この章では、N1 System Manager を使用してディスクレスクライアントをデータセンター全体の管理対象サーバーにインストールする方法について説明します。Solaris と Linux の各オペレーティングシステムについては、第 2 章「UNIX オペレーティングシステムのプロビジョニング」を参照してください。Windows OS については、第 3 章「Windows オペレーティングシステムのプロビジョニング」を参照してください。
この章では、N1 System Manager を使用してディスクレスクライアントをプロビジョニングおよび管理する方法について説明します。この章では、次の内容について説明します。
「ディスクレスクライアント」とは、オペレーティングシステム、ソフトウェア、および記憶装置を「OS サーバー」に依存しているシステムのことです。ディスクレスクライアントは、そのルート (/)、/usr、およびその他のファイルシステムを OS サーバーからマウントします。ディスクレスクライアントは独自の CPU と物理メモリーを持っており、データをローカルで処理することができます。しかしディスクレスクライアントは、ネットワークから切り離されたり、その OS サーバーが正しく機能しない場合は機能できません。ディスクレスクライアントは、ネットワークを経由して継続的に機能する必要があるため、多大なネットワークトラフィックを発生させます。ディスクレスクライアントの概念的な概要については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「ディスクレスクライアント管理の概要」を参照してください。
N1 System Manager では、次のオペレーティングシステムのディスクレスクライアントがサポートされ、管理サーバーにインストールされている OS に直接関係します。
Solaris
Solaris DHCP: Solaris NFS、ローカル TFTP のみ、ローカル NFS サーバーのみ
ISC DHCP: Linux NFS、ローカルまたはリモートの TFTP、ローカルまたはリモートの NFS サーバー
ISC DHCP: Solaris NFS、ローカル TFTP のみ、ローカル NFS サーバーのみ
Red Hat Linux
Linux NFS、ローカルまたはリモートの TFTP、ローカルまたはリモートの NFS サーバー
Solaris NFS、ローカルまたはリモートの TFTP、ローカル NFS サーバーのみ
Linux initd、ローカルまたはリモートの TFTP、ローカルまたはリモートの NFS サーバー
ディスクレスクライアントのプロビジョニングプロセスは、専用のディスクがあるシステムのプロビジョニングプロセスと少し異なります。
ディスクレスクライアントのルートファイルシステムをエクスポートするように NFS を設定します。
ディスクレスクライアントのイメージへのリンクを設定します。詳細は、「ディスクレスクライアントのファイルシステムの設定」を参照してください。
ディスクレスクライアントの候補を検出します。詳細は、『Sun N1 System Manager 1.3 検出および管理マニュアル』の第 4 章「管理可能なサーバーの検出」を参照してください。
ディスクレスクライアントをインストールします。詳細は、「ディスクレスクライアントのインストール」を参照してください。
ディスクレスクライアントをアンインストールします。詳細は、「ディスクレスクライアントのアンインストール」を参照してください。ディスクレスクライアントをアンインストールしたら、ディスクレスクライアントの別のプロファイルを再インストールできます。
N1 System Manager を使用したディスクレスクライアントのロードを可能にするには、ディスクレスクライアントの管理サーバーを設定し、ディスクレスクライアントのイメージを管理サーバーにリンクする必要があります。
n1sh シェルにアクセスするか、N1 System Manager のブラウザでコマンド行に移動します。
N1-ok> |
ディスクレスクライアントのイメージへのリンクを定義するには、create os コマンドを使用します。
ディスクレスクライアントのイメージへのリンクを定義すると、デフォルトの OS プロファイルが自動的に作成されます。
N1-ok> create os os-name type os-type format diskless \ tftpserver ip kernelimage path-to-kernelimage \ bootimage1 path-to-bootimage1 bootimage2 path-to-bootimage2 |
条件:
os-name はディストリビューションのイメージの一意の名前です。os-name には、数字、文字、および一部の特殊文字を含むことができます。次の特殊記号は使用できません。コンマ (,)、アスタリスク (*)、一重引用符 (')、二重引用符 (“)、括弧 ()、疑問符 (?)、等号 (=)、復帰改行 (\)。
ip には、TFTP サーバーの IP アドレスを指定します。デフォルトは管理サーバーの IP アドレスです。
