Sun Cluster 2.2 ソフトウェアのインストール

ファイルシステムのロギング

高可用性システムの重要な特長の 1 つとして、ノードに障害が発生しても、すぐにファイルシステムをオンラインに戻せることが挙げられます。これは、ロギングファイルシステムを利用することによって行います。Sun Cluster は、Veritas の VxFS ロギングと DiskSuite の UFS ロギング、Solaris の UFS ロギングの 3 つのロギングファイルシステムをサポートしています。Oracle Parallel Server (OPS) と組み合わせた場合、Cluster Volume Manager (CVM) は raw パーティションを使用するため、ロギングファイルシステムを使用しません。しかし、クラスタ内では、OPS と HA データサービスと一緒に CVM を実行することができます。この構成では、OPS 共有ディスクグループは raw パーティションを使用しますが、HA ディスクグループが VxFS または Solaris UFS ロギングファイルシステム (Solaris UFS ロギングは Solaris 7 でのみサポート) のいずれかを使用できます。上記の共存型の CVM 構成を除けば、Sun Cluster は、次の表に示すボリュームマネージャとロギングファイルシステムの組み合わせをサポートします。

表 2-2 サポートされるファイルシステムとボリュームマネージャの組み合わせ

Solaris オペレーティング環境 

ボリュームマネージャ 

サポートされるファイルシステム 

Solaris 2.6 

Sun StorEdge Volume Manager 

VxFS、UFS (ロギングなし) 

Solstice DiskSuite 

DiskSuite UFS ロギング 

Solaris 7 

Solstice DiskSuite 

DiskSuite UFS ロギング、Solaris UFS ロギング 

CVM は、ロギングファイルシステムが提供する機能に似た、ダーティリージョンログ (DRL) という機能を使用して、再起動後の高速回復の支援をします。CVM については、Sun Cluster に付属している『Sun Cluster 2.2 Cluster Volume Manager ガイド』を、DiskSuite UFS ロギングについては、Solstice DiskSuite のマニュアルを参照してください。また、VxFS ロギングについては、Veritas のマニュアルを参照してください。以下では、Solaris UFS ロギングについて簡単に説明します。詳細は、mount_ufs(1M) のマニュアルページを参照してください。

Solaris UFS ロギングは、Solaris 7 オペレーティング環境の新機能です。

Solaris UFS ロギングは循環ログを使用して、UFS ファイルシステムに加えられたあらゆる変更を記録します。ログが一杯になると、変更点は実際のファイルシステムに「ロールイン (取り込み)」されます。ロギングの利点は、UFS ファイルシステムが矛盾した状態、すなわち、処理が完了しない状態で残されないことです。システムがクラッシュした後、fsck には解決すべきことがないため、起動時間が短くなります。

Solaris UFS ロギングは、mount コマンドの「ロギング」オプションを使用して有効にします。UFS ファイルシステムに対してロギングを有効にするには、mount コマンドに -o logging オプションを追加するか、/etc/opt/SUNWcluster/conf/hanfs/vfstab.logicalhost のエントリ (右端のカラム) に「logging」という単語を追加します。

Solaris UFS ロギングは、常に UFS ファイルシステム上の空き領域を使用してログを確保します。1G バイトより小さいファイルシステムの場合、ログが占有する領域のサイズは 1M バイトです。より大きなファイルシステムの場合は、1G バイトあたり 1M バイトの割合で、最高 64M バイトを占有します。

Solaris UFS ロギングは、常にファイルシステムと同じディスク上にログファイルを書き込みます。このため、logging オプションを使用すると、ディスクサイズが制限されます。DiskSuite UFS ロギングでは、ログを別のディスクに置くことが可能であり、ログに関係する入出力を少し減らすのに役立ちます。

DiskSuite UFS ロギングでは、ロギングに使用されたトランスデバイスによってメタデバイスが作成されます。ただし、ログはミラー化やストライプ化が可能なメタデバイスです。Solstice DiskSuite では、最大 1T バイトのロギングファイルシステムを作成できます。

Solstice DiskSuite によってすでにロギングが提供されている場合、mount コマンドの logging オプションは機能しません。logging オプションを使用すると、すでにファイルシステムにロギングが提供されていることを示す警告メッセージが返されます。ログのサイズあるいは位置を制御する必要がある場合は、DiskSuite UFS ロギングを使用してください。

ファイルシステムの使用状況によっては、Solaris UFS ロギングを使用した方が、ロギングなしのときよりも性能が向上することがあります。

現在のところ、DiskSuite UFS ロギングから Solaris UFS ロギングへの変更はサポートされていません。