この章では、Sun Cluster HA for NFS データサービスを構成し、管理する方法について説明します。
この章で説明する手順は次のとおりです。
この章では、Sun Cluster サーバー上で Sun Cluster HA for NFS を構成、実行するための手順を説明します。また、すでに Sun Cluster を実行しているシステムに Sun Cluster HA for NFS を追加するための手順についても説明します。
この章の作業を行う前に、第 2 章「構成の計画」のファイルシステムの構成に関する詳細な説明を参照してください。HA-NFS 構成上の制限事項については、「構成上の制限事項」を参照してください。
サーバーおよびクライアントの /etc/hosts ファイルにすべての論理ホスト名を登録して、ネームサービスの参照を原因とする障害が発生するのを避けてください。NIS あるいは NIS+ にアクセスする前に、サーバー上のネームサービスのマッピング機能が最初にローカルファイルを調べるように構成します。このように構成することによって、タイミングに関係するエラーが防止され、ifconfig および statd が論理ホスト名の解決に失敗しなくなります。
Sun Cluster と連携するように Sun Cluster HA for NFS を構成するための主な作業は、表 11-1 に示すとおりです。これらの作業は、示されている順序通りに行なってください。
表 11-1 Sun Cluster HA for NFS を構成するための主な作業
作業 |
説明箇所 |
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手順 4。scinstall(1M) コマンドを実行する前にこの作業を行なっておくこと。 |
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手順 7。scinstall(1M) コマンドを実行する前にこの作業を行なっておくこと。 |
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手順 21。scinstall(1M プロセスの一環としてこの作業を行なっておくこと。 |
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手順 22。scinstall(1M プロセスの一環としてこの作業を行なっておくこと。 |
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手順 25。scinstall(1M プロセスの一環としてこの作業を行なっておくこと。 |
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Solstice DiskSuite 構成の場合は、付録 B 「Solstice DiskSuite の構成」 を参照。Sun StorEdge Volume Manager 構成の場合は、付録 C 「Sun StorEdge Volume Manager と Cluster Volume Manager の構成」 を参照。 |
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手順 8。インストールプロセスの一環としてこの作業を行なっておくこと。 |
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Solstice DiskSuite 構成の場合は、付録 B 「Solstice DiskSuite の構成」 を参照。Sun StorEdge Volume Manager 構成の場合は、付録 C 「Sun StorEdge Volume Manager と Cluster Volume Manager の構成」 を参照。 |
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「NFS ファイルシステムを共有するには」の手順を参照 |
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「NFS を登録して起動するには」の手順を参照 |
Sun Cluster HA for NFS の制御下に置く NFS ファイルシステム用のマウントポイントは、それらファイルシステムを含む論理ホストをマスターすることができるすべてのノード上で同じである必要があります。
NFS のフェイルオーバー中に「stale file handle (無効なファイルハンドル)」エラーが発生しないようにするには、すべてのクラスタノード上で、Sun StorEdge Volume Manager の vxio ドライバが同じ疑似デバイスメジャー番号を持つようにします。インストールを完了すると、この番号は、/etc/name_to_major ファイルに含まれています。
疑似デバイスメジャー番号の管理手順については、付録 C 「Sun StorEdge Volume Manager と Cluster Volume Manager の構成」 を参照してください。
