Sun Cluster Geographic Edition のインストール

第 1 章 Sun Cluster Geographic Edition のインストールの計画

この章では、Sun Cluster をインストールする際の計画情報とガイドラインについて説明します。また、2 つのクラスタ間でのデータ複製を計画する方法についても説明します。

この章の内容は次のとおりです。

インストールプロセス

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアを正しくインストールするには、次のインストール段階を完了する必要があります。

  1. インストールの計画

  2. ハードウェアの接続

  3. Sun Cluster ソフトウェアのインストール

  4. データ複製製品のインストール

  5. 必要なソフトウェアのインストールと構成

  6. Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのインスール

  7. Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアの構成

このインストールプロセスは、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアの初期計画段階から、最終的な起動へと進んでいきます。このマニュアルでは段階 1、6、および 7 について説明します。

Sun Cluster ソフトウェアのインストールについては、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』を参照してください。

起動後のクラスタの構成については、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』を参照してください。

クラスタハードウェアの計画

ここでは、主クラスタ、二次クラスタ、およびクラスタ間通信用にハードウェアを計画する方法を説明します。

Sun Cluster Geographic Edition ハードウェアは次の要素から構成されます。

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでサポートされているハードウェア構成は、Sun Cluster 製品でサポートされているハードウェア構成と同じです。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをストレージベースのデータ複製メカニズムとともに使用するため、クラスタハードウェアは関連するストレージハードウェアをサポートするように構成されます。パートナークラスタは、クラスタ間でのデータ複製をサポートするように、互換性を持たせて構成する必要があります。Sun Cluster Geographic Edition 製品を Hitachi TrueCopy データ複製に使用するには、 Sun StorEdgeTM 9970/9980 Array 、または Hitachi TrueCopy コマンドインタフェースをサポートする Hitachi Lightning 9900 シリーズストレージを用いた Sun Cluster 構成が必要です。

パートナークラスタ間ではインターネットアクセスが必要です。クラスタ間管理処理のためのパートナークラスタ間での通信は、論理ホスト名 IP アドレスを介して行われます。デフォルトのクラスタ間ハートビートモジュールも、論理ホスト名アドレスを介して通信します。

Sun Cluster Geographic Edition パートナーシップ内のクラスタは、Sun Cluster ソフトウェアを実行するクラスタの標準的な構成規則に従います。

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアとデータ複製製品を併用するクラスタは、Sun Cluster ソフトウェアを使用してデータ複製製品を稼動させるクラスタの標準的なハードウェア構成規則に従います。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをストレージベースのデータ複製メカニズムとともに使用するため、クラスタハードウェアは関連するストレージハードウェアをサポートするように構成されます。パートナークラスタは、クラスタ間でのデータ複製をサポートするように、互換性を持たせて構成する必要があります。

必要なソフトウェアの計画

ここでは、Sun Cluster ソフトウェアの構成を、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのインストール用に適合させる方法を説明します。また、データ複製ソフトウェアのインストールの計画方法についても説明します。

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは、Solaris オペレーティングシステム と Sun Cluster ソフトウェアを実行しているクラスタにインストールする必要があります。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアの構成は、Sun Cluster ソフトウェアの構成と同じです。

必要なソフトウェア

次の表に、必要なソフトウェアを示します。

表 1–1 必要なソフトウェア

ソフトウェア 

バージョン 

オペレーティングシステム 

  • Solaris 8、9、または 10 (SPARC® Platform Edition)

  • Solaris 10 (x64 Platform Edition)

Sun Cluster ソフトウェア 

Sun Cluster 3.1, 8/05 

このバージョンには、Sun Cluster 3.1 8/05 SunPlexTM Manager をサポートするバージョン 1.1 の共通エージェントコンテナが含まれています。Sun Cluster Geographic Edition 製品は、Sun Cluster SunPlex Manager と同じ共通エージェントコンテナインフラストラクチャーを使用します。

/opt/SUNWcacao/bin にある共通エージェントコンテナ 1.1 を使用する必要があります。使用している共通エージェントコンテナのバージョンを確認するには、/opt/SUNWcacao/bin/cacaoadm -V コマンドを使用します。


注 –

Sun Java Enterprise System 2006Q4 上のバージョンの Sun Cluster ソフトウェアでは、Solaris OS 8 上のインストールはサポートされていません。Solaris OS 8 がインストールされている場合は、Sun Java Enterprise System 2005Q4 から Sun Cluster ソフトウェアをインストールする必要があります。


ボリューム管理ソフトウェア 

  • Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 ソフトウェアとの併用: Solaris Volume Manager ソフトウェアまたは VERITAS Volume Manager ソフトウェア

  • Hitachi TrueCopy ソフトウェアと共に使用する場合: VERITAS Volume Manager ソフトウェア


注 –

Sun Cluster Geographic Edition を Solaris OS x64 Platform Edition 上で稼動している場合は、VERITAS Volume Manager ソフトウェアはサポートされません。


