Solaris Resource Manager 1.1 のシステム管理

Solaris Resource Manager と Solaris nice 機能

ユーザーは、通常のプロセスが緊急でないプロセスに妨げられることがないように、Solaris 環境の nice 機能を使ってプロセスの優先順位を下げることができます。Solaris Resource Manager では、ユーザーがこの機能を使う目的は、優先順位を低くすることによって CPU 時間の負担を下げるためです。

Solaris Resource Manager で、この機能を実装するには、nice を指定されたプロセスの sharepri 減少速度を管理者が変更します。管理者は、srmadm(1MSRM) コマンドの Solaris Resource Manager の大域パラメータである pridecay を使って、通常の nice 値と最大の nice 値を持つプロセスの優先順位に対する減少速度を設定します。その間にある nice 値の速度は内挿され、最小 nice 値までの速度は外挿されます。たとえば、通常のプロセスの優先順位 (sharepri など) が半減期 2 秒で減少し、最大の nice 値を持つプロセスの優先順位が半減期 60 秒で減少すると指定できます。

この結果、nice を使用して優先順位を下げられたプロセスは、同じ l ノードの他のプロセスよりも少ない割合の CPU 割当率を受け取ります。Solaris Resource Manager では、実行可能なプロセスのキューが CPU の数を超えない限り、nice が他の l ノードのプロセスの実効速度に影響することはほとんどありません。

Solaris Resource Manager は、最大の nice 値を持つプロセス (たとえば、nice -19 コマンドで起動されたもの) に対し特別な処理をします。このようなプロセスは、他のプロセスが CPU を要求しないために CPU がアイドル状態である場合だけ、CPU チックを受け取ります。

nice については、nice(1)nice(2SRM) のマニュアルページを参照してください。Solaris Resource Manager と他の資源制御機能の関係については、「Solaris Resource Manager と類似製品の違い」を参照してください。

動的再構成

Sun Enterprise サーバーの動的再構成 (DR) 機能では、ユーザーがシステムボードの取り付けや取り外しを動的に行うことができます。これには、プロセッサ、メモリー、入出力デバイスなどのシステム資源を含みます。Solaris Resource Manager は、現在使用可能なプロセッサ資源をスケジューリングのために追跡管理し、変更があると適切に処理して、使用可能なプロセッサ資源を資格のあるユーザーやプロセスに公平に再配分します。

Solaris Resource Manager は、プロセスの仮想メモリーサイズを制御するだけで、プロセスやユーザーが使用する物理メモリーは制御しないため、DR 操作でメモリーが変更されても、Solaris Resource Manager のメモリー制限検査には影響ありません。