この章では、SunLink サーバーソフトウェアが動作しているコンピュータの障害追跡の方法について説明します。障害追跡のプロセスで使用できるさまざまなツールや、障害追跡が必要なときにいつでも使用できる高度な手法を紹介します。
SunLink Server システムの障害追跡には、問題に関するデータ収集と問題の特定の原因を調べるためのデータ分析が含まれます。SunLink Server プログラムには数々のデータ収集ツールが含まれています。さらに、より複雑なデータ収集ツールを購入先から入手できる場合もあります。
この章では、SunLink Server ソフトウェアと共に提供されるさまざまなツールを紹介し、そのツールが使用できる状況を説明します。
管理者は以下の項目を実行することで、問題解決に要する時間を削減できます。
サーバーの障害追跡に使用できるツールやサービスを認識し、精通する。
利用可能なサーバーユーティリティーを構成して一般的な操作に必要なデータを収集する。
一定間隔でサーバーの状態を評価する。
サーバーの問題の特定を試みるときに論理的かつ総合的な手順に従う。
標準的な SunLink Server 製品パッケージを使用して得られる情報以上に複雑なデータ収集を必要とする問題が発生することもあります。このような状況では、問題に関するより詳細なデータを収集するためにソフトウェアの特殊デバッグバージョンが必要な場合もあります。このタイプのデータ収集には、同梱のツールの使用方法に関して、テクニカルサポートの支援が必要な場合もあります。
SunLink Server は障害追跡を支援するさまざまなツールを提供しています。これらのツールは以下の 3 つのカテゴリに分類することができます。
サーバーの状態の評価に使用するツール
サーバーの状態の自動通知に使用するツール
特定のサーバー問題のデバッグに使用するツール
以下の節では、各カテゴリのツールをまとめ、障害追跡を行う際の使用方法について簡潔に説明します。
SunLink Server プログラムには、指定した任意の時間にサーバーの稼動状態を評価する際に使用できる複数のツールが含まれています。サーバーの状態を頻繁に評価することによって、問題や傾向を迅速に認知でき、サーバー管理者としての能力を向上させることができます。
サーバー状態の定期的な見直しは、正常な問題のないサーバーがどのような状態であるかを理解する上で確固たる基礎を提供します。時間が経過すると、基準から外れた情報は何かに変化があったことを示し、注意する必要のある兆候となります。
以下の節でサーバーの状態を評価するツールについて説明します。
サーバーの毎日の動作に関連する数々のイベントは、SunLink Server Manager のイベントログを使用して追跡することができます (第 3 章「SunLink Server ソフトウェアの構成と管理」を参照)。これらのイベントはシステム、セキュリティー、アプリケーションの 3 つのイベントログのうちの 1 つに保持されます。管理者はイベントログの取り扱い方針を検討し、定期的な障害追跡の作業の一部にイベントログの見直しをする必要があります。
スプレッドシートやワードプロセッサを使用してイベントログデータを処理し、サーバーの通常の使用を記録しておくと非常に役立ちます。この方法でサーバーの標準的な動作プロファイルを生成して、サーバーの使用における傾向を予測することができます。
elfread コマンドを使用してイベントログを表示することもできます。詳細を参照するには、SunLink Server のコマンドプロンプトで man elfread と入力してください。
SunLink Server は、現在の使用だけでなく一定期間の累積的な使用に関する詳細な統計も保持しています。サーバーに問題が発生したときだけでなく定期的にこの統計の見直しをしておくと非常に役立ちます。
現在のサーバーの使用状況に関するデータを表示するには、SunLink Server Manager の情報表示を使用します (詳細は、「SunLink Server の情報の表示方法」 を参照してください)。現在のクライアントやサーバーセッションとこれらのセッションで使用されている資源に関する、以下のような詳細が提供されます。
現在の SunLink Server Manager セッションの Solaris ユーザー名
Solaris サーバー名
Solaris ハードウェアの種類
Solaris のバージョン
SunLink Server システム名
SunLink Server システムのドメイン名
SunLink Server システムのロール (BDC の場合、PDC 名前も提供される)
SunLink Server ソフトウェアのバージョン
サーバーの状態 (停止または実行中)
