この章では、GNOME デスクトップのパフォーマンスを改善する方法について説明します。
この章では、GNOME デスクトップのパフォーマンスを改善するために変更できるいくつかの設定について説明します。 ユーザー設定について値を設定するには、gconftool-2 コマンドを使用します。 この章のコマンド例では、ユーザー設定ソースの値を変更する方法を示します。
--direct および --config-source オプションを使用して、設定の必須値またはデフォルト値をセットできます。 また、スクリプト内で gconftool-2 コマンドを使用して、多数の設定値をセットすることもできます。 gconftool-2 コマンドと、このコマンドに使用できるオプションについては、第 1 章「GConf の使用方法」を参照してください。
この節では、GNOME デスクトップの CPU 使用率を減らすための設定について説明します。
一部のウィンドウフレームテーマオプションは、ウィンドウフレームを描くのにイメージファイルを読み込みます。 ほかのオプションは、より簡単な方法でウィンドウフレームを描きます。
Crux ウィンドウフレームオプションは画像ファイルをロードするので、CPU リソースが限られたシステムでは動作が遅くなる恐れがあります。 CPU 使用率を減らすには、以下のいずれかのウィンドウフレームオプションを使用します。
Atlanta
Esco
以下のウィンドウフレームオプションも、Crux よりは CPU リソースの使用率が少なくなります。
AgingGorilla
Bright
Metabox
Metabox は、HighContrastInverse などの反転制御オプションとは正しく動作しません。 反転制御オプションを使用する場合は、Atlanta を使ってください。
ウィンドウフレームテーマのオプションを変更するには、以下のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type string --set /apps/metacity/general/theme option-name
Atlanta を使用する場合は、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type string --set /apps/metacity/general/theme Atlanta
または、テーマ
設定ツールで適当なオプションを選択します。
Metacity テーマビューア
を使用して、ウィンドウフレームオプションのパフォーマンスを測定したり、オプションをプレビューできます。 Metacity テーマビューア
を起動するには、次のコマンドを使用します。
# metacity-theme-viewer option-name
たとえば、Atlanta のパフォーマンスを測定し、Atlanta をプレビューするには、次のコマンドを実行します。
# metacity-theme-viewer Atlanta
メニュー上のいくつかの項目は、その項目の横にアイコンが表示されます。 この機能をオフにするには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type bool --set /desktop/gnome/interface/menus_have_icons false
または、Menus & Toolbars
設定ツールで「メニューにアイコンを表示」オプションの選択を解除します。
デフォルトでは、デスクトップ環境にログインすると、スプラッシュ画面が表示されます。 ログインしている間は、スプラッシュ画面にアイコンが表示されています。 スプラッシュ画面をオフにすると、ログインしている間の CPU 使用率を減らせます。
スプラッシュ画面をオフにするには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type bool --set /apps/gnome-session/options/show_splash_screen false
または、セッション
設定ツールで「ログイン時にスプラッシュ画面を表示する」オプションの選択を解除します。
パネルを表示または非表示にするときに、動画形式でパネルを表示または非表示にすることができます。 パネルアニメーションをオフにするには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type bool --set /apps/panel/global/enable_animations false
または、パネル
設定ツールで「引出しとパネルのアニメーション」オプションの選択を解除します。
Nautilus
ファイルマネージャの一部の機能を変更して、パフォーマンスを改善できます。
ファイルマネージャには、パフォーマンスに関連する設定があります。 各パフォーマンス設定は、3 つの値のうち 1 つを持ちます。 以下の表は、3 つの値を説明しています。
値 |
説明 |
---|---|
always |
ローカルファイルと、別のファイルシステム上のファイルの両方に対して、動作を実行する |
local_only |
ローカルファイルに対してのみ動作を実行する パフォーマンス設定を local_only セットすると、CPU 使用率は減少します |