この節では、論理ホストの dfstab.logicalhost ファイルを編集することによって NFS がファイルシステムを共有するように構成する手順を説明します。
NFS がファイルシステムを共有するように構成する前に、必ず、論理ホストの構成を終了しておいてください。初めてクラスタを構成する場合は、scinstall(1M) コマンドに論理ホストの構成情報を指定します。クラスタが動作すると、scinstall(1M) または scconf(1M) コマンドのいずれかを実行することによって論理ホストを構成することができます。
「NFS を登録して起動するには」で概略を示したクラスタの再構成を行わないと、NFS ファイルシステムは共有されません。
多重ホストファイルシステムを作成します。
付録 B 「Solstice DiskSuite の構成」 と 付録 C 「Sun StorEdge Volume Manager と Cluster Volume Manager の構成」 で説明している手順に従って、多重ホストファイルシステムを作成してください。
クラスタ内のすべてのノードが動作していることを確認します。
cconsole(1) のウィンドウから vi などのエディタを使用し、/etc/opt/SUNWcluster/conf/hanfs/dfstab.logicalhost ファイルを作成して編集します。
cconsole(1) のウィンドウを使用することによって、ファイルシステムのすべての潜在的マスター上で変更を行うことができます。また、ノードの 1 つで dfstab.logicalhost ファイルを更新し、その後 rcp(1) コマンドを使用して、ファイルシステムの潜在的マスターである他のすべてのクラスタノードにそのファイルをコピーすることもできます。dfstab.logicalhost ファイルに共有するすべてのファイルシステム用のエントリを追加してください。
dfstab.logicalhost ファイルは、dfstab 形式です。このファイルには、次の構文の share(1M) コマンドが含まれます。
share [-F fstype] [-o options] [-d "<text>"] <pathname> [resource] |
share -o コマンドに rw、rw=、ro、ro= のいずれかのオプションを使用する場合は、Sun Cluster が使用するすべてのホスト名にアクセス権を付与してください。そうすることによって、Sun Cluster HA for NFS の障害監視機能の最も効率的な動作が可能になります。Sun Cluster に関連付けられているすべての物理ホスト名と論理ホスト名、さらに、Sun Cluster が接続するすべてのパブリックネットワーク上のホスト名を含めてください。
share コマンドに、個別ホスト名ではなく、netgroup を使用する場合は、適切な netgroup にクラスタのすべてのホスト名を追加してください。
プライベートネット上のホスト名にアクセス権を付与しないでください。
すべてのホストのホスト名に読み取り・書き込み権を付与して、HA-NFS の障害監視機能を使用できるようにしてください。ただし、ファイルシステムに対する書き込み権を制限したり、ファイルシステムを完全に読み取り専用にしたりすることもできます。Sun Cluster の障害監視機能は、書き込み権がなくても、監視を行うことができます。
更新したファイルの内容は次の例のようになります。ここには、論理ホスト名 (hahost1) とファイルシステムの種類 (nfs)、マウントポイント名 (/hahost1/1 と /hahost1/2) が示されています。
share -F nfs -d "hahost1 fs 1" /hahost1/1 share -F nfs -d "hahost1 fs 2" /hahost1/2 |
一般に、共有オプションの設定では、-root オプションを使用しないでください。また、-ro オプションと -rw オプションの混在を避けてください。
(省略可能) NFS 共有する各ディレクトリに .probe_nfs_file ファイルを作成します。
拡張障害監視の場合は、Sun Cluster HA for NFS がエクスポートするディレクトリ (すなわち、Sun Cluster HA for NFS 用の dfstab ファイルに指定した各ディレクトリ) に .probe_nfs_file ファイルを含めます。そうしたディレクトリごとに、cd コマンドを使用してそのディレクトリに移動し、touch(1) コマンドを使用してファイルを作成してください。
この作業は、目的の dfstab ファイルが存在する論理ホストを現在マスターしている物理ホスト上で行なってください。
phys-hahost1# touch .probe_nfs_file |
これまでの作業を終了したら、「NFS を登録して起動するには」の手順を使用し、NFS を登録して起動します。