データベース保守スケジュールの状態 (スケジュールされている、またはスケジュールされていない)
サーバーの累積的な使用データを表示するには、SunLink Server コマンドプロンプトで net statistics コマンドを使用することもできます。このコマンドはさまざまなサーバーの動作に関する累積的な統計を提供します。定期的にこのコマンドを使用して提供されるサーバーの統計の見直しをすれば、サーバーの動作の変化に気付いて容易に対処することができます。
以下の統計は SunLink Server システムに関して保持されるもので、net statistics command を使用して取得することができます。
表 6-1 累積的な統計の説明
統計 |
説明 |
---|---|
リフレッシュされた時刻 |
この統計セットが開始された時刻を示します (最後にサーバーが起動した時刻または最後に統計がクリアされた時刻)。 |
受信されたセッション |
ユーザーがサーバーに接続した回数を示します。 |
タイムアウトしたセッション |
非活動によってユーザーのセッションがクローズした回数を示します。 |
エラーが発生したセッション |
エラーによってユーザーのセッションが終了した回数を示します。 |
送信バイト数 |
サーバーが転送したデータの K バイト数を示します。 |
受信バイト数 |
サーバーが受信したデータの K バイト数を示します。 |
平均応答時間 (ミリ秒) |
リモートサーバー要求の処理にかかった平均応答時間を示します。これは Solaris システムサーバーでは常に 0 になります。 |
システムエラー |
これは Solaris システムサーバーには適用されません。 |
アクセス違反 |
必要な権限を持たないユーザーが資源にアクセスを試みた時間を示します。 |
パスワード違反 |
間違ったパスワードが入力された回数です。 |
アクセスしたファイル |
使用されたファイルの数です。 |
アクセスした COM デバイス |
SunLink Server ではサポートされていません。 |
スプールされた印刷ジョブ |
サーバー上の印刷待ち行列にスプールされた印刷ジョブの数です。 |
バッファーのオーバーフロー回数 |
大きなバッファーおよび要求バッファーが不足した数です。Solaris システムサーバーでは常に 0 に設定されます。 |
管理者はクライアントとサーバーの間のセッションを表示して制御することができます。この情報を使用して特定のサーバー上の作業負荷を測定することができます。
サーバーマネージャを使用して Windows NT ワークステーションコンピュータまたは Windows クライアントコンピュータからのセッション情報を表示する手順は以下のとおりです。
SunLink Server のコマンドプロンプトで net session コマンドを使用してセッション情報を表示することもできます。
ユーザー名を表示していないセッションが表示される場合もあります。セッションは管理活動の結果なので、削除しないようにしてください。
管理者はいつでもサーバーからユーザーを切断することができます。ユーザーセッションのクローズによってユーザーが再接続できなくなることはありません。
サーバーマネージャを使用して Windows NT コンピュータまたは Windows クライアントコンピュータからユーザーセッションを切断する手順は以下のとおりです。
サーバーマネージャを起動します。
セッション情報を表示する SunLink Server システムを選択します。
[ユーザー] ボタンをクリックします。
ユーザーを強調表示して [切断] ボタンを選択します。
SunLink Server のコマンドプロンプトで net session コマンドを使用してユーザーセッションを切断することもできます。
ユーザーが共有ファイルを使用しているとき、ファイルは開いています。アプリケーションプログラムのエラーやその他の問題のために、そのファイルがロックされているにも関わらず開いている状態になっていることもあります。このような開いた状態のファイルは他のユーザーが使用できません。管理者はこうしたファイルを閉じることができます。
サーバーマネージャを使用して Windows NT コンピュータまたは Windows クライアントコンピュータから開いている資源を閉じる手順は以下のとおりです。
サーバーマネージャを起動します。
データを表示する SunLink Server を選択します。
[使用] ボタンをクリックします。
開いている資源を強調表示して [資源を閉じる] ボタンを選択します。
SunLink Server のコマンドプロンプトで net file コマンドを使用して開いている資源を閉じることもできます。