never |
動作を実行しない パフォーマンス設定を never にセットすると、CPU 使用率とネットワークトラフィックは減少します |
以下の表は、ファイルマネージャのパフォーマンス設定を説明しています。 パフォーマンスを上げるには、設定値を never に設定します。
ファイルマネージャには、サイド区画とツールバーをオフにできる設定が含まれています。 サイド区画とツールバーをオフにすると、ファイルマネージャのパフォーマンスが改善します。
サイド区画をオフにするには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type bool --set /apps/nautilus/preferences/start_with_sidebar false
# gconftool-2 --type bool --set /apps/nautilus/preferences/start_with_toolbar false
ロケーションバーもオフに設定できます。 Ctrl + L キーボードショートカットを使用して、ロケーションバーを必要に応じて表示できます。
ロケーションバーをオフにするには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type bool --set /apps/nautilus/preferences/start_with_location_bar false
ファイルマネージャには、Nautilus
を使用してデスクトップを管理できる設定が含まれています。 デスクトップを無効にすることで、パフォーマンスを改善できます。 デスクトップを無効にした場合、次の操作を行えません。
「デスクトップ」メニューを使用すること
ファイルマネージャを使用してデスクトップ背景のパターンまたは色の変更
ごみ箱などのデスクトップオブジェクトの使用 デスクトップオブジェクトは、デスクトップに表示されません。
デスクトップを無効にするには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type bool --set /apps/nautilus/preferences/show_desktop false
この節では、GNOME デスクトップで X ウィンドウシステム のネットワークトラフィックを減少させる設定について説明します。
リモートディスプレイプロトコルは、ピクセルブロック内のピクセルがすべて同じ色の場合、そのブロック内のすべてのピクセルを転送しません。
X ウィンドウシステムのネットワークトラフィックを減らすには、単一色を使用するウィンドウフレームテーマオプションを使用します。 つまり、次のいずれかのウィンドウフレームオプションを使用します。
Atlanta
Esco
テーマオプションの変更方法については、CPU リソースをあまり必要としないテーマオプションを使用するを参照してください。
メニュー上のいくつかの項目は、その項目の横にアイコンが表示されます。 アイコンが別のファイルシステム上にある場合、この機能が原因で X ウィンドウシステムのネットワークトラフィックが増大します。 また、パネルがリモートホスト上で表示される場合も、X ウィンドウシステムのネットワークトラフィックが増大します。
この機能を無効にする方法については、メニュー上のアイコンをオフにして CPU 使用率を減らすを参照してください。
多くの現代のコンピュータシステムが 24 ビット色 (16,777,216 色) をサポートします。 しかし、多くのユーザーが今だ 8 ビット色 (256 色) をサポートするシステムを使用しています。
GNOME デスクトップは、websafe カラーパレットを使用します。 このパレットは 216 色の汎用パレットであり、8 ビット色をサポートするシステム上での色の使用を最適化するように設計されています。 一方、GNOME デスクトップの一部の視覚構成要素は、24 ビット色をサポートするシステム用に設計されています。
以下に示す表示上の問題が、8 ビットをサポートするシステムで発生する可能性があります。
ウィンドウ、アイコン、および背景イメージの粒子が粗くなる可能性があります。 多くのテーマ、背景イメージ、およびアイコンは、 websafe カラーパレットにはない色を使用します。 パレットにない色は、最も近い色またはディザ処理した近似色に入れ替わります。 このように色の入れ替えが原因で、粒子が粗くなります。
websafe カラーパレットを使用しないアプリケーションは、利用可能な色が少なくなります。 このためカラーエラーが発生する可能性があります。 一部の色が、アプリケーションのユーザーインタフェース上に現れない可能性があります。 また、アプリケーションが色を割り当てることができない場合に、一部のアプリケーションで障害が発生する可能性があります。
websafe カラーパレットを使用するアプリケーションと、このカラーパレットを使用しないアプリケーションとの間で切り替えを行うと、色の点滅が発生する場合があります。 websafe カラーパレットを使用しないアプリケーションは、カスタムカラーマップを使用している可能性があります。 カスタムカラーマップが使用されている場合、ほかの視覚構成要素が色を失い、見えなくなる可能性があります。
