この章では、クラスタのペアで Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをアップグレードする方法について説明します。インストールされている Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをアップグレードするには、既存のバージョンの Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをアンインストールして、アップグレードされたバージョンのソフトウェアをインストールします。
この章の内容は次のとおりです。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのアップグレードは、稼動中のクラスタに対し、稼動を中断することなく行えます。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのインストールプロセスでは Sun Cluster ソフトウェアを再起動する必要がないため、クラスタはサービスを実行したまま運用状態を持続します。また、稼動を中断することなく、アップグレードプロセスを使用して Sun Cluster Geographic Edition のパッチをインストールすることもできます。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアの構成データは、アップグレードプロセスを経ても保持されます。
ソフトウェアのアップグレードを開始する前に、各クラスタのノードごとに、クラスタ構成に必要なパッチがすべてインストールされているか確認してください。
パッチの場所とインストール手順については、『Sun Cluster Geographic Edition 3.1 2006Q4 ご使用にあたって』の「必要なパッチ」を参照してください。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのアップグレードは、アップグレードしようとするクラスタとパートナーシップを持っているすべてのクラスタのすべてのノードで行う必要があります。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのアップグレードプロセス中に Solaris OS をアップグレードする場合は、その前に Sun Cluster Geographic Edition パッケージを削除しておく必要があります。
この節では、Sun Cluster Geographic Edition 構成のアップグレードに関する次の情報について説明します。
クラスタを Sun Cluster Geographic Edition 2006 3.1 Q4 ソフトウェアにアップグレードする際は、アップグレードしようとするクラスタとパートナーシップを持っているすべてのクラスタで、次の要件とソフトウェアサポートのガイドラインを確認してください。
サポートされているハードウェア - クラスタハードウェアは、Sun Cluster Geographic Edition 2006 3.1 Q4 ソフトウェアに対してサポートされた構成である必要があります。現在サポートされている Sun Cluster Geographic Edition 構成については、Sun の担当者にお問い合わせください。
Solaris OS の最小バージョン - クラスタが少なくとも Solaris OS 8 ソフトウェアの初回リリースで動作しているか、または必要な最新のパッチを含め、クラスタが Solaris OS 8 ソフトウェアの初回リリースにアップグレードされている必要があります。
アップグレードしようとするクラスタとパートナーシップを持っているすべてのクラスタで次の手順を実行し、Sun Cluster Geographic Edition レイヤーを本稼動から削除します。Solaris 10 OS では、すべての手順を大域ゾーンだけから実行します。
高可用性アプリケーションは、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのアップグレード中も停止しません。
クラスタ構成が、アップグレードの必要条件を満たしていることを確認します。詳細は、「アップグレード要件とソフトウェアサポートのガイドライン」を参照してください。
Solaris OS、Sun Cluster Geographic Edition 2006 3.1 Q4 ソフトウェアなど、アップグレードしようとするすべてのソフトウェア製品について、それらのインストールメディア、マニュアル、およびパッチを用意します。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのアップグレードプロセス中に Solaris OS またはその他のアプリケーションをアップグレードする場合は、その前に Sun Cluster Geographic Edition パッケージを削除しておく必要があります。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのアンインストールについては、「アンインストールの概要」を参照して適切なアンインストール方法を判断してください。
クラスタが正常に機能していることを確認してください。
クラスタの現在の状態を表示するには、任意のノードから次のコマンドを実行します。
% scstat |
詳細は、scstat(1M) のマニュアルページを参照してください。
同じノード上の /var/adm/messages ログに、解決されていないエラーや警告メッセージがないかどうかを確認します。
ボリューム管理の状態を確認します。
クラスタのノードで、スーパーユーザーになります。
% su |
保護グループからすべてのアプリケーションリソースグループを除去します。
高可用性アプリケーションは、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのアップグレード中も停止しません。
# geopg remove-resource-group resourcegroup protectiongroupname |
詳細は、geopg(1M) のマニュアルページを参照してください。
このクラスタとパートナーシップを持っているすべてのクラスタで、上記の手順を繰り返します。
クラスタ上でアクティブになっているすべての保護グループを停止します。
# geopg stop protectiongroupname -e local | global |
詳細は、geopg(1M) のマニュアルページを参照してください。
Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーを停止します。
# geoadm stop |
詳細は、geoadm(1M) のマニュアルページを参照してください。
クラスタ上で Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをアップグレードします。「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをアップグレードする」に進みます。
この手順はクラスタのすべてのノード上で実施してください。この手順は、複数のノードで同時に行えます。