SunLink Server は各共有プリンタおよびサーバーが使用する各 Solaris システムプリンタについて個別の印刷ログを保持しています。これらのログファイルはプリンタの障害や印刷ジョブのエラーによって生成されるメッセージをすべて記録します。
管理者はこれらのログファイルを確認してこのようなエラーが発生していないかを調べる必要があります。PRINTLOG 共有資源にリンクすることによってクライアントコンピュータからこのログにアクセスできます。
サーバーからログにアクセスすることもできます。次のディレクトリにあります。 /opt/lanman/shares/printlog
迅速な対処はサーバーの問題を取り扱う際に非常に重要です。問題が発生したときにすぐ認識することによって、その問題がサーバーユーザーのコミュニティーに与える影響を大幅に削減することができます。
問題が発生したときに指定したユーザーに通知するように SunLink Server ソフトウェアを構成することができます。また、問題が発生したときに通知を行うように Solaris システムを構成することもできます。以下の節でこれらの機能について説明します。
SunLink Server ソフトウェアには、特定のイベントが発生したことを指定したユーザーに知らせる際に使用できる Alerter サービスがあります。管理者はこのサービスを使用してただちにサーバーの問題を知らせる必要があります。サーバーの問題を解決するための迅速な行動によって、影響を最小限に抑えることができます。警告が生成される状況例を以下に示します。
サーバーエラーの数が SunLink Server のレジストリで設定されたしきい値を超えた。
不正なアクセスの試みが行われた数が SunLink Server のレジストリで設定されたしきい値を超えた。
不正なパスワード入力の試みが行われた数が SunLink Server のレジストリで設定されたしきい値を超えた。
Net Logon サービスの起動中にエラーが発生した。
プリンタが正しく機能しない。
印刷要求が削除された、または完了した。
SunLink Server ソフトウェアの利点の 1 つは、Solaris オペレーティングシステムが提供する独自のスクリプト機能が利用できることです。管理者はこれらの機能と SunLink Server ソフトウェアが提供するデータ収集ツールを組み合わせて強力なツールを作成し、いつでも指定した時間に SunLink Server システムの状態を評価することができます。
たとえば、Solaris システムジョブスケジュール作成機能 (CRON)、SunLink Server が提供するさまざまなデータ収集ツール、およびファイルシステムの完全性や空き領域を確認するための標準的な Solaris システムコマンドのうちのいくつかを使用して、一定の間隔でさまざまなシステムやサーバーの確認を行い、Solaris システム管理者に結果を送信するスクリプトを書くことができます。
SunLink Server ソフトウェアには、サーバー問題の障害追跡に使用できる Solaris システムコマンドがあります。これらのコマンドは SunLink Server コマンドプロンプトで実行できます。この節では、これらのコマンドについてまとめ、サーバーの障害追跡においてそのコマンドが果たす役割について説明します。
各コマンドの詳細を参照するには、SunLink Server コマンドプロンプトで man コマンドを入力してください。
lmshell コマンドは、実際に MS-DOS クライアントにアクセスしていないときに MS-DOS クライアントセッションをエミュレートする際に役立ちます。このコマンドは、クライアントとサーバー間の接続問題の障害追跡を行う際に特に便利です。lmshell コマンドを使用して、SunLink Server のコマンドプロンプトの lmshellで net logon や net use コマンドを実行することで、クライアントログオンや資源のリンクを模倣することができます。
lmstat コマンドは、サーバーの共有メモリーイメージに問い合せて、サーバーの現在の状態に関するさまざまなデータを収集します。このコマンドは、どのサーバープロセスでクライアントセッションがオンになっているかを調べるときに特に便利です。
SunLink Server ソフトウェアは、一連の協調的なプロセスで構成されています。サーバーが稼動しているときに次のコマンドを入力します。
ps -ef | grep lmx
このコマンドを実行すると以下のような表示が生成されます。
root 17726 1 0 12:03:36 0:00 lmx.alerter
root 17713 17461 0 12:03:32 0:00 lmx.srv -s 1
root 17722 17874 0 12:03:35 0:00 lmx.srv -s 2
