Sun Cluster ソフトウェアをインストールするには、同じバージョンの Solaris オペレーティング環境 (Solaris 2.6、Solaris 7 または Solaris 8) を使用して、クラスタ内のすべてのノードをインストールする必要があります。クラスタノードに Solaris をインストールするときは、この節で説明する一般的な規則に従ってください。
すべての Sun Cluster ノードに全体ディストリビューション Solaris ソフトウェアパッケージをインストールします。
Sun Enterprise 10000 以外のプラットフォームには、少なくとも全体ディストリビューションをインストールする必要があります。Sun Enterprise 10000 システムには、全体ディストリビューションプラス OEM が必要です。
Solaris オペレーティング環境のインストールを完了したら、最新のパッチをインストールする必要があります。Solaris オペレーティング環境用の必須パッチの最新リストについては、ご購入先にお問い合わせください。または、SunSolve の Web サイト (http://sunsolve.sun.com) を参照してください。
以前のバージョンの Solaris オペレーティング環境からアップグレードする場合は、次の規則に従ってください。
オペレーティング環境を再インストールするのではなく、Solaris インストールプログラムのアップグレードオプションを使用する必要があります。また、ルート (/) と /usr スライスのサイズを大きくして、Solaris 環境を収容する準備をしておく必要があります。
Solaris インストールプログラムのアップグレードオプションには、現在のファイルシステムにアップグレード用の十分な空間がない場合に、ディスク空間を割り当てる機能が用意されています。デフォルトでは、自動配置機能によって、アップグレードが成功するようにディスク空間を再割り当てする方法が試されます。自動配置機能がディスク空間の再割り当て方法を決定できない場合は、移動または変更できるファイルシステムを手動で指定して、再度自動配置機能を実行する必要があります。
はじめて Sun Cluster をインストールする場合は、次の規則に従ってください。
すべての Sun Cluster ノードをスタンドアロンとして構成してください。この構成は、Solaris インストールプログラムから質問に応答することによって行います。
エクスポート済みファイルシステムを定義しないでください。HA-NFS ファイルシステムは、/export にはマウントされません。HA-NFS ファイルシステムのみ、Sun Cluster ノード上で NFS により共有します。
Solaris の電源管理の自動停止機能は無効にしてください (Sun Cluster 構成内のノードに該当する場合)。詳細は、pwconfig(1M) および power.conf(4) のマニュアルページを参照してください。
Solaris 2.6 オペレーティング環境には、インタフェースグループという新機能が追加されています。この機能は、Solaris 2.6 ソフトウェアではデフォルトの動作として実装されていますが、以降のリリースでは、オプションです。
ifconfig(1M) のマニュアルページで説明しているように、論理または物理のいずれかのインタフェースと IP 接頭辞を共有する場合、1 つのインタフェースグループにまとめられます。発信元アドレスが指定されていない場合、IP はインタフェースグループを使用して、発信元アドレスを交替で選択します。同じグループに複数の物理インタフェースがある場合は、IP の宛先ごとに異なる IP アドレスにまたがってトラフィックを配信します (IP の宛先別の情報については、netstat(1M) を参照)。
インタフェースグループ機能を有効にすると、論理ホストのスイッチオーバーで問題が発生します。すなわち、RPC タイムアウトが発生して、スイッチオーバーで問題が発生し、論理ホストが現在のホスト上でマスターされたままになります。したがって、すべてのクラスタノードにおいて、インタフェースグループは無効にしてください。インタフェースグループの状態は、/etc/system ファイルの ip_enable_group_ifs の値によって決まります。
このパラメータの値は、次の ndd コマンドで確認できます。
# ndd /dev/ip ip_enable_group_ifs |
値として 1 (有効) が返された場合は、/etc/system ファイルに次の行を追加することによって、インタフェースグループを無効にしてください。
set ip:ip_enable_group_ifs=0 |
/etc/system ファイルを編集した場合は、変更内容を有効にするために必ずシステムを再起動してください。
Solaris をインストールすると、システムディスクは、ルート (/) や /usr、その他標準のファイルシステム用のスライスにパーティション分割されます。使用するボリュームマネージャに求められる条件を満たすには、このパーティション構成を変更する必要があります。この後の説明に従って、ディスク空間を割り当ててください。
ファイルシステムの見積りガイドラインについては、Solaris のマニュアルを参照してください。Sun Cluster によって、ファイルシステムスライスが追加で必要になることはありません。
Solstice DiskSuite を使用する場合は、メタデバイス状態データベースの複製用としてシステムディスクに 10M バイトを確保する必要があります。複製についての詳細は、Solstice DiskSuite のマニュアルを参照してください。
VxVM を使用する場合は、ルートディスクグループ (rootdg) 用のディスクを指定する必要があります。rootdg の作成に関するガイドラインと詳しい説明は、VERITAS のマニュアルを参照してください。詳細は、「VERITAS Volume Manager に関する注意事項」を参照してください。
ローカルディスクのルート (/) スライスには、各種ファイルおよびディレクトリ用の領域のほかに、/devices のデバイス i ノードと /dev のシンボリックリンク用の領域も存在する必要があります。
また、ルートスライスには、以下を格納できる十分な大きさである必要があります。
Solaris システムソフトウェア
Sun Cluster、使用するボリューム管理ソフトウェアの一部コンポーネント、サン以外のソフトウェアパッケージ
ディスク装置およびボリュームマネージャに対する /dev 内シンボリックリンク用データ空間
Sun Cluster は、root プロセスを実行するさまざまなシェルスクリプトを使用します。このため、root ユーザー用の /.cshrc* および /.profile ファイルは空にしておくか、クラスタノードに存在しないようにします。
大量のディスクドライブで構成される場合は、大きなルートファイルシステムが必要になることがあります。
空き領域が不足した場合は、すべてのクラスタノードにオペレーティング環境を再インストールして、ルートスライス内の空き領域を追加する必要があります。ルートスライスの全空間の少なくとも 20% を空き領域として確保してください。
/usr スライスは、ユーザーファイルシステムを保持します。/var スライスは、システムログファイルを保持します。/opt スライスは、Sun Cluster とデータサービスソフトウェアパッケージを保持します。Solaris ソフトウェアをインストールするときの割り当て値の変更についての詳細は、『Solaris のインストール (上級編)』を参照してください。