NFS を設定、構成した後、Sun Cluster のモニターを起動するには、hareg(1M) コマンドを使用して、Sun Cluster HA for NFS を起動する必要があります。
Sun Cluster HA for NFS を登録します。
hareg(1M) コマンドを使用して、Sun Cluster 内のすべてのホストに Sun Cluster HA for NFS データサービスを登録します。このコマンドは、1 つのノード上でのみ実行してください。
# hareg -s -r nfs |
次のコマンドは、hahost1 と hahost2 という論理ホストにのみ Sun Cluster HA for NFS データサービスを登録します。このコマンドは、1 つのノード上でのみ実行してください。
# hareg -s -r nfs -h hahost1,hahost2 |
ホスト 1 つで hareg(1M) コマンドを実行して、NFS サービスを起動します。
# hareg -y nfs |
メンバーシップの再構成を行います。
# haswitch -r |
クラスタの再構成の強制実行については、『Sun Cluster 2.2 のシステム管理』を参照してください。
これで、Sun Cluster サーバー上で Sun Cluster HA for NFS を構成、登録、起動するための作業は完了です。
/etc/opt/SUNWcluster/conf/dfstab.logicalhost ファイルを作成して編集します。
「NFS ファイルシステムを共有するには」の手順に従って、dfstab ファイルを編集してください。
NFS を登録して、起動します。
「NFS を登録して起動するには」の手順に従ってください。
この節では、Sun Cluster システムにおいて NFS を管理する手順を説明します。
Sun Cluster が動作したら、次の手順に従って、論理ホストに既存のファイルシステムを追加してください。
Sun Cluster の vfstab.logicalhost および dfstab.logicalhost ファイルに登録されていない多重ホストディスクファイルシステムを手動でマウントするときは注意してください。マウントしたファイルシステムをマウント解除するのを忘れると、デバイスがビジーであるため、そのファイルシステムを含む論理ホストのスイッチオーバーで問題が発生します。ただし、ファイルシステムが Sun Cluster の適切な vfstab.logicalhost ファイルに登録されている場合は、ファイルシステムを強制的にマウント解除することができ、ボリュームマネージャーのディスクグループ解放コマンドが正常に実行されます。
cconsole(1) のウィンドウから vi などのエディタを使用して、/etc/opt/SUNWcluster/conf/hanfs/vfstab.logicalhost ファイルにファイルシステム用のエントリを追加します。
cconsole(1) のウィンドウを使用することによって、ファイルシステムのすべての潜在的マスター上で変更を行うことができます。
mount(1M) コマンドを実行して、新しいファイルシステムをマウントします。
デバイスとマウントポイントを指定してください。もう 1 つの方法として、ファイルシステムに対する次回のメンバーシップ再構成まで自動的にマウントされるのを待つこともできます。
次は、Solstice DiskSuite の例です。
# mount -F ufs /dev/md/hahost1/dsk/d2 /hahost1/2 |
次は、Sun StorEdge Volume Manager の例です。
# mount -F vxfs /dev/vx/dsk/dg1/vol1 /vol1 |
論理ホストに Sun Cluster HA for NFS のファイルシステムを追加します。
cconsole(1) のウィンドウから vi などのエディタを使用して、vfstab.logicalhost ファイルおよび dfstab.logicalhost ファイルに、NFS が共有するすべてのファイルシステム用の適切なエントリを作成します。
cconsole(1) のウィンドウを使用することによって、ファイルシステムのすべての潜在的マスター上で変更を行うことができます。
すべてのサーバーのメンバーシップを再構成します。
# haswitch -r |
クラスタの再構成の強制実行については、『Sun Cluster 2.2 のシステム管理』を参照してください。
ファイルシステムを手動で共有設定することもできます。その場合、障害監視プロセスは、次にメンバーシップ再構成が行われるまで、ローカルにも遠隔にも起動されません。
次の手順を使用して、Sun Cluster HA for NFS を実行する論理ホストからファイルシステムを削除してください。
cconsole(1) のウィンドウから vi などのエディタを使用して、/etc/opt/SUNWcluster/conf/hanfs/vfstab.logicalhost ファイルからファイルシステムのエントリを削除します。
