Solaris PC NetLink 管理マニュアル

6.2.2 ネットワークの確認

サーバーがすべてのネットワーク問題の原因であると仮定する前に、ネットワークの健全性を確認するための検査を行うことも重要です。これは、サーバーユーザーのすべてまたは大部分が同時に問題を報告しているような場合に特に重要です。

以下の手順でネットワークの健全性を確認します。

6.2.2.1 手順 1  物理ネットワークの状態の確認

最初に確認する項目は物理ネットワークです。今日のネットワークハードウェアの大部分は状態表示を提供しており、それを使用してあらゆるネットワークのリンクの状態を評価することができます (たとえば 10 BASE-T のハブでは LED が使用されています)。過剰な再転送、接続完全性の不整合、および超過送信状態など、物理ネットワークに関する問題の兆候を見逃さないよう、これらのリンクを常に確認します。

1 つのクライアントしか影響を受けていない場合でも、ケーブル接続の問題ではないと仮定しないでください。1 つのクライアントについては、どのサーバに対しても同じ問題が発生するかどうかを簡単に調べることができます。

ほぼ問題なく機能しているネットワーク上で、あるクライアントからネットワークが「見えない」場合は、その問題がクライアントのネットワーク構成に関連していると考えることができます。ただし、同じクライアントからネットワーク上の別のノードが見えるにもかかわらず、特定のサーバーに接続できない場合は、そのサーバーへのネットワーク経路、サーバー自体、またはそのクライアントが使用しているアカウントに問題のある可能性が高いと考えられます。

物理ネットワークの状態を監視できる他社製品もいくつかあります。これらのデバイスの 1 つを使用して定期的にネットワークトラフィックを確認し、物理ネットワークに問題が発生していないことを確認することが重要です。

6.2.2.2 手順 2  トランスポートプロトコルの状態の確認

物理ネットワークが正しく機能していることを確認したら、次の手順ではネットワーク上にあるさまざまなコンピュータがトランスポートプロトコルの観点からお互いが「見える」かどうかを確認します。多くのトランスポートプロトコルアプリケーションには、ネットワーク上でのクライアントとサーバー間のトランスポートレベルでの接続性の確認に使用できる接続性テストツールが含まれます。

ping コマンドを使用して特定のクライアントからサーバーマシンに到達できなければ、そのクライアントコンピュータはサーバーに接続することはできません。 いくつかのクライアントコンピュータからサーバーへの ping が到達しない場合、サーバーが動作していない、トランスポートコントロールが動作していない、またはネットワークの構成に接続を阻害する問題がある、などの原因が考えられます。

トランスポートプロトコルソフトウェアのマニュアルを再度参照してください。必要に応じて、次の節で説明している、 NetBIOS プロトコルと SunLink Server ソフトウェアの状態を評価するための手順を進めてください。

6.2.2.3 手順 3  NetBIOS プロトコルの状態の確認

NetBIOS プロトコルの層を確認します。多くの NetBIOS モジュールは、ネットワーク上にある NetBIOS 名の間の接続性をテストするツールを提供しています。

TCP/IP を使ったノード間の接続性に問題がなくても、NetBIOS 名の間の接続性が機能していない場合は SunLink Server ソフトウェアは機能しません。すべての SunLink Server の通信は NetBIOS 名のセッションに基づいています。プロトコルソフトウェアと共に提供されるテストツールを使用して NetBIOS レベルの接続性を確認します。問題を発見した場合は、NetBIOS プロトコルのマニュアルに沿って問題を特定します。

6.2.2.4 手順 4  Solaris システムの機能性の確認

すべてのネットワーク接続モジュールの適切な確認が終了したら、次に確認する項目は SunLink Server プログラムのホストコンピュータ上での Solaris の動作環境です。オペレーティングシステムは、適切な動作を確認するためのさまざまなログファイルやシステムの確認手段を提供しています。これらの検査の詳細については、Solaris のシステム管理者マニュアルを参照してください。