os-type には、ディスクレスクライアントのイメージのオペレーティングシステムを指定します。有効なディスクレスクライアントの種類は solaris および redhat です。
path-to-kernelimage は、TFTP サーバーのルートディレクトリを基準にした、カーネルイメージへのパスです。
path-to-bootimage1 は、TFTP サーバーのルートディレクトリを基準にした、最初の起動イメージへのパスです。
path-to-bootimage2 は、TFTP サーバーのルートディレクトリを基準にした、2 番目の起動イメージへのパスです。
次の例では、2 つに分割された起動イメージに基づく Solaris ディスクレスクライアントのイメージを定義しています。
N1-ok> create os my-diskless type solaris format diskless tftpserver 10.5.4.3 \ kernelimage images/diskless-kernel bootimage1 images/diskless-boot-1 bootimage2 images/diskless-boot-2 |
ここでは、ディスクレスクライアントの OS プロファイルを作成する手順を示します。OS プロファイルの作成は、Linux ディスクレスクライアントの NFS のオプションや RAM ディスクのサイズを定義するときに特に便利です。
ディスクレスクライアントの OS プロファイルを作成するには、create osprofile コマンドを使用します。
create osprofile osprofile os <os-name> desc <description> [nfsopts <nfsopts>[,nfsopts <nfsopts>]] [ramdisksize <ramdisksize>] |
条件:
osprofile は、OS プロファイルの一意の名前です。
os-name は、インストールする OS ディストリビューションの名前です。イメージのリンク時に定義したものです。
description は、プロファイルの説明で、省略可能です。
nfsopts には、オプション/値 の形式で NFS に固有の情報を指定します。これは省略可能です。
ramdisksize には、RAM ディスクのサイズを M バイト単位で指定します。デフォルト値は 512M バイトです。
次の例では、Linux のディスクレスクライアントの OS プロファイルを作成しています。
N1-ok> create osprofile my-diskless-pro os my-diskless desc "RedHat diskless client profile" nfsopts=rsize=8192, wsize=8192 ramdisksize=1048576 |
ディスクレスクライアントのインストールは、ディスクフルクライアントの起動に相当します。ディスクフルクライアントの OS 配備ジョブが完了したときには、OS がサーバーに正常にインストールされ、サーバーが正常に起動し、OS が実行されています。ディスクレスクライアントの OS 配備ジョブが完了したときには、ディスクレスクライアントの初期起動が完了しています。ディスクレスクライアントが正常に起動し、OS が実行されているかどうかを確認するには、シリアルコンソール機能を使用して管理対象サーバーの状態を監視します。
ここでは、CLI で load server コマンドを使用してディスクレスクライアントをインストールする手順を示します。
N1 System Manager のブラウザインタフェースからディスクレスクライアントをインストールすることもできます。「すべてのサーバー」表からサーバーを選択し、「アクション」から「OS プロファイルのロード」を選択するか、OS プロファイルを「タスクへのショートカット」からサーバー名までドラッグします。
ディスクレスクライアントとして使用する管理対象サーバーが N1 System Manager によって検出されていることを確認します。管理対象サーバーの検出については、『Sun N1 System Manager 1.3 検出および管理マニュアル』の第 4 章「管理可能なサーバーの検出」を参照してください。
ディスクレスクライアントのイメージを作成し、リンクします。「Solaris のディスクレスクライアントのイメージへのリンクを設定する」を参照してください。
ディスクレスクライアントをインストールするには、load server コマンドを使用します。
load server server[,server...] osprofile osprofile bootip bootip [diskless-client-installation-attributes] |
条件:
server はサーバーの管理名です。ディスクレスクライアントのプロファイルを複数のサーバーにインストールするには、サーバー名をコンマ (,) で区切ります。
osprofile は、OS のインストールに使用する OS プロファイルの名前です。