cconsole(1) のウィンドウを使用することによって、ファイルシステムのすべての潜在的マスター上で変更を行うことができます。
umount(1M) コマンドを実行して、ファイルシステムをマウント解除します。
(省略可能) 関連付けられていたトランスデバイスを消去します。
次の手順を使用して、論理ホストに NFS ファイルシステムを追加してください。
cconsole(1) のウィンドウから vi などのエディタを使用して、vfstab.logicalhost ファイルおよび dfstab.logicalhost ファイルに、NFS が共有するすべてのファイルシステム用の適切なエントリを作成します。
cconsole(1) のウィンドウを使用することによって、ファイルシステムのすべての潜在的マスター上で変更を行うことができます。
すべてのサーバーのメンバーシップを再構成します。
# haswitch -r |
クラスタの再構成の強制実行については、『Sun Cluster 2.2 のシステム管理』を参照してください。
ファイルシステムを手動で共有設定することもできます。その場合、障害監視プロセスは、次にメンバーシップ再構成が行われるまで、ローカルにも遠隔にも起動されません。
次の手順を使用して、論理ホストから Sun Cluster HA for NFS ファイルシステムを削除してください。
cconsole(1) のウィンドウから vi などのエディタを使用して、/etc/opt/SUNWcluster/conf/hanfs/dfstab.logicalhost ファイルからファイルシステムのエントリを削除します。
cconsole(1) のウィンドウを使用することによって、ファイルシステムのすべての潜在的マスター上で変更を行うことができます。
障害監視システムは、次回メンバーシップ再構成が行われるまでファイルシステムへのアクセスを試みます。エラーが記録されますが、Sun Cluster ソフトウェアによって、サービスのテイクオーバーが開始されることはありません。
(省略可能) 論理ホストからファイルシステムを削除します。何らかの目的で、高可用性 DBMS ファイルシステムなどの UFS ファイルシステムを残す場合は、 手順 4 に進みます。
この作業を行うには、「論理ホストからのファイルシステムの削除」の手順に従います。
すべてのサーバーのメンバーシップを再構成します。
# haswitch -r |
クラスタの再構成の強制実行については、『Sun Cluster 2.2 のシステム管理』を参照してください。
share -o コマンドに rw、rw=、ro、ro= のいずれかのオプションを使用する場合は、Sun Cluster が使用するすべてのホスト名にアクセス権を付与してください。そうすることによって、Sun Cluster HA for NFS の障害監視機能の最も効率的な動作が可能になります。Sun Cluster に関連付けられているすべての物理ホスト名と論理ホスト名、さらに、Sun Cluster が接続するすべてのパブリックネットワーク上のホスト名を含めてください。
share コマンドに、個別ホスト名ではなく、netgroup を使用する場合は、適切な netgroup にクラスタのすべてのホスト名を追加してください。理想的には、Sun Cluster のすべてのホスト名に読み取り権と書き込み権の両方を付与して、NFS の障害検証機能が正常に動作するようにしてください。
共有オプションを変更する前に、share_nfs(1M) のマニュアルページを読んで、正当なオプションの組み合わせを理解しておいてください。共有オプションの変更では、論理ホストを現在マスターしている Sun Cluster サーバーから、提案されている新しい share(1M)コマンドを対話形式で実行してください (このためには、スーパーユーザーになる必要があります)。新しい share(1M) コマンドを使用することにより、共有オプションの組み合わせに関する情報がすぐに得られます。新しい share(1M) コマンドで問題が発生した場合は、古いオプションを付けてすぐに別の share(1M) コマンドを実行してください。新しい share(1M) コマンドが正しく動作したら、dfstab.logicalhostname ファイルにその share(1M) コマンドを反映させてください。
cconsole(1) のウィンドウから vi などのエディタを使用して、dfstab.logicalhost ファイルに適切な変更を加えます。
cconsole(1) のウィンドウを使用することによって、ファイルシステムのすべての潜在的マスター上で変更を行うことができます。
# haswitch -r |
クラスタの再構成の強制実行については、『Sun Cluster 2.2 のシステム管理』を参照してください。
再構成できない場合は、share(1M) コマンドに新しいオプションを付けて実行することができます。いくつかの変更により、障害監視サブシステムからメッセージが発行されることがあります。たとえば、読み取り・書き込み権を読み取り専用に変更すると、メッセージが発行されます。