この章では、Sun Cluster HA for Lotus データサービスを構成し、管理する方法について説明します。
この章で説明する手順は次のとおりです。
Sun Cluster HA for Lotus 製品は、Sun Cluster 環境で実行することによって可用性が高まる Lotus Domino サーバーで構成されます。
Sun Cluster 上で Sun Cluster HA for Lotus を実行するには、次のことを行う必要があります。
第 3 章「Sun Cluster ソフトウェアのインストールと構成」の指示に従い、Sun Cluster (Sun Cluster HA for Lotus を含む) をインストールし、構成する
Lotus Domino のマニュアルで説明されている Lotus Domino のインストールの準備をする
Lotus Domino のマニュアルにある手順に従って Lotus Domino をインストールし、構成する
(Lotus Domino 4.6.3 のみ)「Lotus Domino パーティション分割サーバーのインストールと構成」の指示に従い、パーティション分割サーバーをインストールし、構成する (任意)
hadsconfig(1M) コマンドにより Sun Cluster 用の Lotus Domino を構成する
Sun Cluster HA for Lotus の構成の妥当性を検査する
この章で説明する手順を行うには、Sun Cluster の概念であるディスクセット、論理ホスト、物理ホスト、スイッチオーバー、テイクオーバー、データサービスに関する知識が必要です。
Sun Cluster HA for Lotus のインストールと構成を行う前に、Sun Cluster フレームワークのインストールと構成を行なってください。Sun Cluster HA for Lotus のインストールと構成は、この後の節で説明されている手順に従って行います。
Lotus Domino 主サーバーとパーティション分割サーバーのバイナリは、各クラスタノード上のローカルディスクまたは共有ディスクのどちらにでもインストールできます。Lotus Domino またはパーティション分割サーバーのバイナリをローカルディスクにインストールする場合、すべてのクラスタノードでインストールする必要があります。データディレクトリは常に共有ディスクにインストールします。
共有ディスクにバイナリをインストールすると、管理が簡単になり、ディスク空間の消費も減ります。しかし、アプリケーションをアップグレードするときはアプリケーションを停止する必要があるため、アップグレード中の停止時間が増えます。
各ノードのローカルディスクにバイナリをインストールすると、フェイルオーバー中の高可用性が保護され、将来のアプリケーションのアップグレード中の停止時間も減ります。つまり、まず、現在アプリケーションをホストしていないノード上のバイナリをアップグレードし、次に、そのノードにアプリケーションをスイッチオーバーし、最後に、元のノード上のバイナリをアップグレードします。スイッチオーバーの短い期間を除き、アプリケーションを利用できます。
Lotus Domino サーバーは、HTTP、POP3、IMAP、NNTP、LDAP サーバーとして構成できます。同じクラスタに Lotus Domino サーバーと Sun Cluster HA for Netscape サーバーを共存させる場合は、いくつかの制限があります。インストール中に指定する Lotus Domino のサーバータスクを決定するにあたっては、表 13-1 で簡単に説明している全般的なガイドラインを参照してください。
ポート番号を割り当てるときは、Sun Cluster または Solaris がすでに予約しているポートを使用してはなりません。詳細は、「Sun Cluster の予約済みデフォルトポート番号」を参照してください。
表 13-1 Lotus Domino Server のオプション - 全般的なガイドライン
サーバータスク |
サポートされるクライアントタイプ |
制限事項 |
デフォルトポート |
---|---|---|---|
HTTP |
web ブラウザ (Netscape Navigator、Microsoft Internet Explorer など) |
Netscape Enterprise Server と Lotus HTTP サーバーを両方とも 1 つのクラスタにインストールしているときは、未使用のポート番号を Netscape Enterprise Server に割り当てる。 |
80 |
IMAP |
POP3 (Post Office Protocol 3) または IMAP (Internet Message Access Protocol) を使用するインターネットメールクライアント |
Netscape Mail と Lotus IMAP サーバーを両方とも 1 つのクラスタにインストールしているときは、未使用のポート番号を Netscape Mail に割り当てる。 |
110 (POP3) 143 (IMAP) |
LDAP |
LDAP (Lightweight Directory Access Protocol) を使用するインターネットディレクトリクライアント |