root 17726 1 0 12:03:36 0:01 lmx.dmn
root 17728 1 0 12:03:36 0:01 lmx.browser
root 17744 1 0 12:03:28 0:00 lmx.ctrl
この例では、2 つの lmx.srv サーバープロセス (17713 と 17722) があります。サーバーには現在 9 つのクライアントとセッションを持っています。
どの lmx.srv プロセスにクライアントが接続しているかを知るためには、サーバープロンプトで lmstat -c を実行します。システムは以下のような出力を表示します。
Clients:
BANANA.SERVE‾X (nwnum=0, vcnum=0) on 17713
ORANGE (nwnum=0, vcnum=0) on 17713
PEAR (nwnum=0, vcnum=0) on 17722
各クライアント名に対応するプロセス ID 番号が付いているのがわかります。これは現在そのクライアントを管理している lmx.srv プロセスのプロセス ID です。vcnum の値はこれがクライアントコンピュータの最初の VC か追加の VC かを指定するものです。
クライアントを管理している lmx.srv プロセスのプロセス ID を調べることは、lmstat -w または Solaris システムの truss( ) コマンドを使用するときに特に便利です。このコマンドは共に起動引数の一部としてプロセス ID を必要とします。(-w オプションはすべてのオペレーションシステム上で有効ではありません。)
regconfig コマンドは、SunLink Server レジストリのキー情報の照会や変更を行う際に使用します。このコマンドを使用して、レジストリにある任意の値を変更することができます。(Windows NT レジストリエディタを使用してキーの値を変更することもできます。)
regconfig コマンドを使用して、SunLink Server のレジストリをシステムのデフォルトに再初期化することもできます。
レジストリの詳細については、付録 A 「SunLink Server のレジストリ」 を参照してください。
regcheck コマンドは、SunLink Server のレジストリファイルの確認や修正を行う際に使用します。このコマンドは SunLink Server レジストリファイルの内部構造のみを確認し、そこに保存されているデータの有効性については確認しません。
レジストリファイルの内部構造が無効なことが判明した場合は、regcheck コマンドを使用して必要な修正を行います。
samcheck コマンドは、SAM データベースの確認、ダンプ、および修正を行う際に使用します。このコマンドを使用して、ユーザーアカウントデータベースが破壊されていないかを確認し、必要に応じて修正を行います。
samcheck コマンドを使用して、ユーザーアカウントデータベースのコンテンツを人間が読める形式で stdout に出力することもできます。
srvconfig コマンドは、lanman.ini ファイルにあるすべてのサーバーパラメタの現在のデフォルト設定を表示する際に使用します。(修正したいパラメタの場所やスペリングを確認するにも良い方法です。)
lanman.ini ファイルには、修正可能な構成パラメタがいくつか含まれています。これらのパラメタの多くにはデフォルト設定が使用されていますが、そのうちのいくつかは変更してサーバーのインストール時に設定されたデフォルト値を上書きすることができます。
lanman.ini ファイルのデフォルト設定を表示するには、次のコマンドを使用します。
srvconfig -p | more
このコマンドは lanman.ini ファイルにあるすべてのパラメタとそのデフォルト設定のリストを生成します。
acladm コマンドは、アクセス制御リストで発見された問題の確認と修正に使用します。
実行する前に、このコマンドで使用できるオプションを調べてください。SunLink Server のコマンドプロンプトで man acladm コマンドを入力します。
SunLink Server の障害追跡には、問題を引き起こしているモジュールを特定するための計画的な手法を使用して問題を特定した後、詳細データを収集することが含まれます。以下の節では、サーバー問題を特定するために使用できる簡単な手順を紹介します。その後で問題に関する追加情報の収集方法に関するいくつかの提案を行います。
SunLink Server プログラムは Solaris システムコンピュータ上で動作しています。サーバーは完全に制御された NetBIOS ネットワークに依存して、そのファイル管理および印刷管理機能を実行しています。