SunLink Server ソフトウェアは以下のシステムの問題に特に影響を受けやすくなっています。

オペレーティングシステムの問題は一般にサーバーに接続しているすべての、またはほとんどのクライアントコンピュータに影響します。個別のクライアント問題の障害追跡をしている場合はこの手順にあまり時間をかけないようにしてください。

6.2.2.5 手順 5  SunLink Server システムの問題の特定

すべての基本ソフトウェアが正しく機能していることが確認されたら、SunLink Server システムの確認を行う必要があります。サーバー上の問題は、ユーザーコミュニティーが報告した問題のタイプによって特定されることが少なくありません。

1 人のユーザーだけが問題を抱えている場合、このユーザーが実行を試みている操作に焦点を絞ることができます。

あるユーザーグループが問題を抱えており、他の多くのユーザーには問題がない場合、問題のあるユーザーに共通する点を調べる必要があります。以下に例を挙げます。

サーバーのすべてのユーザーが問題を抱えている場合、サーバーの状態に関してより基本的な検査から始める必要があります。それについては以下の節で説明します。

サーバーの動作確認

サーバーが実際に動作していることを確認することが重要です。これは、システムのコマンドプロンプトに次のコマンドを入力して簡単に行うことができます。

ps -ef | grep lmx

システムに以下のような内容 (最低限) を含む記述が表示されます。

root 3554 3452 Feb28 19:39 lmx.srv -s 1

root 3452 1 0 Feb28 5:03 lmx.ctrl

root 3568 1 0 Feb28 2:16 lmx.dmn

この表示内容は、デーモン (lmx.dmn)、制御プロセス (lmx.ctrl)、および最低 1 つのワーカープロセス (lmx.srv) という 3 つの必要なサーバープロセスが実際に動作していることを示しています。 lmx.browserlmx.alerter などの他のプロセスが表示されることもあります。

さらにそれぞれ行の最後に固有の番号が付いた複数のワーカープロセスが表示されます。サーバーは、サーバーがサポートしているクライアントの数に基づいて新しいワーカープロセスを生成します。開始されるクライアントセッションが増えるほど開始される lmx.srv も増え、それぞれに固有の ID と番号が付けられます。これが通常の状態です。

サーバーが動作していない場合、コマンドプロンプトで net start server コマンドを使用します。

サーバーのサービスの動作確認

必要なサーバープロセスの 1 つが動作していない場合、すべてのサーバーのサービスが正しく起動しているかどうかを調べます。いくつかのサーバープロセスが動作していても、特定のサービスが起動していないためにサーバーを使用できない場合もあります。特に Net Logon サービスは重要です。どのサービスが動作しているかを確認するには、コマンドプロンプトで次のコマンドを入力します。

net start

サーバー上で現在動作しているサービスのリストが表示されます。

Net Logon と Server サービスが表示されていることが重要です。表示されていない場合はサーバーに問題があります。Net Logon サービスが起動しない原因が、サーバー名、ドメイン名、またはドメイン構成などの問題である場合が少なくありません。

次の節の説明に従って問題に関するエラーログを確認してください。

エラーログのメッセージ

サーバーが使用するエラーログを常に確認してください。クライアントコンピュータからイベントビューアを使用して、SunLink Server システムから SunLink Server Manager を使用して、またはシステムコンソールから elfread コマンドを使用して、システムログ、セキュリティーログ、およびアプリケーションログを表示することができます。印刷関連の問題がある場合は PRINTLOG 共有領域にログが残されます。サーバーの起動に関する問題については、/var/opt/lanman/logs ディレクトリにある lmxstart.log を確認します。

これらのログにエントリがある場合は、今後参照するために保存してください。エラーメッセージは問題の原因を示していることもあるので、決して破棄したり上書きしたりしないでください。これらのログを後に購入先に送る必要がある場合もあります。

次のメッセージは特にサーバーの問題を示しています。


A server process has unexpectedly terminated (サーバープロセスが予期せず終了しました)

このメッセージは、サーバープロセスに予期せぬエラーが発生したことを示しています。サーバーがどのように構成されているかによって、システムに Core ファイルがあるかもしれません。