Netscape Directory Server と Lotus LDAP サーバーを両方とも 1 つのクラスタにインストールしているときは、未使用のポート番号を Netscape Directory Server に割り当てる。 |
389 |
NNTP |
NNTP (Network News Transfer Protocol) を使用するインターネットニュースリーダー |
Netscape Collabra Server と Lotus NNTP サーバーを両方とも 1 つのクラスタにインストールしているときは、未使用のポート番号を Netscape Collabra Server に割り当てる。 |
119 |
SMTP/MIME |
SMTP (Simple Mail Transfer Protocol) を使用するインターネットメールクライアント |
Netscape Messaging Server (または、Netscape Mail Server) と Lotus SMTP/MIME を両方とも 1 つのクラスタにインストールしているときは、未使用のポート番号を Netscape アプリケーションに割り当てる。 |
なし |
この節では、Lotus Domino をインストールして、Sun Cluster HA for Lotus データサービスとして動作できるようにする手順を説明します。
Lotus Domino 4.6.3 と Sun Cluster HA for Lotus は、クラスタごとに Lotus Domino サーバーの複数のインスタンスをサポートできます。しかし、Lotus が起動されたクラスタノードの負荷が非常に高い場合、Lotus Domino サーバーのいくつかのインスタンスは起動できないことがあります。この問題が発生した場合、クラスタノードの負荷を減らし、Lotus Domino 4.6.3 を再起動します。あるいは、クラスタ上の Lotus Domino のインスタンスを少なめに構成します。
この手順を行う前に Lotus Domino のマニュアルを参照してください。
Sun Cluster HA for Lotus を実行する論理ホストをマスターできる各ノード上の /etc/nsswitch.conf ファイルを編集します。
/etc/nsswitch.conf ファイルを編集して、「グループ」の検索が最初にファイルに対して行われるようにしてください。
... group: files nisplus ... |
Solaris および Sun Cluster 環境をインストールします。
第 3 章「Sun Cluster ソフトウェアのインストールと構成」を参照してください。scinstall(1M) コマンドを使用して、使用する Sun Cluster HA for Lotus のパッケージをすべてインストールしてください。インストール後の手順を実行して、必要なパッチをすべてインストールしてください。
この時点では、Sun Cluster に必要のないパッチをインストールしないでください。
scadmin(1M) コマンドを使用して、Sun Cluster を起動します。
最初のノードを起動します。管理ワークステーションから次のコマンドを実行してください。
# scadmin startcluster localhostname clustername |
続いて、クラスタにノードを追加します。追加する個々のノードから、次のコマンドを実行してください。
# scadmin startnode |
この手順を正しく完了すると、クラスタが動作し、HA ファイルシステムがそれぞれの論理ホストのデフォルトマスターにマウントされます。
各論理ホストがそのデフォルトマスターからサービスを受けていることを確認します。
Sun Cluster HA for Lotus は、論理ホストのデフォルトマスターである物理ホストからインストールします。必要ならば、論理ホストがそれぞれのデフォルトマスターからサービスを受けるようにスイッチオーバーしてください。
Sun Cluster 構成で使用する論理ホスト名は、Sun Cluster HA for Lotus アプリケーションをインストールし、構成するときにサーバー名として使用します。これで、設定と管理が簡単になります。
Lotus Domino を実行する各 Sun Cluster サーバー上で Lotus Domino 用のユーザー名とグループ名を指定します。
Lotus グループ (通常は notes という名前を使用) を作成してください。ユーザーアカウント (これも通常は notes という名前を使用) を作成し、notes グループのメンバーにしてください。全ノード上でグループ ID および ユーザー ID は同じである必要があります。
# groupadd notes # useradd -u notes -g notes -d /opt/lotus/bin notes |
HA-Lotus を実行する各 Sun Cluster サーバーに Lotus Domino ソフトウェアをインストールします。
