この節では、Sun Cluster HA for DNS データサービス用の構成ファイルを作成するときに hadsconfig(1M) コマンドで指定する情報について説明します。hadsconfig(1M) コマンドはテンプレートを使用して、構成ファイルを作成します。このテンプレートには、デフォルト値を持つパラメータや値が明示的に指定されたパラメータ、値が指定されていないパラメータが含まれています。値が指定されていないパラメータに対しては、必ず値を指定する必要があります。
障害検証パラメータは特に、Sun Cluster HA for DNS の性能に影響することがあります。検証間隔値を小さくしすぎると (障害検証の回数の増加により)、システム性能が低下することがあり、その結果として、システムが単に遅くなっただけでも、誤ったテイクオーバーが発生したり、再起動が試みられたりすることがあります。
Sun Cluster HA for DNS データサービスには、テイクオーバーフラグを設定する必要があります。テイクオーバーフラグは、Sun Cluster による部分的フェイルオーバーの処理方法を指定します。このフラグに設定できる値は次の 2 つです。
y (yes) - Sun Cluster は、他のマスターへの論理ホストのスイッチオーバーを試みますが、スイッチオーバーに失敗した場合、論理ホストは元のマスターに留まります。
n (no) - Sun Cluster は、データサービスに問題を検出したときでも、別のマスターに論理ホストを移動しません。また、論理ホスト上のデータサーバーあるいはデータベースに障害が発生した場合でも、何の処置も行いません。
DNS の動作は Solaris 2.6 と Solaris 8 で異なります。これは、デフォルトの bind のバージョンがこの 2 つのオペレーティング環境で異なるためです。この変更によって、いくつかの DNS 構成ファイルを更新する必要があります。詳細と更新する方法については、DNS マニュアルを参照してください。
表 12-1 で説明しているオプションを指定することによって、hadsconfig(1M) 入力書式に列挙されている Sun Cluster HA for DNS 用のパラメータを設定してください。
表 12-1 Sun Cluster HA for DNS に対する構成パラメータ
パラメータ |
説明 |
---|---|
インスタンス名 |
インスタンスの識別子として使用される名前タグ。Sun Cluster が生成するログメッセージでは、この名前タグが参照される。hadsconfig(1M) コマンドは、ここで指定された値の前にパッケージ名を付ける。たとえば nsdns_119 を指定すると、SUNWscdns_nsdns_119 が生成される。 |
論理ホスト |
Sun Cluster HA for DNS サービスを提供する論理ホスト名 |
構成ディレクトリ |
DNS 構成ファイルとデータベースが存在する、多重ホストディスク上のディレクトリを示すルート付きのパス名 |
テイクオーバーフラグ |
このデータサービスインスタンスで障害が発生した場合に、関連付けられている論理ホストのテイクオーバーまたはフェイルオーバーのどちらを行うかを指定する。指定できる値は、y (yes) または n (no) のいずれかである。 |
検証間隔 |
障害検証を行う時間間隔 (秒単位)。デフォルトの間隔は 60 秒。 |
検証タイムアウト |
障害検証をタイムアウトにする時間 (秒単位)。デフォルトのタイムアウト値は 60 秒。 |