Solaris Resource Manager 1.1 のシステム管理

Solaris Resource Manager をいつ使用するか

Solaris Resource Manager では、さまざまな状況で資源を効果的に制御できます。たとえば、サーバーの統合、インターネットサービスプロバイダ (ISP) の Web サービス、バッチ処理、多数のユーザーをもつあるいはユーザー数が変動するサイトの管理、適切な応答時間でアプリケーションを使用できるポリシーを確立したい時などです。

サーバーの統合

複数のアプリケーションを 1 台のサーバーに統合しようとする環境では、Solaris Resource Manager の効果がもっとも期待できます。多数のマシンの管理は複雑でコストがかかるため、システム管理者にとっては、アプリケーションをより大きなスケーラブルなシステムに統合することが必要です。Solaris Resource Manager を使用すれば、このような規模のシステムを経済的に統合できます。

たとえば、1 台のサーバーがあれば、アプリケーション、ファイル、印刷などの異機種クライアントに対するサービス、メッセージやメールサービス、Web サービス、基幹業務データベースアプリケーションを同時に提供できます。Sun EnterpriseTM サーバーは 1 個から 64 個のプロセッサまで拡張可能なため、1 台のサーバーをいくつかの部門で共有することも、企業全体で使用することもできます。サーバーの統合例としては、開発環境、プロトタイプ環境、および実際の環境を 3 つの別々のサーバーに作成する代わりに、Sun Enterprise 10000 や Sun Enterprise 6500 などの大きな 1 台のマシンに統合する場合があります。また、データベースサーバーとアプリケーションサーバーを同じマシンまたは複数のデータ供給マシンに統合することもあります。Solaris Resource Manager を使用すると、アプリケーションの種類や構成に関わらず、あらかじめ定義したポリシーに従ってシステムの資源をすべてのユーザー、アプリケーション、およびグループに割り当てることが容易になります。重要なアプリケーションには必要なシステム資源の使用が保証されるため、これらのアプリケーションが保護されます。

Web ホスティング

今までは ISP はクライアントごとに占有マシンを割り当てなければならなかったため、コストがかかり、複雑な作業が必要でした。Solaris Resource Manager を使用すれば、ISP は数千以上の Web サーバーを 1 台のマシンに収容できます。管理者は、資源の使用量を Web サイトごとに制御できるため、あるサイトでの資源使用が他のサイトの過剰な使用によって制限されることを防止できます。さらに、Solaris Resource Manager を使用すれば、欠陥のある CGI (Common Gateway Interface) スクリプトが CPU 資源を占有したり、ユーザーアプリケーションが使用可能なすべての仮想メモリーをリークしたりすることを防止できます。

バッチ処理

Solaris Resource Manager では、バッチの作業負荷が通常の業務活動や同時に実行される他のバッチジョブに影響するのを防止できます。

多数または多様なユーザーへの対応

Solaris Resource Manager を使用すると、ユーザーは多数のシステムでの資源管理を簡単に行えます。そのような例として多種多様なユーザーにサービスを提供する教育機関があります。実際、Solaris Resource Manager は、University of Sydney と University of New South Wales によって開発された初期の CPU 資源スケジューラが基になっています。いろいろな作業負荷が混在している場合には、一定のユーザーを優先するように Solaris Resource Manager ソフトウェアを構成できます。たとえば、大きな証券会社のトレーダは、照会や計算を行うために高速アクセスが必要になることがあります。一方、他のシステムユーザーの作業負荷はもっと一定です。Solaris Resource Manager を使用してトレーダにその作業に応じた処理能力を与えれば、必要な応答性を得ることができます。