この節では、8 ビット色をサポートするシステムで、GNOME デスクトップの外観を最適化する方法について説明します。
一部のウィンドウフレームテーマオプションは、websafe カラーパレット内の色を使用します。 Bright と Esco は、websafe カラーパレットを使用します。 Bright と Esco は、8 ビットのカラーディスプレイでの他のウィンドウフレームオプションのように粒子が粗くありません。 8 ビットのビジュアルモードでは、Bright または Esco を使用すると色がきれいに表示されます。
テーマオプションの変更方法については、CPU リソースをあまり必要としないテーマオプションを使用するを参照してください。
メニュー上のいくつかの項目は、その項目の横にアイコンが表示されます。 アイコンに websafe カラーパレットにはない色が含まれている場合、この機能によって使用される色の数が増えます。
この機能を無効にする方法については、メニュー上のアイコンをオフにして CPU 使用率を減らすを参照してください。
スプラッシュ画面をオフにすると、 GNOME デスクトップおよびアプリケーションが利用できる色が増えます。
スプラッシュ画面をオフにする方法については、スプラッシュ画面をオフにして CPU 使用率を減らすを参照してください。
デスクトップ背景には単一色を使用します。 単一色の使用により、GNOME デスクトップが使用する色の数が減ります。
背景に単一色をセットするには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type string --set /desktop/gnome/background/picture_options none
# gconftool-2 --type string --set /desktop/gnome/background/color_shading_type solid
# gconftool-2 --type string --set /desktop/gnome/background/primary_color \#hexadecimal-color
または、Background
設定ツールで背景の単一色を選択します。
ヘルプのソース文書は XML ファイルです。 XML ファイルは HTML に変換され、この HTML が Yelp
ヘルプブラウザに表示されます。 HTML は事前生成できます。つまり、ヘルプを使用する前に XML を HTML に変換することが可能です。
事前生成を行わなかった場合は、ヘルプファイルを呼び出したときに変換が自動的に実行されます。 ヘルプファイルを呼び出したときに変換が行われると、変換はヘルプドキュメントの表示速度に重大な影響を及ぼします。
ヘルプのパフォーマンス問題を回避するため、HTML を事前生成し、ヘルプブラウザが変換を行わなくて済むようにしてください。 ヘルプドキュメントの事前生成には、yelp-pregenerate コマンドを使用します。 yelp-pregenerate コマンドの構文は、以下のとおりです。
yelp-pregenerate [-a| [-f filename]] [locale]以下の表に、yelp-pregenerate コマンドのオプションと引数を示します。
オプションまたは引数 |
説明 |
---|---|
-a |
|
-f |
コマンドで指定した XML ファイルだけを事前生成する |
filename |
事前生成する XML ファイルの名前 |
locale |
XML ファイルを事前生成するロケール。 デフォルトのロケールは C (英語) |
たとえば、ファイルシステムのすべての XML ファイルの英語バージョンを事前生成するには、以下のコマンドを実行します
# yelp-pregenerate -a
デフォルトのロケールが C なので、この例ではロケールを指定する必要はありません。 gedit
マニュアルのスペイン語バージョンを事前生成するには、以下のコマンドを実行します。
# yelp-pregenerate -f gedit.xml es
ヘルプファイルを開くと、ヘルプブラウザは以下の処理を行います。
ヘルプブラウザは、適切な HTML ファイルを検索します。 HTML ファイルを検出すると、ヘルプブラウザはその HTML ファイルと対応する XML ファイルの変更日を比較します。 HTML ファイルの日付が XML ファイルより新しい場合は、HTML ファイルが表示されます。
HTML ファイルの日付が XML ファイルより古い場合は、XML ファイルが HTML に変換されます。
ヘルプブラウザがヘルプドキュメントの HTML ファイルを検出できない場合も、XML ファイルは HTML に変換されます。
言い換えると、事前生成された HTML ファイルが存在する場合は、ヘルプブラウザはその HTML を表示します。 事前生成された HTML ファイルが存在しない場合は、ヘルプブラウザは XML ファイルを HTML に変換します。
GNOME デスクトップに追加する新しいアプリケーションのヘルプを事前生成したい場合もあります。 使用している環境の容量制限が厳しい場合は、ヘルプの事前生成を行わない選択をすることもできます。