NetBIOS ネットワークには通常、NetBIOS プロトコルインタフェースを提供するアプリケーション、TCP/IP などのネットワークトランスポートプロトコルインタフェースを提供するアプリケーション (NetBIOS を共通モジュール内に含むトランスポートの実装もあります)、およびネットワークアダプタインタフェースのドライバを提供するアプリケーション (トランスポートモジュールの一部にもなっている場合があります) などのコンポーネントが含まれます。
各 NetBIOS ネットワークコンポーネントは、SunLink Server がネットワーク環境で機能するように構成され、動作する必要があります。さらに、Windows NT ワークステーションコンピュータや Microsoft Windows クライアントコンピュータなど、SunLink Server プログラムのファイルや印刷サービスを使用する同様のモジュールがマシン上で機能している必要があります。
NetBIOS ネットワークが利用できない場合、システムはサーバーの起動時に次のメッセージを表示します。
unable to post servername on any network
クライアントと SunLink Server の接続に関わるすべてのモジュールの見直しをすると、クライアントサーバーネットワーク環境では問題の特定が問題解決の第一歩であるということが認識できます。
問題がサーバーに関するものだと仮定する前に、他のネットワークソフトウェアが適切に機能していることを確認する必要があります。これは、トランスポートや物理ネットワークの問題が発生する危険性がもっとも高い新規インストールの場合は特に重要です。
1 つのクライアントやユーザーにしか影響を及ぼさないような問題のために、ソフトウェアのすべての層を徹底的に確認する必要はありません。どのような場合に総合的な問題特定手順、またはサーバー固有の問題特定手順を使用するかを決定するにはこれまでの実例が役立ちます。以下の節は、両方の手順の実行方法に関するガイドラインを提供します。状況に応じて適切な方法を選択してください。
サーバーがすべてのネットワーク問題の原因であると仮定する前に、ネットワークの健全性を確認するための検査を行うことも重要です。これは、サーバーユーザーのすべてまたは大部分が同時に問題を報告しているような場合に特に重要です。
以下の手順でネットワークの健全性を確認します。
最初に確認する項目は物理ネットワークです。今日のネットワークハードウェアの大部分は状態表示を提供しており、それを使用してあらゆるネットワークのリンクの状態を評価することができます (たとえば 10 BASE-T のハブでは LED が使用されています)。過剰な再転送、接続完全性の不整合、および超過送信状態など、物理ネットワークに関する問題の兆候を見逃さないよう、これらのリンクを常に確認します。
1 つのクライアントしか影響を受けていない場合でも、ケーブル接続の問題ではないと仮定しないでください。1 つのクライアントについては、どのサーバに対しても同じ問題が発生するかどうかを簡単に調べることができます。
ほぼ問題なく機能しているネットワーク上で、あるクライアントからネットワークが「見えない」場合は、その問題がクライアントのネットワーク構成に関連していると考えることができます。ただし、同じクライアントからネットワーク上の別のノードが見えるにもかかわらず、特定のサーバーに接続できない場合は、そのサーバーへのネットワーク経路、サーバー自体、またはそのクライアントが使用しているアカウントに問題のある可能性が高いと考えられます。
物理ネットワークの状態を監視できる他社製品もいくつかあります。これらのデバイスの 1 つを使用して定期的にネットワークトラフィックを確認し、物理ネットワークに問題が発生していないことを確認することが重要です。
物理ネットワークが正しく機能していることを確認したら、次の手順ではネットワーク上にあるさまざまなコンピュータがトランスポートプロトコルの観点からお互いが「見える」かどうかを確認します。多くのトランスポートプロトコルアプリケーションには、ネットワーク上でのクライアントとサーバー間のトランスポートレベルでの接続性の確認に使用できる接続性テストツールが含まれます。
ping コマンドを使用して特定のクライアントからサーバーマシンに到達できなければ、そのクライアントコンピュータはサーバーに接続することはできません。 いくつかのクライアントコンピュータからサーバーへの ping が到達しない場合、サーバーが動作していない、トランスポートコントロールが動作していない、またはネットワークの構成に接続を阻害する問題がある、などの原因が考えられます。