データ複製ソフトウェア 

  • Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 ソフトウェア

  • Hitachi TrueCopy RAID Manager/Solaris のバージョン:

    • 最低 01–18–03/06 (x64 の場合)

    • 最低 01–10–03/02 (SPARC の場合)

  • EMC Symmetrix Remote Data Facility SymCLI 6.0.1 およびマイクロコード 5670 ソフトウェア

Sun Cluster Geographic Edition 

Sun Cluster Geographic Edition 2006 3.1 Q4 

データ複製ソフトウェアの計画

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアとデータ複製製品を併用するクラスタは、Sun Cluster ソフトウェアを使用してデータ複製製品を稼動させるクラスタの標準的なハードウェア構成規則に従います。パートナークラスタには、クラスタ間でのデータ複製をサポートするために、互換性のあるソフトウェア構成が必要です。

Sun Cluster Geographic Edition 製品は、次のデータ複製製品をサポートしています。

Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 ソフトウェア はホストベースの複製方式です。この方式は、1 台のサーバーから二次サーバーに対する複製を制御するホスト上にインストールされたソフトウェアから構成されます。

Hitachi TrueCopy および EMC Symmetrix Remote Data Facility の複製では、ストレージベースの方式を使用します。この方式では、ストレージハードウェアに組み込まれた複製を使用します。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは Oracle Real Application Clusters と Hitachi TrueCopy ソフトウェアの組み合わせをサポートしています。

Hitachi TrueCopy RAID Manager ソフトウェアまたは EMC Symmetrix Remote Data Facility ソフトウェアを使用する場合は、クラスタの各ノードにソフトウェアをインストールする必要があります。

リソースおよびリソースグループ名の計画

パートナーシップでは 2 つのクラスタを組み合わせて 1 つの環境とする必要があり、稼働中の運用システムが一方のクラスタとして使用されることもあります。そのため、インストールを成功させるには、リソースとリソースグループの事前計画が重要になります。

リソースとリソースグループ名の競合を避けるため、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでは、各パートナークラスタ上でリソースグループ名が同一である必要があります。

必要な IP アドレスとホスト名の計画

インストールプロセスを開始する前に、必要な IP アドレスとホスト名をすべて用意する必要があります。クラスタ構成によっては、Sun Cluster Geographic Edition のさまざまなコンポーネントに多数の IP アドレスを設定する必要があります。クラスタ構成内の各ノードには、サブネットの同じセットのパブリックネットワーク接続が少なくとも 1 つ必要です。クラスタ名、および各クラスタノードについて、それぞれ IP アドレスが必要になります。また、データ複製製品用に追加の IP アドレスが必要になる場合もあります。データ複製の構成要件については、次のデータ複製ガイドを参照してください。

IP アドレスを必要とするコンポーネントの一覧は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』「IP アドレス」を参照してください。使用する任意のネームサービスにこれらの IP アドレスを追加してください。また、Solaris ソフトウェアをインストールしたあとで、各クラスタノードのローカル /etc/inet/hosts ファイルにもこれらの IP アドレスを追加します。

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアはクラスタ名を使用して論理ホスト名を作成します。そのため、クラスタ名はホスト名として適したものにする必要があります。したがって、クラスタ名はネーミングシステム内に存在する必要があります。

クラスタ名は一意にする必要もあります。たとえば、ドメイン .france の内部に完全に収まるクラスタの場合は、parisgrenoble などのホスト名を使用できます。しかし、クロスドメインクラスタの場合は、ネットワーク上のホストを識別できるほど十分に限定されたホスト名を指定する必要があります。paris および munich をホスト名 paris.france および munich.germany とリンクし、クラスタ名を paris および munich のままにしておくことができます。

クラスタ paris.france および paris.texas の間にパートナーシップを作成することはできません。クラスタ名 paris と衝突するからです。

Sun Cluster Geographic Edition 環境の準備

この節では、Sun Cluster ソフトウェアのインストールの計画と、以下のコンポーネントの準備について説明します。

ライセンス

ソフトウェアのインストールを開始する前に、必要なすべてのライセンス証明書を用意しておきます。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアはライセンス証明書を必要としません。ただし、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアがインストールされる各ノードは、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのライセンス契約の対象である必要があります。

データ複製ソフトウェアやアプリケーションソフトウェアのライセンス必要条件については、該当する製品のインストールマニュアルを参照してください。

論理アドレス

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは、クラスタ間管理通信とハートビート通信用に、クラスタの論理ホスト名を使用します。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアが geoadm start コマンドを使用して起動されている場合は、クラスタ名用の IP アドレスを論理ホスト名で包み込めるように、ソフトウェアからクラスタ名用の IP アドレスを使用できる必要があります。

クラスタ名がホスト名としての使用に適していることを確かめる必要がある場合は、scconf コマンドを使用してクラスタの名前を知ることができます。

クラスタの名前を知るには、次のコマンドを実行します。


# scconf -p | head -2

詳細は、scconf(1M) のマニュアルページを参照してください。