この手順を実行する前に、スーパーユーザーでログインして、ディレクトリ全体の所有権を取得します。インストールディレクトリにある Lotus インストールプログラムをローカルディスクにコピーし、Lotus Domino ソフトウェアをインストールしてください。
デフォルトでは、Lotus Domino ソフトウェアは /opt/lotus ディレクトリにインストールされますが、ローカルディスクまたは論理ディスクの別のディレクトリを選択できます。その場合、インストールプログラムは、デフォルトのインストールディレクトリと指定されたインストールディレクトリ間にシンボリックリンクを作成します。スーパーユーザーで install コマンドを実行してください。
# cd /cdrom/notes_r4/unix # ./install |
Lotus CD-ROM 上の Lotus Domino インストールディレクトリが、ここで示されているディレクトリと異なることがあります。Lotus Domino インストールディレクトの実際のパスについては、Lotus Domino のインストールマニュアルで確認してください。
HA-Lotus を実行する各 Sun Cluster サーバーに Lotus Domino 用の $PATH 変数を設定します。
# set PATH = /opt/lotus/bin $PATH . |
Sun Cluster HA for Lotus を実行する各 Sun Cluster サーバー上で Lotus Domino サーバーを構成します。
Lotus Domino の設定プログラムを使用して、Lotus Domino を構成してください。Domino サーバーのデータファイルにアクセスできるように、ユーザー notes でログインしてください。Domino サーバーのデータファイルは、論理ホストに格納する必要があります。
# ./opt/lotus/bin/notes |
これで、Lotus Domino のインストールと設定は完了しました。Lotus Domino 4.6.3 を使用しており、パーティション分割サーバーをインストールする場合は、「Lotus Domino パーティション分割サーバーのインストールと構成」に進んでください。それ以外の場合は、「Sun Cluster HA for Lotus のインストールと構成」に進んでください。
Lotus Domino 4.6.3 のパーティション分割サーバー機能によって、単一のノード上で複数の Lotus Domino サーバーを実行できます。この節では、パーティション分割サーバーを Sun Cluster にインストールおよび設定する手順について説明します。パーティション分割サーバー自身の機能についての詳細は、Lotus Domino マニュアルを参照してください。
パーティション分割サーバーをインストールするには、Lotus Domino Advanced Services のライセンスが必要です。
パーティション分割サーバーをネットワークアクセスできるように構成するには、次の 2 つの方法があります。
パーティション分割サーバーのバイナリをすべてのノード上のローカルディスクにインストールし、パーティション分割サーバーごとに一意の IP アドレスを使用する方法。
パーティション分割サーバーのバイナリをすべてのノード上のローカルディスクまたは共有ディスクにインストールし、パーティション分割サーバーごとに一意の TCP ポート番号を使用して、別のパーティション分割サーバーと IP アドレスを共有する方法。
次の表に、上記方法のガイドラインを要約します。「Lotus バイナリのインストール場所の選択」も参照してください。
表 13-2 Lotus Domino サーバーのインストールオプション
サーバー |
バイナリのインストール場所 |
---|---|
単一の Lotus Domino サーバー |
すべてのノード上のローカルディスク、または共有ディスク |
一意の TCP ポート番号を持つパーティション分割サーバー |
すべてのノード上のローカルディスク、または共有ディスク |
一意の IP アドレスを持つパーティション分割サーバー |
すべてのノード上のローカルディスクのみ |
データディレクトリ |
共有ディスクのみ |
Lotus Domino 4.6.3 のパーティション分割サーバーをインストールし、データディレクトリを構成するには、次の手順を使用します。インストールを開始する前に、表 13-1 の構成オプションと表 13-2 のバイナリの場所に注意してください。詳細は、Lotus Domino インストールマニュアルも参照してください。
「」において、手順 7 から 「Lotus Domino のインストールと構成」 までを実行して、Lotus Domino 初期サーバーをインストールします。
インストールを実行するには、ユーザー root になる必要があります。
サーバーのパーティション番号が一意になることを保証するために、データディレクトリは 1 つのノード上だけで作成します。
インストール中、Lotus Domino Advanced Services をインストールするかどうかを尋ねられたときは「yes」と答えます。
これで、パーティション分割サーバーがインストールされます。
インストールが完了したら、root でログアウトして、ユーザー notes でログインし直します。