トランスポートプロトコルソフトウェアのマニュアルを再度参照してください。必要に応じて、次の節で説明している、 NetBIOS プロトコルと SunLink Server ソフトウェアの状態を評価するための手順を進めてください。
NetBIOS プロトコルの層を確認します。多くの NetBIOS モジュールは、ネットワーク上にある NetBIOS 名の間の接続性をテストするツールを提供しています。
TCP/IP を使ったノード間の接続性に問題がなくても、NetBIOS 名の間の接続性が機能していない場合は SunLink Server ソフトウェアは機能しません。すべての SunLink Server の通信は NetBIOS 名のセッションに基づいています。プロトコルソフトウェアと共に提供されるテストツールを使用して NetBIOS レベルの接続性を確認します。問題を発見した場合は、NetBIOS プロトコルのマニュアルに沿って問題を特定します。
すべてのネットワーク接続モジュールの適切な確認が終了したら、次に確認する項目は SunLink Server プログラムのホストコンピュータ上での Solaris の動作環境です。オペレーティングシステムは、適切な動作を確認するためのさまざまなログファイルやシステムの確認手段を提供しています。これらの検査の詳細については、Solaris のシステム管理者マニュアルを参照してください。
SunLink Server ソフトウェアは以下のシステムの問題に特に影響を受けやすくなっています。
root ( / ) や /var など重要なファイルシステムのディスク容量の不足
過剰なスワッピングを引き起こすシステムメモリーの不足
CPU の結合状態
ディスク負荷バランスの欠如
開いているファイルの最大数などのカーネルパラメタの不適切な調整
オペレーティングシステムの問題は一般にサーバーに接続しているすべての、またはほとんどのクライアントコンピュータに影響します。個別のクライアント問題の障害追跡をしている場合はこの手順にあまり時間をかけないようにしてください。
すべての基本ソフトウェアが正しく機能していることが確認されたら、SunLink Server システムの確認を行う必要があります。サーバー上の問題は、ユーザーコミュニティーが報告した問題のタイプによって特定されることが少なくありません。
1 人のユーザーだけが問題を抱えている場合、このユーザーが実行を試みている操作に焦点を絞ることができます。
あるユーザーグループが問題を抱えており、他の多くのユーザーには問題がない場合、問題のあるユーザーに共通する点を調べる必要があります。以下に例を挙げます。
そのユーザーは同一のハブ上にいるか。
そのユーザーは同一のアプリケーションまたはプリンタを使用しているか。
そのユーザーは同一の lmx.srv プロセスを使用しているか。
そのユーザーは同一の SunLink Server グループのメンバーであるか。
サーバーのすべてのユーザーが問題を抱えている場合、サーバーの状態に関してより基本的な検査から始める必要があります。それについては以下の節で説明します。
サーバーが実際に動作していることを確認することが重要です。これは、システムのコマンドプロンプトに次のコマンドを入力して簡単に行うことができます。
ps -ef | grep lmx
システムに以下のような内容 (最低限) を含む記述が表示されます。
root 3554 3452 Feb28 19:39 lmx.srv -s 1
root 3452 1 0 Feb28 5:03 lmx.ctrl
root 3568 1 0 Feb28 2:16 lmx.dmn
この表示内容は、デーモン (lmx.dmn)、制御プロセス (lmx.ctrl)、および最低 1 つのワーカープロセス (lmx.srv) という 3 つの必要なサーバープロセスが実際に動作していることを示しています。 lmx.browser や lmx.alerter などの他のプロセスが表示されることもあります。
さらにそれぞれ行の最後に固有の番号が付いた複数のワーカープロセスが表示されます。サーバーは、サーバーがサポートしているクライアントの数に基づいて新しいワーカープロセスを生成します。開始されるクライアントセッションが増えるほど開始される lmx.srv も増え、それぞれに固有の ID と番号が付けられます。これが通常の状態です。
サーバーが動作していない場合、コマンドプロンプトで net start server コマンドを使用します。
必要なサーバープロセスの 1 つが動作していない場合、すべてのサーバーのサービスが正しく起動しているかどうかを調べます。いくつかのサーバープロセスが動作していても、特定のサービスが起動していないためにサーバーを使用できない場合もあります。特に Net Logon サービスは重要です。どのサービスが動作しているかを確認するには、コマンドプロンプトで次のコマンドを入力します。
