Sun Cluster HA for Netscape データサービスは、Sun Cluster 環境で実行することによって可用性が高まる一群の NetscapeTM アプリケーションで構成されます。表 8-1 に、これらのデータサービスアプリケーションと対応する高可用性データサービスを示します。
表 8-1 Sun Cluster HA for Netscape データサービス
Netscape アプリケーション |
高可用性データサービス名 |
HA DSパッケージ名 |
---|---|---|
Netscape News Server |
Sun Cluster HA for Netscape News |
SUNWscnew |
Netscape Mail Server および Netscape Messaging Server |
Sun Cluster HA for Netscape Mail |
SUNWscnsm |
Netscape HTTP/Web Server |
Sun Cluster HA for Netscape HTTP |
SUNWschtt |
Netscape HTTP Secure |
Sun Cluster HA for Netscape HTTP |
SUNWschtt |
Netscape LDAP Server |
Sun Cluster HA for Netscape LDAP |
SUNWscnsl |
これらデータサービスでサポートしているバージョンの一覧については、『Sun Cluster 2.2 ご使用にあたって』を参照してください。
この章で説明する手順では、ディスクセット、論理ホスト、物理ホスト、スイッチオーバー、テークオーバー、データサービスといった Sun Cluster の概念の知識が必要です。これらの概念については、第 1 章「Sun Cluster 環境について」を参照してください。
Sun Cluster とは別に Netscape のアプリケーションソフトウェア (DNS、Netscape HTTP Server、Netscape News、Netscape Mail または Messaging Server、および Netscape LDAP) をインストールおよびテストする必要があります。インストール手順については、Netscape の各アプリケーションソフトウェア・インストールマニュアルを参照してください。
表 8-2 は、Sun Cluster 環境用に Netscape データサービスアプリケーションを構成するための主な作業をまとめています。
表 8-2 Netscape データサービスアプリケーションを構成するための主な作業
作業 |
説明箇所 |
---|---|
Solaris および Sun Cluster 環境のインストール、Netscape データサービスパッケージのインストール、必要なすべてのパッチのインストール | |
scadmin(1M) コマンドによるクラスタの起動 |
第 3 章「Sun Cluster ソフトウェアのインストールと構成」または scadmin(1M) のマニュアルページ |
(省略可能) 使用する Netscape データサービス用の DNS のインストールと構成 | |
Sun Cluster HA for Netscape データサービスのインストールと構成 |
特定のデータサービスのインストールに関する節と 「Sun Cluster HA for Netscape データサービスの構成」 |
Sun Cluster HA for Netscape データサービスの登録と起動 |
Sun Cluster 構成内で複数のデータサービスを実行する場合は、任意の順序でデータサービスを構成できます。ただし、これには 1 つ例外があり、Sun Cluster HA for DNS を使用する場合は、Sun Cluster HA for NFS を構成する前に Sun Cluster HA for DNS を構成する必要があります。DNS ソフトウェアは、Solaris オペレーティング環境に含まれています。詳細は、第 12 章「Sun Cluster HA for DNS のインストールと構成」を参照してください。クラスタが別のサーバーから DNS サービスを取得する場合は、最初にクラスタが DNS クライアントになるように構成してください。
インストール後は、手動で Netscape データサービスを起動したり、停止したりしないでください。いったん起動した Netscape データサービスは、Sun Cluster によって制御されます。
Netscape のアプリケーションソフトウェアをインストールする前に、個々のソフトウェアの構成手順を説明した次の各項を参照してください。これらの項には、Netscape アプリケーションをインストールするときに指定する必要がある Sun Cluster 特有の構成情報が述べられています。
Netscape のバイナリやデータディレクトリは、共有ディスクにインストールすることも、各クラスタノードのローカルディスクにインストールすることもできます。
バイナリやデータディレクトリを共有ディスクにインストールすると、管理が容易になり、使用するディスク容量が少なくてすみます。ただし、バイナリのアップグレード時にアプリケーションを停止しなければならないため、ダウン時間は増加します。
データディレクトリを共有ディスクにインストールし、バイナリを各ノードのローカルディスクにインストールすると、フェイルオーバー時の高可用性が確保されるだけでなく、アプリケーションアップグレード時のダウン時間が減少します。アプリケーションのホストに使用されていないノードでバイナリをアップグレードしてから、そのノードにアプリケーションを切り替えれば、元のノードでバイナリのアップグレードを行うことができます。短いスイッチオーバーの時間を除けば、アプリケーションは継続的に使用されます。