bootip (Linux のみ) には、サーバーのインストールに使用する、サーバーのプロビジョニングネットワークインタフェース用の IP アドレス (プロビジョニング IP ともいう) を指定します。IP アドレスの範囲、またはサブネットマスクを指定することもできます。IP アドレス範囲は次のように指定します: ip-address-ip-address。例: 10.0.0.1–10.0.0.3
diskless-client-installation-attributes には、複数のクライアント固有の属性が含まれます。
bootgateway bootgateway – (Linux のみ) サーバーのインストールに使用するゲートウェイです。
boothostname boothostname – (単一サーバーで Linux の場合のみ) サーバーのインストールに使用するホスト名です。
bootnameserver bootnameserver – (Linux のみ) サーバーのインストールに使用するネームサーバーです。
bootnetmask bootnetmask – (Linux のみ) サーバーのインストールに使用するネットマスクです。
bootnetworkdevice bootnetworkdevice – サーバーのインストールに使用するサーバーのプロビジョニングネットワークインタフェースです。Solaris で有効な値は、bge0 (デフォルト)、 bge1、bge2、bge3 です。Linux で有効な値は、eth0 (デフォルト)、eth1、eth2、eth3、eth4 です。Red Hat 4 OS を Sun Fire X2100 サーバーにインストールするときは、 bootnetworkdevice の値を eth1 に設定する必要があります。この場合は、デフォルト値を使用できません。
console console – インストールの監視に使用できる、サーバーのシステムコンソールのデバイス名です。デフォルトは ttys0 (Linux)、ttya (Solaris) です。
consolebaud consolebaud – サーバーのシステムコントロールのボーレートです。デフォルトは 9600 です。
nfsroot nfsroot – NFS のルートの場所です (例: 10.0.0.115:/my_roots/sol_a )。コンマで区切ったパスの一覧か、10.1.10.1:/diskless/home/1–40 のようにパスの範囲を指定できます。パスの範囲を指定する場合は、nfsroot ディレクトリの名前が数値である必要があります。initrd ベースのディスクレスクライアントには、この属性は必要ありません。
次の例では、サーバーに Solaris のディスクレスクライアントをインストールしています。
N1-ok> load server 10.1.10.11 osprofile solx86 bootip 10.1.10.11 nfsroot=10.1.10.1:/diskless/solx86 |
ここでは、CLI で load group コマンドを使用してディスクレスクライアントのグループをインストールする手順を示します。
N1 System Manager のブラウザインタフェースからディスクレスクライアントのグループをインストールすることもできます。「サーバーグループ」表からグループを選択し、「アクション」から「OS プロファイルのロード」を選択するか、OS プロファイルを「タスクへのショートカット」からグループ名までドラッグします。
ディスクレスクライアントとして使用する管理対象サーバーが N1 System Manager によって検出されていることを確認します。管理対象サーバーの検出については、『Sun N1 System Manager 1.3 検出および管理マニュアル』の第 4 章「管理可能なサーバーの検出」を参照してください。
ディスクレスクライアントのイメージを作成し、リンクします。「Solaris のディスクレスクライアントのイメージへのリンクを設定する」を参照してください。
ディスクレスクライアントのグループをインストールするには、load group コマンドを使用します。
load group group osprofile osprofile bootip bootip [excludeserver server[,server...] [diskless-client-installation-attributes] |
条件:
group は、サーバーグループの名前です。
osprofile は、OS のインストールに使用する OS プロファイルの名前です。
bootip (Linux のみ) には、サーバーのインストールに使用する、サーバーのプロビジョニングネットワークインタフェース用の IP アドレス (プロビジョニング IP ともいう) を指定します。IP アドレスの範囲、またはサブネットマスクを指定することもできます。IP アドレス範囲は次のように指定します: ip-address-ip-address。例: 10.0.0.1–10.0.0.3
excludeserver には、グループのインストールから除外する 1 つ以上のサーバーを指定します。server はサーバーの管理名です。
diskless-client-installation-attributes には、複数のクライアント固有の属性が含まれます。
