Solaris Resource Manager 1.1 のシステム管理

資源の調整

オペレーティングシステムの基本的な仕事の 1 つは、各プロセスでのシステム資源の使用量を調整することです。デフォルトの Solaris タイムシェア (TS) スケジューラでは、各プロセスでシステム資源をほぼ同等に使用することを許可します。使用が制限されるのは、物理的なメモリー資源がないプロセス (実行は許可されない) と保留中の入出力要求があるプロセス (ブロックされる) です。

最近のほとんどのオペレーティングシステムではこの方式が基本です。この方式は、「すべてが同等な使用権利を持つ」ことが組織のポリシーである限りうまく機能します。しかし、異なるポリシーの下では、もっと精巧な機構が必要です。たとえば、製造部門は大きなシステムを持っていますが、季節によって需要が変わるため、その負荷は軽くなります。一方、技術部門はほとんど常にもっと大きな計算能力を必要としています。大きなマシンの資源を有効に使用しないのは不経済なことですが、製造システムを技術部門と共有することは今まで課題でした。単純なスケジューリングポリシーでは、同じシステムにおいて製造部門のユーザーの方が技術部門のユーザーよりも重要であることをオペレーティングシステムに知らせることができません。製造部門の重要なジョブがシステム資源の 75 パーセントを使用する場合には、他のすべてのジョブがシステムの 25 パーセント以下しか要求しなければ、ジョブの適切な進捗が保たれます。しかし、システムの 50 パーセントを必要とする技術部門のジョブが入ってくると、この製造部門のジョブは、十分な進捗を保つために必要な資源を得られないでしょう。この問題は、システムがこれらのジョブを同等に扱おうとするため起こります。

ここで、管理者が、製造の通常の処理要件がマシンの能力の 80 パーセントを使用すれば満足されると判断したとします。Solaris Resource Manager を使用すれば、システム管理者は、製造部門のユーザーが要求する場合には、システムの処理能力の 85 パーセントをこのユーザーに割り当て、残りをスケジューラが任意のユーザーに割り当てるように指定できます。さらに極端な場合には、製造部門のユーザーに必要ならシステムの 100 パーセントを割り当てるように指定できます。この場合には、製造部門で実際にシステム全体を使用すると、他のグループのプロセスは事実上実行できなくなります。