これで、Lotus Domino サーバーのデータファイルへのアクセスが保証されます。
Lotus Domino インストールプログラムを使用して、パーティション分割サーバーを設定します。
最初のパーティション分割サーバーを設定するには、次のコマンドでインストールプログラムを呼び出します。
# /opt/lotus/bin/notes |
パーティション分割サーバーを設定するには、Lotus Domino インストールプログラムを使用します。インストール中、パーティション分割サーバーのバイナリをインストールする場所 (ローカルディスクまたは共有ディスク) を指定する必要があります。インストール場所についての詳細は、表 13-2 を参照してください。
データディレクトリを作成するように尋ねられたときには、共有ディスクにデータディスクを作成します。サーバーのパーティション番号が一意になることを保証するために、すべてのデータディレクトリは 1 つのノード上だけで作成します。
後続のパーティション分割サーバーをインストールするには、まず、Lotus Domino 主 (初期) サーバーが動作している必要があります。さらに、主パーティション分割サーバーで後続のパーティション分割サーバーの名前を登録しておく必要もあります。詳細は、Lotus Domino のマニュアルを参照してください。
後続のパーティション分割サーバーを設定するには、次のコマンドを入力します。
# /opt/lotus/bin/notes -u |
ユーザー notes はすべてのファイルへの書き込み権を持っていることが必要です。
Lotus Domino 設定プログラムを使用して、パーティション分割サーバーを構成します。
パーティション分割サーバーをインストールするたびに、設定プログラムは自動的に起動します。
設定についての詳細は、Lotus Domino マニュアルを参照してください。この部分には Sun Cluster の注意事項はありません。
次に、「一意の IP アドレスを使用するように Lotus Domino パーティション分割サーバーを構成するには」、または 「一意の TCP ポート番号を使用するように Lotus Domino パーティション分割サーバーを構成するには」に進みます。
パーティション分割サーバーのバイナリをローカルディスクにインストールし、データディレクトリを共有ディスクで構成した後、一意の IP アドレスを使用するようにパーティション分割サーバーを構成するには、次の手順を使用します。
各パーティション分割サーバー上の notes.ini ファイルを編集して、適切な IP アドレスとポート番号を指定します。
これで、Lotus Notes とパーティション分割サーバー間で通信できます。
次の例において、IPaddress は現在のパーティション分割サーバーがインストールされているホストの IP アドレスです。また、port_number は Lotus の標準のポート番号 (通常は 1352) です。port_number はすべてのパーティション分割サーバーの notes.ini で同じである必要があります。逆に、IPaddress はファイルごとに異なる必要があります。
... TCPIP_TCPIPAddress=0,IPaddress:port_number ... |
notes.ini ファイルについての詳細は、Lotus マニュアルを参照してください。
次に、「Sun Cluster HA for Lotus のインストールと構成」に進みます。
パーティション分割サーバーのバイナリを各ノードのローカルディスクまたは共有ディスクにインストールし、データディレクトリを共有ディスクで構成した後、一意の TCP ポート番号を使用するようにパーティション分割サーバーを構成するには、次の手順を使用します。
ポートマッパーサーバーとなるパーティション分割サーバーを 1 つだけ選択します。
クライアントがパーティション分割サーバーにアクセスするには、ポートマッパーサーバーに割り当てられている標準のポート (1352) を使用する必要があります。ポートマッパーサーバーは他のパーティション分割サーバーへの要求を処理します。他のパーティション分割サーバーに要求を経路指定するには、ポートマッパーサーバーが動作している必要があります。したがって、ポートマッパーサーバーが停止している場合、新しいセッションは接続できません。しかし、既存のセッションの接続は維持されます。
ポートマッパーサーバー以外のすべてのパーティション分割サーバー上の notes.ini ファイルを編集して、一意の TCP ポート番号を指定します。
ポートマッパーサーバー以外のすべてのパーティション分割サーバー上の notes.ini ファイルには、当該パーティション分割サーバーの IP アドレスとポート番号を定義する行が 1 行だけ存在します。次の例において、IPaddress は共有 IP アドレスです。また、port_number は当該パーティション分割サーバーの一意のポート番号です。
... TCPIP_TCPIPAddress=0,IPaddress:port_number ... |
ポートマッパーサーバー上の notes.ini ファイルを編集して、適切な TCP 設定を指定します。