net start
サーバー上で現在動作しているサービスのリストが表示されます。
Net Logon と Server サービスが表示されていることが重要です。表示されていない場合はサーバーに問題があります。Net Logon サービスが起動しない原因が、サーバー名、ドメイン名、またはドメイン構成などの問題である場合が少なくありません。
次の節の説明に従って問題に関するエラーログを確認してください。
サーバーが使用するエラーログを常に確認してください。クライアントコンピュータからイベントビューアを使用して、SunLink Server システムから SunLink Server Manager を使用して、またはシステムコンソールから elfread コマンドを使用して、システムログ、セキュリティーログ、およびアプリケーションログを表示することができます。印刷関連の問題がある場合は PRINTLOG 共有領域にログが残されます。サーバーの起動に関する問題については、/var/opt/lanman/logs ディレクトリにある lmxstart.log を確認します。
これらのログにエントリがある場合は、今後参照するために保存してください。エラーメッセージは問題の原因を示していることもあるので、決して破棄したり上書きしたりしないでください。これらのログを後に購入先に送る必要がある場合もあります。
次のメッセージは特にサーバーの問題を示しています。
A server process has unexpectedly terminated (サーバープロセスが予期せず終了しました)
このメッセージは、サーバープロセスに予期せぬエラーが発生したことを示しています。サーバーがどのように構成されているかによって、システムに Core ファイルがあるかもしれません。
SunLink Server のレジストリで CoreOk キーワードの値が 1 (はい) に設定されている場合、システムのどこかに Core ファイルがあります。CoreOk の値は次のキーにあります。
SYSTEM¥CurrentControlSet¥Services¥ AdvancedServer¥ProcessParameters
ルートディレクトリから次のコマンドを実行して Core ファイルを検索します。
find . -name "core*" -print
発見したファイルをすべて保存します。CoreOk パラメタが 0 に設定されている場合は Core ファイルは作成されません。Core ファイルを作成するために、CoreOk キーワードを 1 に設定しておくとデバッグを行う際に便利です。
サーバー資源の中には、サーバーが起動する度に自動的に共有されるものもあります。これらの資源は、他のサーバー活動が行われている間にクライアントによってバックグラウンドで使用されています。
デフォルトで共有されている資源のリストは以下のとおりです。
ADMIN$
C$
D$
IPC$
LIB
NETLOGON
PRINTLOG
PRINT$
USERS
最後にドルマーク ($) が付いている資源はサーバー管理や通信に必要な特殊資源です (追加の特殊資源 REPL$ は Directory Replicator サービスが動作しているときに使用できます)。
これらの資源の削除や再共有を試みることはしないでください。これらの資源のうちいずれかが足りない場合、サーバーは正しく機能しません。これらの資源の 1 つが足りないことを検出した場合、サーバーを停止して再起動し、これらがサーバーの起動時に共有されているかどうかを調べます。これらが表示されていない場合は、サポート担当者に連絡してください。
その他の資源は、一般のユーザーがログオン時 (NETLOGON) 、ホームディレクトリへの接続 (USERS) 、ユーティリティーやエラーログへのアクセス (DOSUTIL、OS2UTIL、PRINTLOG) に使用するデフォルトの資源です。これらの項目が何らかの目的でサーバーに置かれていない場合もあります。ただし、それらを共有していない場合は、サーバーに問題が発生することも考えられます。
サーバーがネットワーク上で通信を行っているかどうかを調べるために簡単なテストを行うことができます。システムコンソールで次のコマンドを発行します。
net view
システムがサーバーと同じドメイン内で動作しているその他のサーバーの名前を表示します。サーバー名が表示されたら、次のようにサーバー名を追加して同じコマンドを実行します。
net view ¥¥asutrial
システムが以下のような共有リソースのリストを表示します。
Shared resources at ¥¥asutrial
SunLink Server Systems