bootgateway bootgateway – (Linux のみ) サーバーのインストールに使用するゲートウェイです。
boothostname boothostname – (単一サーバーで Linux の場合のみ) サーバーのインストールに使用するホスト名です。
bootnameserver bootnameserver – (Linux のみ) サーバーのインストールに使用するネームサーバーです。
bootnetmask bootnetmask – (Linux のみ) サーバーのインストールに使用するネットマスクです。
bootnetworkdevice bootnetworkdevice – サーバーのインストールに使用するサーバーのプロビジョニングネットワークインタフェースです。Solaris で有効な値は、bge0 (デフォルト)、 bge1、bge2、bge3 です。Linux で有効な値は、eth0 (デフォルト)、eth1、eth2、eth3、eth4 です。Red Hat 4 OS を Sun Fire X2100 サーバーにインストールするときは、 bootnetworkdevice の値を eth1 に設定する必要があります。この場合は、デフォルト値を使用できません。
console console – インストールの監視に使用できる、サーバーのシステムコンソールのデバイス名です。デフォルトは ttys0 (Linux)、ttya (Solaris) です。
consolebaud consolebaud – サーバーのシステムコントロールのボーレートです。デフォルトは 9600 です。
nfsroot nfsroot – NFS のルートの場所です (例: 10.0.0.115:/my_roots/sol_a )。コンマで区切ったパスの一覧か、10.1.10.1:/diskless/home/1–40 のようにパスの範囲を指定できます。パスの範囲を指定する場合は、nfsroot ディレクトリの名前が数値である必要があります。initrd ベースのディスクレスクライアントには、この属性は必要ありません。
次の例では、サーバーグループに Solaris のディスクレスクライアントをインストールしています。
N1-ok> load group my-diskless-group osprofile diskless-image bootip 10.5.5.2 |
N1 System Manager を使用したディスクレスクライアントの管理には、主に 2 つの作業があります。ディスクレスクライアントのアンインストールと、関連付けられた OS プロファイルに関する情報の表示です。
ディスクレスクライアントをアンインストールすると、クライアントとルートファイルシステムとの関連付けが削除されます。ディスクレスクライアントをアンインストールするには、unload server コマンドを使用します。ディスクレスクライアントのグループをアンインストールするには、unload group コマンドを使用します。詳細は、『Sun N1 System Manager 1.3 コマンド行リファレンスマニュアル』の「unload server」および『Sun N1 System Manager 1.3 コマンド行リファレンスマニュアル』の「unload group」を参照してください。
次の例では、Solaris のディスクレスクライアントをアンインストールしています。
N1-ok> unload server 10.1.10.11 |
定義されているディスクレスクライアントのプロファイルの一覧を表示するには、show os all コマンドを使用します。「形式」列で diskless を探します。特定のプロファイルに関する詳細情報を表示するには、show os os-name コマンドを使用します。
次の例では、ディスクレスクライアントの OS プロファイルに関する情報を表示する方法を示しています。最初のコマンドでは、管理サーバーのすべての OS プロファイルを表示しています。2 番目のコマンドでは、1 つのディスクレスクライアントの OS プロファイルに関する追加情報を表示しています。
N1-ok> show os all ID 名前 形式 種類 バージョン 1 RedHatAS3u5 diskful redhat redhat-as3 2 Solaris10x86 diskful solaris solaris10x86 3 SusePro93 diskful suse suse-pro93 6 nfs diskless redhat nfs 5 image diskless redhat image 4 WS2k3Ent diskful windows 2003EE 7 SolarisX86 diskless solaris nfs 8 SolarisSparc diskless solaris nfs N1-ok> show os image ID: 5 名前: image 形式: diskless 種類: redhat バージョン: image カーネル: diskless/dl_kernel_image ブートイメージ 1.: diskless/dl_initrd_image ブートイメージ 2: Tftp サーバー: |