ポートマッパーサーバー上の notes.ini ファイルには、まず、自分自身のエントリが存在する必要があります。このエントリの port_number は標準のポート番号 (1352) です。さらに、他のすべてのパーティション分割サーバーのエントリも存在する必要があります。これらのエントリの port_number は各サーバーに一意のポート番号です。
次の例において、1352 は現在のポートマッパーサーバーのポート番号です。servername は後続のパーティション分割サーバーの名前、org は組織の名前、IPaddress は共有 IP アドレス、そして、port_number は各パーティション分割サーバーに割り当てられている一意のポート番号です。
IPaddress はすべてのエントリで同じである必要があります。逆に、port_number はエントリごとに異なる必要があります。
... TCPIP_TcpIpAddress=0,IPaddress:1352 TCPIP_PortMapping00=CN=servername0/O=org.IPaddress:portnumber1 TCPIP_PortMapping01=CN=servername1/O=org.IPaddress:portnumber2 TCPIP_PortMapping02=CN=servername2/O=org.IPaddress:portnumber3 TCPIP_PortMapping03=CN=servername3/O=org.IPaddress:portnumber4 ... |
この節では、Sun Cluster HA for Lotus をインストールして、構成、登録、起動する手順を説明します。
HA-Lotus を実行するすべての Sun Cluster サーバー上で hadsconfig(1M) コマンドを実行し、Sun Cluster HA for Lotus を構成します。
Sun Cluster HA for Lotus のインスタンスの作成、編集、削除には、hadsconfig(1M) コマンドを使用します。hadsconfig(1M) コマンドで指定する情報については、「Sun Cluster HA for Lotus に対する構成パラメータ」を参照してください。詳細は、hadsconfig(1M) のマニュアルページを参照してください。
クラスタごとに Lotus Domino の複数のインスタンスを構成できるのは、Lotus Domino 4.6.3 を使用しているときだけです。
# hadsconfig |
hareg(1M) コマンドを使用して、Sun Cluster HA for Lotus を登録し起動します。
hareg(1M) コマンドは、Sun Cluster HA for Lotus データサービスをクラスタ構成データベースに追加して、クラスタの再構成を行い、Lotus Domino サーバーのすべてを起動します。hareg(1M) コマンドは、1 つのノード上でだけ実行してください。
# hareg -s -r lotus ... # hareg -y lotus |
Sun Cluster HA for Lotus の構成の妥当性を検査します。
ユーザー notes でログインし、Sun Cluster サーバーの 1 つで Lotus Domino サーバーを起動、停止することによって構成を検査してください。
phys-hahost1# /opt/lotus/bin/server ... phys-hahost1# /opt/lotus/bin/server -q |
クラスタを起動した後、さまざまな物理ホストから論理ホストをマスターし、それら物理ホストから Lotus Domino サーバーを起動、停止することによって構成の多くをテストできます。たとえば、次のようにします。
phys-hahost1# scadmin startcluster phys-hahost1 clustername phys-hahost2# scadmin startnode clustername phys-hahost1# haswitch phys-hahost2 hahost1 hahost2 |
ユーザー notes でログインし、Domino データディレクトリから Lotus Domino サーバーを停止、起動してください。たとえば、次のようにします。
phys-hahost2# cd /hahost1/data_directory phys-hahost2# /opt/lotus/bin/server ... phys-hahost2# /opt/lotus/bin/server -q |
Lotus Domino の任意のインスタンスが起動できない場合、ユーザー notes がデータディレクトリとデータファイルへのアクセス権を持っているかどうかを確認し、インスタンスを再起動してください。
これで、Sun Cluster HA for Lotus の構成と起動は完了です。