Sharename Type Used as Comment
----------------------------------------------------------------
DOSUTIL Disk DOS Utilities
LIB Disk Programming Aids
NETLOGON Disk Logon Scripts Directory
OS2UTIL Disk OS/2 Utilities
PRINTLOG Disk LP Printer Messages
USERS Disk User Directory
サーバーで他の資源を共有している場合は、他のエントリが表示される場合もあります。
これらのコマンドのいずれかが常に失敗する場合は、ネットワーク上のブロードキャスト通信に問題があります。これらのコマンドが成功する場合は、次の節のテストを行ってください。
接続性に関する問題が発生しているときは、サーバーの構成によってサポートされるクライアントの最大数を超えていないことを確認します。この数はサーバーの lanman.ini ファイルにある maxclients パラメタで示されます。これは srvconfig - g maxclients コマンドを使用して表示できます。
regcheck -C コマンドを実行して、レジストリファイルの内部形式が破壊されていないかどうかを調べます。このコマンドによって破壊が検出された場合、regcheck -R コマンドを実行してレジストリファイルを修復します。
SunLink Server レジストリに無効な値が入力されている場合は、regload コマンドを使用してすべてのレジストリの値をデフォルトに再初期化することができます。
クライアントコンピュータからサーバーへのログオンを試みます。ログオンが成功した場合、仮想ドライブ ID を共用資源にリンクします。その後リンクされているドライブの内容を表示します。
これらの手順で問題が発生した場合、以下の手順を使用して各問題を特定します。
サーバーとの通信が可能であるにもかかわらず共用資源にアクセスできない場合は、以下の項目を確認します。
net view ¥¥ サーバー名コマンドを使用して、共用資源が存在することを確認します。共用資源の名前が表示されない場合は、共用資源は存在しません。その場合、資源の再共有を行う必要があります。
管理者としてログインして共用資源にリンクします。資源が存在するにもかかわらずこの操作が失敗する場合は、資源の共有が正しく行われていない可能性があります。資源を削除して再共有を行います。この操作が成功したら、次の手順に進みます。
資源がディスク資源である場合は、共用資源に関連する権限の両方のレベルを確認します。まずサーバーマネージャを使用して共有に関する権限を確認します。次に管理クライアントで Windows エクスプローラを使用して共有ディレクトリでの権限を確認します。
グループのメンバーシップか、または特定のユーザーのアカウントごとの基準で資源を使用することができることを確認します。また、資源のアクセス権によって期待される動作が行われていることを確認します。(たとえば、読み取り専用の権限を持っているユーザーがファイルの編集を試みるなど。) また、特定の共用資源に関するユーザーの最大制限が超えていないことを確認します。
共用資源で、ファイルの属性と Solaris システムのアクセス権を確認します。
必要に応じて、Windows エクスプローラの [プロパティ] メニューを使用します。
udir コマンドを使用して Solaris システムの権限 (ユーザー、所有者、グループ) を表示します。
SunLink Server プログラムは以下のタイプのファイルシステムのみを認識します。
cdfs
nfs
s5
sfs
ufs
vxfs
上記のリスト以外のファイルシステムは s5 ファイルとして取り扱われます。未知のファイルシステムのすべてを s5 以外のタイプとして取り扱うようにするには、lanman.ini ファイルの [ fsi ] セクションにある fsnosupport パラメタを、認識されるファイルシステムの名前に設定します。その後、サーバーを停止して再起動します。
未知の各ファイルシステムを それぞれ特定の既知のファイルシステムに設定する場合は、以下の手順を実行します。
df -n パス名
システムは、Solaris オペレーティングシステムで指定されたマウントポイントとシステムタイプを表示します。
unknown:s5,sfs:vxfs,unixファイルシステム: ファイルシステム, ...
unixファイルシステムには手順 1 で返されたファイルシステムタイプの名前を指定します。ファイルシステムには使用する SunLink Server のファイルシステムタイプの名前を指定します。