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Sun ONE Application Server 7, Update 1 インストールガイド |
第 6 章 Sun ONE Application Server ソフトウェアのアップグレード
この章では、すでにインストールされている SunTM Open Net Environment (Sun ONE) Application Server 7 ソフトウェアをアップグレードする手順について説明します。
ここでは次の項目について説明します。
アップグレードの準備
Sun ONE Application Server のアップグレードプログラムを使用すると、すでにインストールされている Sun ONE Application Server 7 をアップグレードできるので、製品全体をインストールし直す必要がありません。アップグレード機能は、パッケージベースでインストールされた製品と、tar または zip でインストールされた製品で使用できます。必要に応じてオペレーティングシステム固有のメカニズムが利用されます。
この節では次の項目について説明します。
アップグレードコンポーネント
Sun ONE Application Server 7 Update 1 のアップグレードは、圧縮アーカイブの形式で配布されます。このアーカイブには、setup ファイル、README ファイル、アップグレードプログラムで使用される設定ファイル、ログファイル、およびアップグレード用の Sun ONE Application Server パッケージが格納されています。
要件と制限事項
- アクセス権
UNIX のパッケージベースのバージョンの場合は、ルートユーザーの権限が必要です。
UNIX のパッケージベースでないバージョンの場合は、インストールディレクトリへのアクセス権が必要です。
Windows 版の場合は、管理者権限が必要です。
- 管理サーバーとインスタンス : アップグレード処理の進行中、管理サーバーとアプリケーションサーバーインスタンスは停止している必要があります。実行中の場合は、アップグレードプログラムによって停止されます。
- アップグレードする場所 : 以前のインストールで、デフォルトの場所にインストールしなかった場合は、config_01 ファイルを編集して正しい場所を指定する必要があります。
- 設定ファイル : アップグレードの処理中に Sun ONE Application Server 設定ファイルを変更しないでください。設定ファイルを変更しても、設定ファイルがそのインストール先にコピーされる時に上書きされます。
- 解凍ユーティリティと pkgadd のパスが PATH 環境変数に含まれている必要があります。
- 5.0.0 以上の Perl がシステムにインストールされている必要があります。
- JDK と Sun ONE Message Queue : 既存の JavaTM Developers Kit (JDK) または Sun ONE Message Queue ソフトウェアは、アップグレードプログラムではアップグレードされません。これらは共有リソースと見なされるため、必要な場合は個別にアップグレードを行う必要があります。
- NSS/NSPR パッケージ : アップグレードでは、既存の Sun ONE Application Server の一部として Netscape Security Services (NSS) パッケージと Netscape Portable Runtime (NSPR) パッケージが存在することが前提となっています。NSS パッケージと NSPR パッケージがインストールされていない場合は、アップグレードを実行しないでください。Sun ONE Application Server がインストールされていないか、壊れています。どちらの場合も、Sun ONE Application Server ソフトウェア全体をインストールする必要があります。
- アップグレード処理の実行中は、次のファイルを変更しないでください。
- アップグレードの中断 : 必要な場合はアップグレードを中断し、あとで中断した時点から再開できます。ただし、アップグレード途中のサーバーインスタンスは不整合な状態になるので、いったんアップグレードを開始したら完了する必要があります。
- JDK と Sun ONE Message Queue : 既存の Java Developers Kit (JDK) または Sun ONE Message Queue ソフトウェアは、アップグレードプログラムではアップグレードされません。これらは共有リソースと見なされるため、必要な場合は個別にアップグレードを行う必要があります。サポートされている最新バージョンの Sun ONE Message Queue が、Sun ONE Application Server 7, Update 1 ダウンロードアーカイブの /imq ディレクトリに用意されています。手順については、そのディレクトリにある README ファイルを参照してください。
アップグレードプログラムの動作
アップグレードプログラムは Perl スクリプトであり、入力ファイルとパッケージリストファイルを使ってアップグレードのパラメータを決定します。パッケージベースのインストールでは、アップグレードする必要のあるパッケージの一覧が package-list ファイルに記述されます。