この節では、Sun Cluster HA for Lotus データサービス用の構成ファイルを作成するときに hadsconfig(1M) コマンドに指定する情報について説明します。hadsconfig(1M) コマンドはテンプレートを使用して、構成ファイルを作成し、作成したファイルを /etc/opt/SUNWsclts ディレクトリに保管します。このテンプレートには、デフォルト値を持つパラメータや値が明示的に指定されたパラメータ、値が指定されていないパラメータが含まれています。値が指定されていないパラメータに対しては、必ず値を指定する必要があります。
障害検証パラメータは特に、Sun Cluster HA for Lotus の性能に影響することがあります。検証間隔値を小さくしすぎると (障害検証の回数の増加により)、システム性能が低下することがあり、その結果として、システムが単に遅くなっただけでも、誤ったテイクオーバーが発生したり、再起動が試みられたりすることがあります。
Sun Cluster HA for Lotus データサービスには、テイクオーバーフラグを設定する必要があります。テイクオーバーフラグは、Sun Cluster による部分的フェイルオーバーの処理方法を指定します。このフラグに設定できる値は次の 2 つです。
y (yes) - Sun Cluster は、他のマスターへの論理ホストのスイッチオーバーを試みますが、スイッチオーバーに失敗した場合、Sun Cluster はすべての論理ホストを対象となるマスターにスイッチオーバーします。元のマスターは停止されるか、再起動されます。デフォルトは、この値です。
n (no) - Sun Cluster は、データサーバーに問題を検出したときでも、別のマスターに論理ホストを移動しません。また、論理ホスト上のデータサーバーあるいはデータベースに障害が発生した場合でも、何の処置も行いません。
表 13-3 で説明しているオプションを指定することによって、hadsconfig(1M) 入力書式に列挙されている Sun Cluster HA for Lotus 用のパラメータを設定してください。
表 13-3 Sun Cluster HA for Lotus に対する構成パラメータ
パラメータ |
説明 |
---|---|
インスタンス名 |
インスタンスの識別子として使用される論理ホスト名。Sun Cluster HA for Lotus が生成するログメッセージでは、この識別子が参照される。hadsconfig(1M) コマンドは、ここで指定された論理ホスト名の前にパッケージ名を付ける。たとえば hahost1 を指定すると、SUNWsclts_hahost1 が生成される。 |
論理ホスト |
Sun Cluster HA for Lotus のこのインスタンスにサービスを提供する論理ホスト名 |
製品をインストールするベースディレクトリ |
多重ホストディスク上の HA Lotus をインストールする場所を示すルート付きのパス名。これはインスタンスのパスである (例: /hahost1/lotus-home/lotus_1)。 |
構成ディレクトリ |
データベースが存在するディレクトリ (例: /hahost1/d1/Lotus/database.db)。 |
遠隔検証 |
Lotus 障害検証機能に遠隔ホストを検証させるかどうかを指定。デフォルト値は n。 |
ローカル検証 |
Lotus 障害検証機能にローカルホストを検証させるかどうかを指定。デフォルト値は y。 |
検証間隔 |
障害検証を行う時間間隔 (秒単位)。デフォルトの間隔は 60 秒。 |
検証タイムアウト |
障害検証をタイムアウトにする時間 (秒単位)。デフォルトのタイムアウト値は 60 秒。 |
Sun Cluster HA for Lotus のこのインスタンス専用のポート。デフォルトのポート番号は 1352。 |
|
テイクオーバーフラグ |
このデータサービスインスタンスで障害が発生した場合に、関連付けられている論理ホストのテイクオーバーまたはフェイルオーバーを行うかどうかを指定する。指定できる値は、y (yes) または n (no) のいずれかである。デフォルトは y。値については、「Sun Cluster HA for Lotus に対する構成パラメータ」を参照。 |
Lotus サーバーの種類 |
このパラメータは Lotus Domino 4.6.3 を使用する構成でのみ有効。デフォルト値は single。Lotus Domino サーバーまたは主パーティション分割サーバーを構成するときは、常にデフォルト値を使用する。追加のパーティション分割サーバーを構成するときは、single 以外の任意の値を使用する。 |
Lotus パスワードファイル |
このパラメータは Lotus Domino 4.6.3 を使用する構成でのみ有効。デフォルト値は default_file。Lotus Domino サーバーまたは主パーティション分割サーバーを構成するときは、常にデフォルト値を使用する (起動時にはパスワードは必要ないため)。追加のパーティション分割サーバーを構成するときは、追加のパーティション分割サーバー起動用のパスワードが入っているファイル名を入力する。Lotus Domino サーバーが共有ディスクにインストールされている場合は、パスワードファイルがすべてのクラスタノード上で利用できるかどうかを確認する。あるいは、パスワードファイルを共有ディスクにインストールする。 |