クラスタがパートナーシップにある場合は、両方のパートナーを Sun Cluster Geographic Edition 2006 3.1 Q4 ソフトウェアにアップグレードしたあとで、Sun Cluster Geographic Edition 2006 3.1 Q4 ソフトウェアを起動できます。
GUI で uninstaller ユーティリティーを使用するには、インストール作業を行うクラスタノードの表示環境を、GUI を表示するように設定します。
% xhost + % setenv DISPLAY nodename:0.0 |
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをアンインストールするノードまたはクラスタでルートになります。
% su |
Sun Cluster Geographic Edition 3.1 8/05 ソフトウェアのアンインストール
Solaris OS 10 を使用している場合は、『Sun Cluster Geographic Edition 3.1 8/05 ご使用にあたって』の「Sun Cluster Geographic Edition インストーラが Solaris 10 上で動作しない (6350105)」を参照してください。
Solaris OS 8 または 9 を使用している場合は、『Sun Cluster Geographic Edition のインストール』の「Solaris OS 9 および 10 での Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのアンインストール」を参照してください。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのシャットダウン中にアプリケーションを実行したままにする方法については、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアの無効化」を参照してください。
すべてのノードがクラスタに含まれていて、オンラインになっていることを確認します。
クラスタの現在の状態を表示するには、任意のノードから次のコマンドを実行します。
% scstat |
詳細は、scstat(1M) のマニュアルページを参照してください。
同じノード上の /var/adm/messages ログに、解決されていないエラーや警告メッセージがないかどうかを確認します。
共通エージェントコンテナ 1.1 にアップグレードします。
詳細は、『Sun Java Enterprise System 2006Q3 Upgrade Guide』の「Upgrading Common Agent Container」を参照してください。
第 2 章「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのインスール」の説明に従って Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをインストールします。
「パッチのインストール」の説明に従ってすべての必要なパッチをインストールします。
このクラスタとパートナーシップを持っているすべてのクラスタで、上記の手順を繰り返します。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをクラスタのすべてのノードにインストールしたら、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアを有効にします。
# geoadm start |
両方のパートナークラスタ上のすべてのハートビートから、ICRM プラグインを削除します。
phys-paris-1 # geohb remove-plugin icrm_plugin hb_paris~new-york phys-paris-1 # geohb remove-plugin icrm_plugin hb_new-york~paris phys-newyork-1 # geohb remove-plugin icrm_plugin hb_paris~new-york phys-newyork-1 # geohb remove-plugin icrm_plugin hb_new-york~paris |
クラスタのアップグレードの準備中に削除したすべてのアプリケーションリソースを、保護グループに再度追加します。
# geopg add-resource-group resourcegroup protectiongroupname |
詳細は、geopg(1M) のマニュアルページを参照してください。
追加したすべての保護グループを起動します。
# geopg start protectiongroupname -e local | global [-n] |
詳細は、geopg(1M) のマニュアルページを参照してください。
「Sun Cluster Geographic Edition 2006 3.1 Q4 ソフトウェアのアップグレードの確認方法 」に進みます。
この手順を実行して、クラスタが Sun Cluster Geographic Edition 2006 3.1 Q4 ソフトウェアに正常にアップグレードされたことを確認します。Solaris 10 OS では、すべての手順を大域ゾーンだけから実行します。
アップグレードするすべてのクラスタノードで、すべてのアップグレード手順が完了していることを確認します。
各ノードで、ルートになります。
アップグレードした各ノードで、インストールされている Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのレベルを表示します。
# geoadm -V |
出力の最初の行は、どのバージョンの Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでノードが動作しているかを示します。このバージョンはアップグレードするバージョンと一致していなければなりません。
geoadm -v コマンドが返すバージョン番号は、マーケティングリリースのバージョン番号とは一致しません。Sun Cluster Geographic Edition 2006 3.1 Q4 ソフトウェアのバージョン番号は 1.1 となっているはずです。
クラスタが正常に稼動していることを確認してください。
# geoadm status |
(省略可能) スイッチオーバーを実行して、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアが正しくインストールされたことを確認することもできます。
# geopg switchover |
スイッチオーバーを妨げる問題がないことを確認するため、地理的に離れたクラスタを適切にテストする必要があります。二次クラスタを先にアップグレードし、その二次クラスタにスイッチオーバーすることで、スイッチオーバーが引き続き動作することを確認できます。スイッチオーバーが失敗した場合は、主サイトは変更されず、スイッチバックできます。スイッチオーバーが二次サイトに対して動作する場合は、一定の「保持時間」が経過したあとに、主サイトも同様にアップグレードできます。
スイッチオーバーの際、クラスタで実行中のサービスが中断することがあります。スイッチオーバーを実行する前に、必要な作業とリソースについて注意深く計画を立ててください。
アプリケーションリソースグループを保護グループに追加して戻した場合にスイッチオーバーを実行すると、元の主クラスタ上のアプリケーションがシャットダウンし、アプリケーションが二次クラスタに移行します。