この節では次の項目について説明します。
アップグレードの入力ファイル
config_01 ファイルには、アップグレードプログラムで Sun ONE Application Server ソフトウェアをアップグレードするための場所が記述されます。config_01 ファイルの各エントリは、次の場所を指定します。
- ASINSTDIR : Sun ONE Application Server のインストールディレクトリ。ここには、Sun ONE Application Server のバイナリファイルが置かれています。
- ASCONFDIR : Sun ONE Application Server の設定ファイルのディレクトリ。ここには、domains.bin、ppserv.lic、および asenv.conf の各ファイルが置かれています。
- ASDOMAINSDIR : Sun ONE Application Server のドメインディレクトリ。ここには、domains フォルダが置かれています。
- ASLOCALE : Sun ONE Application Server のロケール。この値がわからない場合は、ASCONFDIR/asenv.conf ファイル内の AS_LOCALE を確認してください。
- ASJAVADIR : Sun ONE Application Server で使用される JDK のディレクトリ。
初期インストールでデフォルトのインストール先を使用した場合、入力ファイルに記述されている場所は正しいので、入力ファイルを編集する必要はありません。
デフォルトとは異なるインストール先を使用した場合は、入力ファイルを編集する必要があります。
デフォルトの入力ファイルの例
config_01
BASEDIR = /opt
ASINSTDIR=/opt/SUNWappserver7
ASCONFDIR=/etc/opt/SUNWappserver7
ASDOMAINSDIR = /var/opt/SUNWappserver7
ASLOCALE = en_US
ASJAVADIR = /usr/j2sepackage-list
SUNWasacmo
SUNWasro
SUNWasaco
SUNWjaxp
SUNWxrpcrt
SUNWaso
.version
7.0.0_01アップグレード処理
アップグレード処理には、バックアップ、インストール、再設定という 3 つのフェーズがあります。アップグレード処理の監視とトラブルシューティングに役立つように、これらのフェーズそれぞれにログファイルが作成されます。
この節では次の項目について説明します。
バックアップフェーズ
アップグレード処理の開始時に、Sun ONE Application Server の設定ファイルが別の場所にコピーされます。これは、アップグレード処理によって変更されないようにするためです。アップグレード処理の最後の再設定フェーズで、これらの設定ファイルは再び元の場所にコピーされます。
このバックアップディレクトリは、アップグレードファイルを解凍して展開したディレクトリの下に置かれます。
インストールフェーズ
インストールフェーズでは、関連するパッケージをアップグレードするために十分なディスク容量があることが確認された後、アップグレードコンポーネントがシステムにインストールされます。
インストールフェーズが失敗した場合、アップグレードスクリプトを起動すると、インストールが正常に完了した最後のパッケージの次のパッケージからインストールが再開されます。アップグレードプログラムは監査ファイルを参照して、どこでアップグレード処理が中断されたかを判断し、適切に再開します。たとえば、5 つのパッケージのうち 3 つがすでにインストールされ、4 つ目のパッケージのインストール中にエラーが発生した場合は、再開すると 4 つ目のパッケージ全体のインストールが始まります。
再設定フェーズ
再設定フェーズでは、元の Sun ONE Application Server 設定ファイルがインストール先に再びコピーされます。
アップグレード中に他のユーザーが Sun ONE Application Server 設定ファイルを変更しないように、ユーザー自身で処理を行ってください。アップグレードプログラムにはこれを防止するメカニズムはありません。
ログファイル
アップグレードプログラムのイベント、エラー、およびステータスのログは、次のファイルに記録されます。
アップグレードのログファイル
アップグレードのイベントとエラーは、アップグレード処理の進行中に upgrade.log ファイルに取り込まれます。よく見られるエラーについては、最も代表的な対処方法がこのファイルに記述されます。
監査ファイル
アップグレードの状態を保持するために .audit_upgrade という監査ファイルが使用されます。障害が発生してアップグレード処理が再開された場合に、このファイルが必要となります。監査ファイルを使用することで、インストールが正常に完了した最後のコンポーネントの次のコンポーネントからアップグレード処理を再開できます。
この監査ファイルは、アップグレードファイルを解凍して展開したディレクトリの下に置かれます。
注 audit_upgrade ファイルは編集しないでください。このファイルを編集するとアップグレードが再開されません。
Sun ONE Application Server のアップグレード
