使用には影響がありません。コントローラモジュールは、冗長電源を使用しています。そのため、コントローラモジュールの一方の電源が停電した場合でも、システムの使用には影響がありません。
ディスク拡張装置全体が停電した場合、Sun Cluster は回復のための特別な作業を必要としません。ディスク拡張装置のサービスマニュアルに示された方法に従って、それらを稼動状態に戻してください。
Sun StorEdge A3x00 または Sun StorEdge A1000 に複数のディスクが搭載されていても、Sun Cluster ソフトウェアには信頼性の高い単一のディスクとして認識されます。ほとんどのサービス作業は、Sun StorEdge RAID Manager ソフトウェアを使用して行えます。しかし、ノードと SCSI バス間のインタフェースカード (UDWIS カード) を切り離す必要が生じた場合は、この節の方法を使用してください。これらの方法は、UDWIS カードの変更やノードシステムボードの交換に使用してください。
haswitch(1M) コマンドを使用して、サービス対象の Sun Cluster ノードから論理ホストをすべて移動させます。
phys-hahost1# haswitch phys-hahost2 hahost1 hahost2 |
ハードウェアサービスに関わる SCSI バスの動作を停止します。
Sun StorEdge A3x00 または Sun StorEdge A1000 に使用される両方の SCSI バスが共通ボードに存在する構成では、一方のバスを選択してこの手順を実行してください。このボードに複数の拡張装置が接続されている場合は、各拡張装置上の 1 つのバスを同時に準備できます。UDWIS カードだけを交換すればよい場合は、ほかの拡張装置は接続したままにしておけます。
この手順は、RAID Manager ソフトウェアの Maintenance/Tuning アプリケーションを使用して行なってください。
ディスク拡張装置の末端部で、停止した各 SCSI バスケーブルを取り外し、適切なターミネータを取り付けます。
拡張装置に使用されているもう一方の SCSI バスもこのボードに接続されていて、システムボードや I/O ボードの交換などのためにこのバスも除去しなければならない場合は、すべての I/O の経路を最初の SCSI バス (この手順で終端したバス) に設定してください。拡張装置の末端部で SCSI ケーブルを取り外し、終端してください。
以上で、システムボードまたは I/O ボードのサービスの用意が整います。
用意した UDWIS カードから SCSI ケーブルを切り離し、必要なハードウェアサービス作業を行います。この作業が終了した後、以下の手順に従って本来の接続を確立し直します。このノードを停止したまま (電源を落としたまま) 継続してください。
必要に応じて、再接続が必要な拡張装置ごとに SCSI バスを 1 つ停止します。
これらの接続のターミネータを取り外します。
これは、手順 3 で取り付けたターミネータです。
拡張装置と UDWIS カード間で SCSI ケーブルを接続し直します。
この作業によって拡張装置に対する別の SCSI 接続が影響を受けた場合は、すべての I/O の経路を新しく接続し直した SCSI バスに設定し、ターミネータを取り外します。その後で拡張装置と UDWIS カード間のケーブルを接続し直します。
このノードを起動します。
RAID Manager ソフトウェアを使用して、論理ユニット (LUN) の分布を標準の構成に戻します。
haswitch(1M) コマンドを使用して、サービスを受けていた haswitch(1M) ノードにすべての論理ホストを戻します。
phys-hahost1# haswitch phys-hahost1 hahost1 |
この節では、Sun StorEdge A3x00 または Sun StorEdge A1000 の拡張装置を追加するための作業について説明します。これらの作業は、Sun Cluster を稼動させたまま行えます。
拡張装置内のファームウェアをアップグレードする方法については、システムのハードウェアサービスマニュアルを参照してください。
すべての論理ホストを、新しい格納装置を使用するクラスタ内の Sun Cluster ノードの 1 つにスイッチオーバーします。
phys-hahost1# haswitch phys-hahost2 hahost1 hahost2 |
マスターする論理ホストがなくなったノードで、Sun Cluster を停止します。
phys-hahost1# scadmin stopnode |
Sun Cluster ノードにディスクインタフェースカード (UDWIS) を追加します。
UDWIS インタフェースカードに付属している説明書を参照してください。
UDWIS カードをディスク格納装置に接続します。
新しい UDWIS カードが入ったノードで、再構成再起動を行います。
phys-hahost1# boot -r |
このノードで Sun Cluster を起動します。
phys-hahost1# scadmin startnode |
論理ホストをクラスタ内の別のノードにスイッチオーバーします。
phys-hahost1# haswitch phys-hahost1 hahost1 hahost2 |
クラスタにディスクサブシステムを組み込みます。
拡張装置と SSVM または CVM のマニュアルを参照して、ディスク構成を設定してください。
両方のノードで haswitch(1M) コマンドを実行し、新しい構成を Sun Cluster に組み込みます。
# haswitch -r |
Sun Cluster における Sun StorEdge A3x00 ディスクまたは Sun StorEdge A1000 ディスクの管理方法は、クラスタ化されていないノードで使用されているこれらのディスクの場合とまったく同じです。ディスク拡張装置内のディスクまたはディスクコンポーネントの追加や交換、修復の方法などについては、拡張装置のマニュアルを参照してください。
Sun StorEdge A3x00 または Sun StorEdge A1000 にドライブを追加する場合、システムを稼動させたまま追加してください。システムは再起動しないでください。再起動が行われると、新しいドライブの構成情報が消失する上、既存のドライブのデータと論理ユニット (LUN) 構成も消失します。
ドライブを追加してシステムを再起動した後に、以前に潜在していた LUN が見つからないという問題が発生した場合は、新しく追加したドライブを削除してシステムを再起動し、その後でドライブを一度に 1 つずつ追加してください。
稼動中のシステムの「使用されていない」ディスクグループにドライブを追加する場合は、ドライブを追加した後にシステムを再起動しても安全であり、上記のような問題は発生しません。ホットプラグは Sun StorEdge A3x00 と Sun StorEdge A1000 でサポートされているため、このような方法をとることができます。
Sun Cluster は、Sun StorEdge A3x00 ディスクまたは Sun StorEdge A1000 ディスクを、物理ディスクではなく論理ユニット (LUN) として認識します。そのため、 以下が適用されます。
LUN が使用できるかぎり、障害が発生した物理ディスクを交換する際に特別な作業は不要です。
LUN が使用できず (あるいは LUN が最適な状態にない)、その LUN が定足数デバイスとして使用さている場合は、ディスクの交換作業に取りかかる前に scconf -q コマンドを使用して定足数デバイスをほかの LUN (ディスク) に変更する必要があります。
論理ユニットと物理ディスクの詳細は、拡張装置のマニュアルを参照してください。