Sun Cluster 2.2 ソフトウェアのインストール

Sun Cluster HA for Lotus のインストールと構成

この節では、Sun Cluster HA for Lotus をインストールして、構成、登録、起動する手順を説明します。

Sun Cluster HA for Lotus をインストールして、構成するには

  1. HA-Lotus を実行するすべての Sun Cluster サーバー上で hadsconfig(1M) コマンドを実行し、Sun Cluster HA for Lotus を構成します。

    Sun Cluster HA for Lotus のインスタンスの作成、編集、削除には、hadsconfig(1M) コマンドを使用します。hadsconfig(1M) コマンドで指定する情報については、「Sun Cluster HA for Lotus に対する構成パラメータ」を参照してください。詳細は、hadsconfig(1M) のマニュアルページを参照してください。


    注 -

    クラスタごとに Lotus Domino の複数のインスタンスを構成できるのは、Lotus Domino 4.6.3 を使用しているときだけです。



    # hadsconfig
    
  2. hareg(1M) コマンドを使用して、Sun Cluster HA for Lotus を登録し起動します。

    hareg(1M) コマンドは、Sun Cluster HA for Lotus データサービスをクラスタ構成データベースに追加して、クラスタの再構成を行い、Lotus Domino サーバーのすべてを起動します。hareg(1M) コマンドは、1 つのノード上でだけ実行してください。

    # hareg -s -r lotus
    ...
     # hareg -y lotus
    
  3. Sun Cluster HA for Lotus の構成の妥当性を検査します。

    ユーザー notes でログインし、Sun Cluster サーバーの 1 つで Lotus Domino サーバーを起動、停止することによって構成を検査してください。


    phys-hahost1# /opt/lotus/bin/server
    ...
    phys-hahost1# /opt/lotus/bin/server -q
    

    クラスタを起動した後、さまざまな物理ホストから論理ホストをマスターし、それら物理ホストから Lotus Domino サーバーを起動、停止することによって構成の多くをテストできます。たとえば、次のようにします。


    phys-hahost1# scadmin startcluster phys-hahost1 clustername
    phys-hahost2# scadmin startnode clustername
    phys-hahost1# haswitch phys-hahost2 hahost1 hahost2
    

    ユーザー notes でログインし、Domino データディレクトリから Lotus Domino サーバーを停止、起動してください。たとえば、次のようにします。


    phys-hahost2# cd /hahost1/data_directory
    phys-hahost2# /opt/lotus/bin/server
    ...
    phys-hahost2# /opt/lotus/bin/server -q
    


注 -

Lotus Domino の任意のインスタンスが起動できない場合、ユーザー notes がデータディレクトリとデータファイルへのアクセス権を持っているかどうかを確認し、インスタンスを再起動してください。


これで、Sun Cluster HA for Lotus の構成と起動は完了です。

Sun Cluster HA for Lotus に対する構成パラメータ

この節では、Sun Cluster HA for Lotus データサービス用の構成ファイルを作成するときに hadsconfig(1M) コマンドに指定する情報について説明します。hadsconfig(1M) コマンドはテンプレートを使用して、構成ファイルを作成し、作成したファイルを /etc/opt/SUNWsclts ディレクトリに保管します。このテンプレートには、デフォルト値を持つパラメータや値が明示的に指定されたパラメータ、値が指定されていないパラメータが含まれています。値が指定されていないパラメータに対しては、必ず値を指定する必要があります。

障害検証パラメータは特に、Sun Cluster HA for Lotus の性能に影響することがあります。検証間隔値を小さくしすぎると (障害検証の回数の増加により)、システム性能が低下することがあり、その結果として、システムが単に遅くなっただけでも、誤ったテイクオーバーが発生したり、再起動が試みられたりすることがあります。

Sun Cluster HA for Lotus データサービスには、テイクオーバーフラグを設定する必要があります。テイクオーバーフラグは、Sun Cluster による部分的フェイルオーバーの処理方法を指定します。このフラグに設定できる値は次の 2 つです。

Sun Cluster HA for Lotus に対する構成パラメータ

表 13-3 で説明しているオプションを指定することによって、hadsconfig(1M) 入力書式に列挙されている Sun Cluster HA for Lotus 用のパラメータを設定してください。

表 13-3 Sun Cluster HA for Lotus に対する構成パラメータ

パラメータ 

説明 

インスタンス名 

インスタンスの識別子として使用される論理ホスト名。Sun Cluster HA for Lotus が生成するログメッセージでは、この識別子が参照される。hadsconfig(1M) コマンドは、ここで指定された論理ホスト名の前にパッケージ名を付ける。たとえば hahost1 を指定すると、SUNWsclts_hahost1 が生成される。

論理ホスト 

Sun Cluster HA for Lotus のこのインスタンスにサービスを提供する論理ホスト名 

製品をインストールするベースディレクトリ 

多重ホストディスク上の HA Lotus をインストールする場所を示すルート付きのパス名。これはインスタンスのパスである (例: /hahost1/lotus-home/lotus_1)。

構成ディレクトリ 

データベースが存在するディレクトリ (例: /hahost1/d1/Lotus/database.db)。

遠隔検証 

Lotus 障害検証機能に遠隔ホストを検証させるかどうかを指定。デフォルト値は n

ローカル検証 

Lotus 障害検証機能にローカルホストを検証させるかどうかを指定。デフォルト値は y

検証間隔 

障害検証を行う時間間隔 (秒単位)。デフォルトの間隔は 60 秒。 

検証タイムアウト 

障害検証をタイムアウトにする時間 (秒単位)。デフォルトのタイムアウト値は 60 秒。 

サーバーポート番号

Sun Cluster HA for Lotus のこのインスタンス専用のポート。デフォルトのポート番号は 1352。 

テイクオーバーフラグ 

このデータサービスインスタンスで障害が発生した場合に、関連付けられている論理ホストのテイクオーバーまたはフェイルオーバーを行うかどうかを指定する。指定できる値は、y (yes) または n (no) のいずれかである。デフォルトは y。値については、「Sun Cluster HA for Lotus に対する構成パラメータ」を参照。

Lotus サーバーの種類 

このパラメータは Lotus Domino 4.6.3 を使用する構成でのみ有効。デフォルト値は single。Lotus Domino サーバーまたは主パーティション分割サーバーを構成するときは、常にデフォルト値を使用する。追加のパーティション分割サーバーを構成するときは、single 以外の任意の値を使用する。

Lotus パスワードファイル 

このパラメータは Lotus Domino 4.6.3 を使用する構成でのみ有効。デフォルト値は default_file。Lotus Domino サーバーまたは主パーティション分割サーバーを構成するときは、常にデフォルト値を使用する (起動時にはパスワードは必要ないため)。追加のパーティション分割サーバーを構成するときは、追加のパーティション分割サーバー起動用のパスワードが入っているファイル名を入力する。Lotus Domino サーバーが共有ディスクにインストールされている場合は、パスワードファイルがすべてのクラスタノード上で利用できるかどうかを確認する。あるいは、パスワードファイルを共有ディスクにインストールする。