Sun ONE Application Server アップグレードアーカイブは次の場所からダウンロードできます。
ダウンロードサイトには多数のアーカイブが用意されています。たとえば、Sun ONE Application Server 7, Update 1 アーカイブはバージョン 7.0.0_01 です。
Sun ONE Application Server ソフトウェアをアップグレードするには、次の手順を実行します。
- 「要件と制限事項」の情報を確認します。
- Netscape Security Services (NSS) パッケージと Netscape Portable Runtime (NSPR) パッケージがインストールされていることを確認します。これらのパッケージに関する情報とガイドラインについては、「必須の Solaris パッチ」を参照してください。
- アップグレードリリースの圧縮アーカイブをターゲットマシンにダウンロードします (XX はバージョン)。
Solaris の場合 : sun-appserver7-upgrade01-sol-sparc.tar.gz
Microsoft Windows の場合 : sun-appserver7-upgrade01-win.zip
- アップグレードリリースのアーカイブを解凍して展開します。次のアップグレードコンポーネントがあります。
SUNWaso、SUNWascmno、SUNWasro、SUNWjaxp、SUNWasaco、SUNWxrpcrt
- インストール時にデフォルトとは異なるインストール先を使用した場合は、config_01 入力ファイルを編集して、次のエントリを記述します。デフォルトのインストール先を使用した場合、この手順は省略できます。つまり、このファイルに実際のインストール先が反映されている必要があります。
ASINSTDIR=/opt/SUNWappserver7
ASCONFDIR=/etc/opt/SUNWappserver7
ASDOMAINSDIR=/var/opt/SUNappserver7
ASLOCALE=en_US
ASJAVADIR=/usr/j2se
- アップグレードスクリプトを次のようにして起動します。
./setup
アップグレードプログラムでは、現在インストールされている Sun ONE Application Server のプロファイル (バージョン番号、パッケージベースかどうか) が確認されます。ユーザーが選択したアップグレードアーカイブが適切でない場合は、エラーメッセージが表示されます。
問題を解決してからアップグレードをやり直してください。
アップグレードに十分な空きディスク容量があるかどうかが確認されます。ディスク容量が不足している場合は、エラーメッセージが表示されます。
問題を解決してからアップグレードをやり直してください。
アップグレードが実行される前に、アップグレードプログラムにより、Sun ONE Application Server の実行中のプロセスがすべて検出され、停止されます。
- ユーザーが選択したアップグレードの種類に応じて、質問が表示されます。
これらの質問に回答してください。
- アップグレードの入力ファイルに指定されている場所にアップグレードコンポーネントがインストールされます。
- アップグレードが完了したら、管理サーバーとアプリケーションサーバーインスタンスを起動します。手順については、「サーバーの起動と停止」を参照してください。
- asadmin version コマンドを実行して、アップグレードが成功したことを確認します。アップグレードされていれば、Sun ONE Application Server の新しくアップグレードされたバージョンが表示されます。
トラブルシューティング
この節では、アップグレード処理の間に発生する可能性のある問題について説明し、いくつかの解決策を示します。
アップグレードを再開または中断するには
- アップグレードの再開 : 何らかの理由でアップグレード処理を再開する場合は、setup スクリプトが置かれているディレクトリにある .audit_upgrade ファイルを削除してから、アップグレードを再開します。
- アップグレードの中断 : 必要な場合はアップグレードを中断し、あとで中断した時点から再開できます。ただし、アップグレード途中のサーバーインスタンスは不整合な状態になるので、いったんアップグレードを開始したら完了する必要があります。
エラー状況
- システム固有のエラーの場合 : たとえば、パッケージベースのインストールが失敗しがちなときは、パッケージインストールのログを確認します。
- バックアップ用として指定されている場所に固有のエラーの場合 : 指定されているディレクトリに対するアクセス権を確認します。
- ユーザー ID に固有のエラーの場合 (tarball インストールのとき) : インストールディレクトリとバックアップディレクトリに対するアクセス権を確認します。
- バックアップフェーズで発生するエラーの場合 : アップグレードスクリプトを再起動します。このフェーズで最もよく発生するエラーは、容量制限に関連するものです。問題をすべて解決した後、中断した時点からアップグレードプログラムを再開できます。
- 再設定フェーズでエラーが発生する場合、通常はシステムクラッシュやその他の中断が原因です。問題をすべて解決した後、中断した時点からアップグレードプログラムを再開できます。