SunLink Server のレジストリで CoreOk キーワードの値が 1 (はい) に設定されている場合、システムのどこかに Core ファイルがあります。CoreOk の値は次のキーにあります。

SYSTEM¥CurrentControlSet¥Services¥ AdvancedServer¥ProcessParameters

ルートディレクトリから次のコマンドを実行して Core ファイルを検索します。

find . -name "core*" -print

発見したファイルをすべて保存します。CoreOk パラメタが 0 に設定されている場合は Core ファイルは作成されません。Core ファイルを作成するために、CoreOk キーワードを 1 に設定しておくとデバッグを行う際に便利です。

サーバー資源の共有

サーバー資源の中には、サーバーが起動する度に自動的に共有されるものもあります。これらの資源は、他のサーバー活動が行われている間にクライアントによってバックグラウンドで使用されています。

デフォルトで共有されている資源のリストは以下のとおりです。

ADMIN$

C$

D$

IPC$

LIB

NETLOGON

PRINTLOG

PRINT$

USERS

最後にドルマーク ($) が付いている資源はサーバー管理や通信に必要な特殊資源です (追加の特殊資源 REPL$ は Directory Replicator サービスが動作しているときに使用できます)。

これらの資源の削除や再共有を試みることはしないでください。これらの資源のうちいずれかが足りない場合、サーバーは正しく機能しません。これらの資源の 1 つが足りないことを検出した場合、サーバーを停止して再起動し、これらがサーバーの起動時に共有されているかどうかを調べます。これらが表示されていない場合は、サポート担当者に連絡してください。

その他の資源は、一般のユーザーがログオン時 (NETLOGON) 、ホームディレクトリへの接続 (USERS) 、ユーティリティーやエラーログへのアクセス (DOSUTILOS2UTILPRINTLOG) に使用するデフォルトの資源です。これらの項目が何らかの目的でサーバーに置かれていない場合もあります。ただし、それらを共有していない場合は、サーバーに問題が発生することも考えられます。

コンソールからサーバーへの接続

サーバーがネットワーク上で通信を行っているかどうかを調べるために簡単なテストを行うことができます。システムコンソールで次のコマンドを発行します。

net view

システムがサーバーと同じドメイン内で動作しているその他のサーバーの名前を表示します。サーバー名が表示されたら、次のようにサーバー名を追加して同じコマンドを実行します。

net view ¥¥asutrial

システムが以下のような共有リソースのリストを表示します。

Shared resources at ¥¥asutrial

SunLink Server Systems

Sharename Type Used as Comment

----------------------------------------------------------------

DOSUTIL Disk DOS Utilities

LIB Disk Programming Aids

NETLOGON Disk Logon Scripts Directory

OS2UTIL Disk OS/2 Utilities

PRINTLOG Disk LP Printer Messages

USERS Disk User Directory

サーバーで他の資源を共有している場合は、他のエントリが表示される場合もあります。

これらのコマンドのいずれかが常に失敗する場合は、ネットワーク上のブロードキャスト通信に問題があります。これらのコマンドが成功する場合は、次の節のテストを行ってください。

最大ユーザー数

接続性に関する問題が発生しているときは、サーバーの構成によってサポートされるクライアントの最大数を超えていないことを確認します。この数はサーバーの lanman.ini ファイルにある maxclients パラメタで示されます。これは srvconfig - g maxclients コマンドを使用して表示できます。

SunLink Server のレジストリ

regcheck -C コマンドを実行して、レジストリファイルの内部形式が破壊されていないかどうかを調べます。このコマンドによって破壊が検出された場合、regcheck -R コマンドを実行してレジストリファイルを修復します。

SunLink Server レジストリに無効な値が入力されている場合は、regload コマンドを使用してすべてのレジストリの値をデフォルトに再初期化することができます。

クライアントからサーバーへの接続

クライアントコンピュータからサーバーへのログオンを試みます。ログオンが成功した場合、仮想ドライブ ID を共用資源にリンクします。その後リンクされているドライブの内容を表示します。

これらの手順で問題が発生した場合、以下の手順を使用して各問題を特定します。