Solaris Resource Manager 1.1 のシステム管理

プロセッサセットの役割と効果

Solaris Resource Manager ソフトウェアを使用中でも、プロセッサセットは依然として資源の割り当てに大きな役割を果たしています。システムが資源ポリシーに強い制限値を適用しなければならない場合があります。たとえば、24 プロセッサの単一システムを購入して、この同一マシンに異なる 2 つの部門を含むような場合です。両部門はマシンのコストを折半しており、たとえば、40 パーセントと 60 パーセントという割合で負担します。この場合、管理者は 40 パーセントの負担をしている部門には、資源の割当率も 40 パーセントにとどめておこうと考えるでしょう。

プロセッサセットがある場合、40 パーセントの部門に 10 プロセッサを割り当て、60 パーセントの部門に 14 プロセッサを割り当てれば、作業負荷を 40 パーセントと 60 パーセントに分けることができます。

プロセッサセットで Solaris Resource Manager 製品を使用する場合、この 2 つの技術の相互作用について理解することが重要です。状況によっては、全体的な結果が期待に反することもあります。

単純な例

次の図では、Solaris Resource Manager とプロセッサセットの単純な組み合わせを示します。この例では、プロセッサセットと Solaris Resource Manager の CPU 割当数の両方を図示しています。

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ユーザー 1 は Solaris Resource Manager の割当数が 25 で、利用できるのがプロセッサセット A (1 CPU) に制限されています。ユーザー 2 は Solaris Resource Manager の割当数が 75 で、プロセッサセット B (1 CPU) に制限されています。

この例では、ユーザー 2 が割り当てられたプロセッサセット全体 (システムの 50 パーセント) を使用することになります。ユーザー 2 は (割り当てられた 75 パーセントではなく) 50 パーセントしか使用しないため、ユーザー 1 は残りの 50 パーセントを使用できます。つまり、それぞれのユーザーがシステムの 50 パーセントを与えられたことになります。

より複雑な例

次の例では、プロセッサセットと Solaris Resource Manager CPU 割当数を組み合わせたより複雑な場合を説明します。

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ユーザー 1 と 3 は、Solaris Resource Manager の割当数がそれぞれ 10 となっており、その使用がプロセッサセット A (1 CPU) に制限されています。ユーザー 2 は Solaris Resource Manager の割当数が 80 となっており、プロセッサセット B (1 CPU) に制限されています。

この例では、ユーザー 2 がプロセッサセット全体 (システムの 50 パーセント) を使用することになります。ユーザー 2 は (割り当てられた 80 パーセントではなく) 50 パーセントしか使用していないので、ユーザー 1 と 3 は残りの 50 パーセントを使用することができます。つまり、ユーザー 1 と 3 は 10 の割当数しか指定されていませんが、システムの 25 パーセントを使用できることになります。

回避すべき状況

次のような状況は回避しなければなりません。

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この場合では、1 人のユーザーが両方のプロセッサセットでプロセスを実行します。ユーザー 1 は Solaris Resource Manager の割当数が 20 で、両方のプロセッサセットで処理を実行します。ユーザー 2 は Solaris Resource Manager の割当数が 80 で、その使用がプロセッサセット B (1 CPU) に制限されています。

ユーザー 1 の最初の処理が割り当てられたプロセッサセット全体 (システムの 50 パーセント) を使用します。ユーザー 2 は割当数が 80 であるため、ユーザー 2 の処理はプロセッサセット全体 (50 パーセント) を使用することになります。したがって、ユーザー 1 の第 2 の処理には CPU の割当が与えられません。