この節では、Sun Cluster HA for Lotus をインストールして、構成、登録、起動する手順を説明します。
HA-Lotus を実行するすべての Sun Cluster サーバー上で hadsconfig(1M) コマンドを実行し、Sun Cluster HA for Lotus を構成します。
Sun Cluster HA for Lotus のインスタンスの作成、編集、削除には、hadsconfig(1M) コマンドを使用します。hadsconfig(1M) コマンドで指定する情報については、「Sun Cluster HA for Lotus に対する構成パラメータ」を参照してください。詳細は、hadsconfig(1M) のマニュアルページを参照してください。
クラスタごとに Lotus Domino の複数のインスタンスを構成できるのは、Lotus Domino 4.6.3 を使用しているときだけです。
# hadsconfig |
hareg(1M) コマンドを使用して、Sun Cluster HA for Lotus を登録し起動します。
hareg(1M) コマンドは、Sun Cluster HA for Lotus データサービスをクラスタ構成データベースに追加して、クラスタの再構成を行い、Lotus Domino サーバーのすべてを起動します。hareg(1M) コマンドは、1 つのノード上でだけ実行してください。
# hareg -s -r lotus ... # hareg -y lotus |
Sun Cluster HA for Lotus の構成の妥当性を検査します。
ユーザー notes でログインし、Sun Cluster サーバーの 1 つで Lotus Domino サーバーを起動、停止することによって構成を検査してください。
phys-hahost1# /opt/lotus/bin/server ... phys-hahost1# /opt/lotus/bin/server -q |
クラスタを起動した後、さまざまな物理ホストから論理ホストをマスターし、それら物理ホストから Lotus Domino サーバーを起動、停止することによって構成の多くをテストできます。たとえば、次のようにします。
phys-hahost1# scadmin startcluster phys-hahost1 clustername phys-hahost2# scadmin startnode clustername phys-hahost1# haswitch phys-hahost2 hahost1 hahost2 |
ユーザー notes でログインし、Domino データディレクトリから Lotus Domino サーバーを停止、起動してください。たとえば、次のようにします。
phys-hahost2# cd /hahost1/data_directory phys-hahost2# /opt/lotus/bin/server ... phys-hahost2# /opt/lotus/bin/server -q |
Lotus Domino の任意のインスタンスが起動できない場合、ユーザー notes がデータディレクトリとデータファイルへのアクセス権を持っているかどうかを確認し、インスタンスを再起動してください。
これで、Sun Cluster HA for Lotus の構成と起動は完了です。
この節では、Sun Cluster HA for Lotus データサービス用の構成ファイルを作成するときに hadsconfig(1M) コマンドに指定する情報について説明します。hadsconfig(1M) コマンドはテンプレートを使用して、構成ファイルを作成し、作成したファイルを /etc/opt/SUNWsclts ディレクトリに保管します。このテンプレートには、デフォルト値を持つパラメータや値が明示的に指定されたパラメータ、値が指定されていないパラメータが含まれています。値が指定されていないパラメータに対しては、必ず値を指定する必要があります。
障害検証パラメータは特に、Sun Cluster HA for Lotus の性能に影響することがあります。検証間隔値を小さくしすぎると (障害検証の回数の増加により)、システム性能が低下することがあり、その結果として、システムが単に遅くなっただけでも、誤ったテイクオーバーが発生したり、再起動が試みられたりすることがあります。
Sun Cluster HA for Lotus データサービスには、テイクオーバーフラグを設定する必要があります。テイクオーバーフラグは、Sun Cluster による部分的フェイルオーバーの処理方法を指定します。このフラグに設定できる値は次の 2 つです。
y (yes) - Sun Cluster は、他のマスターへの論理ホストのスイッチオーバーを試みますが、スイッチオーバーに失敗した場合、Sun Cluster はすべての論理ホストを対象となるマスターにスイッチオーバーします。元のマスターは停止されるか、再起動されます。デフォルトは、この値です。
n (no) - Sun Cluster は、データサーバーに問題を検出したときでも、別のマスターに論理ホストを移動しません。また、論理ホスト上のデータサーバーあるいはデータベースに障害が発生した場合でも、何の処置も行いません。
表 13-3 で説明しているオプションを指定することによって、hadsconfig(1M) 入力書式に列挙されている Sun Cluster HA for Lotus 用のパラメータを設定してください。
表 13-3 Sun Cluster HA for Lotus に対する構成パラメータ
パラメータ |
説明 |
---|---|
インスタンス名 |
インスタンスの識別子として使用される論理ホスト名。Sun Cluster HA for Lotus が生成するログメッセージでは、この識別子が参照される。hadsconfig(1M) コマンドは、ここで指定された論理ホスト名の前にパッケージ名を付ける。たとえば hahost1 を指定すると、SUNWsclts_hahost1 が生成される。 |
論理ホスト |
Sun Cluster HA for Lotus のこのインスタンスにサービスを提供する論理ホスト名 |
製品をインストールするベースディレクトリ |
多重ホストディスク上の HA Lotus をインストールする場所を示すルート付きのパス名。これはインスタンスのパスである (例: /hahost1/lotus-home/lotus_1)。 |
構成ディレクトリ |
データベースが存在するディレクトリ (例: /hahost1/d1/Lotus/database.db)。 |
遠隔検証 |
Lotus 障害検証機能に遠隔ホストを検証させるかどうかを指定。デフォルト値は n。 |
ローカル検証 |
Lotus 障害検証機能にローカルホストを検証させるかどうかを指定。デフォルト値は y。 |
検証間隔 |
障害検証を行う時間間隔 (秒単位)。デフォルトの間隔は 60 秒。 |
検証タイムアウト |
障害検証をタイムアウトにする時間 (秒単位)。デフォルトのタイムアウト値は 60 秒。 |
Sun Cluster HA for Lotus のこのインスタンス専用のポート。デフォルトのポート番号は 1352。 |
|
テイクオーバーフラグ |
このデータサービスインスタンスで障害が発生した場合に、関連付けられている論理ホストのテイクオーバーまたはフェイルオーバーを行うかどうかを指定する。指定できる値は、y (yes) または n (no) のいずれかである。デフォルトは y。値については、「Sun Cluster HA for Lotus に対する構成パラメータ」を参照。 |
Lotus サーバーの種類 |
このパラメータは Lotus Domino 4.6.3 を使用する構成でのみ有効。デフォルト値は single。Lotus Domino サーバーまたは主パーティション分割サーバーを構成するときは、常にデフォルト値を使用する。追加のパーティション分割サーバーを構成するときは、single 以外の任意の値を使用する。 |
Lotus パスワードファイル |
このパラメータは Lotus Domino 4.6.3 を使用する構成でのみ有効。デフォルト値は default_file。Lotus Domino サーバーまたは主パーティション分割サーバーを構成するときは、常にデフォルト値を使用する (起動時にはパスワードは必要ないため)。追加のパーティション分割サーバーを構成するときは、追加のパーティション分割サーバー起動用のパスワードが入っているファイル名を入力する。Lotus Domino サーバーが共有ディスクにインストールされている場合は、パスワードファイルがすべてのクラスタノード上で利用できるかどうかを確認する。あるいは、パスワードファイルを共有ディスクにインストールする。 |