Netscape Messaging Server では、Netscape Mail とは異なる概念と特徴が新たに導入されます。次の各項では、これらの概念や特徴と、Netscape Messaging Server のインストール手順や構成手順を説明します。
Netscape Messaging Server では、サーバールートという概念が導入されます。これは、Netscape Messaging Server のシステム全体とその構成済みインスタンスを含むディレクトリです。ただし、唯一の例外として、/etc/nsserver.cfg ファイルだけがサーバールートに含まれていません。このファイルには、ノードのすべてのサーバールートが列挙されています。Sun Cluster 2.2 では、サーバールートごとに 1 つの Netscape Messaging Server インスタンスしか許可されていません。さらに、論理ホストごとに 1 つのサーバールートしか許されていないため、論理ホストごとに 1 つのインスタンスしか許可されません。
Netscape Messaging Server のインストール時には、Netscape Messaging Server から構成ディレクトリサーバーを使用できなければなりません。Netscape Messaging Server は、インストール時に構成ディレクトリサーバーに構成データを入力するためです。Netscape Messaging Server は、最初のインストール後に構成データをローカルキャッシュにコピーするため、これ以後、構成ディレクトリサーバーは必ずしも必須ではありません。構成ディレクトリサーバーが使用できなくなると、Netscape Messaging Server は、自身のローカルキャッシュにある構成データを使って起動することを示す警告メッセージを表示します。このメッセージは無視してかまいません。
Netscape Messaging Server のために Netscape Directory Server をインストールする場合は、さらに Sun Cluster HA for Netscape LDAP のインストールと構成を行ことで、Netscape Directory Server の可用性が高まります。Sun Cluster HA for Netscape LDAP の詳細は、「Netscape Directory Server (LDAP)」を参照してください。
Netscape Messaging Server には、smtpd、popd、imapd、mshttpd、stored という別個の 5 つのデーモンがあります。これらのデーモンの開始や停止は個別に行うことができます。これらのデーモンは、異常終了する場合、個別に異常終了します。
Sun Cluster HA for Netscape 障害監視では、デーモンプロセスの存在と、プロトコルサービスが使用可能かどうかを検査します。プロセスの存在検査では、障害検証によって、デーモンが存在するかどうかが周期的に確認されます。デーモンが存在しないと、アプリケーションに障害があったものとみなされ、現在の構成パラメータに従ってアクションがとられます。プロトコルの検査では、障害検証によっデーモンが周期的に検査され、タイムアウトを示すエラーコードに対してのみアクションがとられます。サーバーの応答が単に遅いだけでフェイルオーバーが不用意に起るのを防ぐため、Sun Cluster HA for Netscape では、デフォルトのタイムアウト値は 660 秒に設定されています。
この障害監視モデルでは完全にアクティブなメールサーバーが前提になるため、デーモンを停止しなければならない管理作業を行う場合は、(hareg -n を使って) Sun Cluster HA for Netscape データサービスを必ずオフにする必要があります。そうしないと、障害検証によってアクションがとられます。データサービスは、管理作業が終ってから (hareg -y を使って) オンにしてください。
Sun Cluster HA for Netscape による監視では、smtpd、popd、imapd デーモンに対しプロセスの存在検査 (ローカル検証を使用) とプロトコルの検証 (ローカル検証とリモート検証を使用)が両方とも行われます。mshttpd と stored デーモンに対しては、プロセスの存在検査 (ローカル検証を使用) だけが行われます。mshttpd と stored デーモンにはリモート検証が行われないため、mshttpd プロセスが存在し、停止していても、Sun Cluster HA for Netscape はアクションをとりません。したがって、Web メールクライアントが接続できない場合は、mshttpd プロセスを手作業で再起動する必要があります。
Sun Cluster HA for Netscape では、SNMP サブエージェントの監視は行われません。
Netscape Messaging Server では、ユーザー/グループディレクトリを使用します (Netscape Mail 3.5 ではオプションでした)。ユーザー/グループディレクトリは、メッセージングサーバーが電子メールの処理に使用する LDAP ディレクトリです。ユーザー/グループディレクトリを構成する前にメッセージングサーバーのインストールや起動を行うことはできますが、メッセージングサーバーのインストール後は、メッセージングサーバーからユーザー/グループディレクトリにアクセスできなければなりません。この前提条件があるため、ユーザー/グループディレクトリを提供するディレクトリサーバーは、多重ホストディスクか、クラスタ化された別のサーバーにインストールすべきです。それによって、可用性が高まります。
構成ディレクトリとユーザー/グループディレクトリは、同じディレクトリサーバーインスタンスで提供することも、異なるインスタンスで提供することもできます。