この節では、Hitachi TrueCopy データ複製デバイスグループを管理する方法について説明します。内容は次のとおりです。
Hitachi TrueCopy データ複製保護グループの構成についての詳細は、「Hitachi TrueCopy 保護グループを作成および構成する (Oracle Real Application Clusters を使用しない場合)」を参照してください。
クラスタノードの 1 つにログインします。
この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC の詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
保護グループ内にデータ複製デバイスグループを作成します。
このコマンドは、ローカルクラスタ上の保護グループにデバイスグループを追加します。そして、パートナークラスタに同じ名前の保護グループが含まれている場合、その新しい構成をパートナークラスタに伝達します。
# geopg add-device-group -p property [-p...] devicegroupname protectiongroupname |
データ複製デバイスグループのプロパティーを指定します。
デバイスグループによって使用されるフェンスレベルを定義する Fence_level プロパティーを指定できます。フェンスレベルにより、そのデバイスグループの主ボリュームと二次ボリューム間の整合性のレベルが決定されます。
このプロパティーを data、status、 never、または asyncに設定できます。Fence_level を never または async に設定した場合、二次クラスタに障害が発生したあとでも、アプリケーションは主クラスタに書き込みを続けることができます。しかし、Fence_level プロパティーを data または status に設定した場合は、次のような理由で二次クラスタが利用できないため、主クラスタのアプリケーションに障害が発生する可能性があります。
データ複製リンクに失敗した
二次クラスタとストレージが停止している
二次クラスタのストレージが停止している
主クラスタにおけるアプリケーション停止を防ぐには、Fence_level を never または async に指定します。
never の Fence_level を指定した場合、テイクオーバーを実行したあと、データ複製ロールが変わりません。
data または status の Fence_level を使用する特別なニーズがある場合は、ご購入先に問い合わせてください。
さまざまなフェンスレベルに関連したアプリケーションエラーの詳細は、『Sun StorEdge SE 9900 V Series Command and Control Interface User and Reference Guide』を参照してください。
ほかにどのようなプロパティーが指定できるかは、使用しているデータ複製の種類によって異なります。これらのプロパティーについての詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の付録 A「Sun Cluster Geographic Edition の標準プロパティー」を参照してください。
新しいデータ複製デバイスグループの名前を指定します。
新しいデータ複製デバイスグループを追加する保護グループの名前を指定します。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでサポートされる名前と値の詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の付録 B「Sun Cluster Geographic Edition エンティティーに使用できる名前と値」を参照してください。
geopg コマンドの詳細は、geopg(1M) のマニュアルページを参照してください。
|
この例では、tcpg 保護グループに Hitachi TrueCopy データ複製デバイスグループを作成します。
# geopg add-device-group -p Fence_level=data devgroup1 tcpg |
/etc/horcm.conf ファイルで dev_group として構成されている Hitachi TrueCopy デバイスグループを保護グループに追加するとき、データ複製層は次の検証を行います。
保護グループの Nodelist プロパティーで指定されている 1 つ以上のノードで horcmd デーモンが動作しているかどうかを検証します。
horcmd デーモンについての詳細は、『Sun StorEdge SE 9900 V Series Command and Control Interface User and Reference Guide』を参照してください。
Nodelist プロパティーに指定されているすべてのノードからストレージデバイスへのパスが存在しているかどうかを検査します。このストレージデバイスが新しい Hitachi TrueCopy デバイスグループを制御します。
次の表に、geopg add-device-group コマンドに指定された Hitachi TrueCopy デバイスグループプロパティーを検証する方法を示します。
Hitachi TrueCopy デバイスグループプロパティー |
検証 |
---|---|
devicegroupname |
指定された Hitachi TrueCopy デバイスグループが Nodelist プロパティーに指定されているすべてのクラスタノードで構成されているかどうかを検査します。 |
Fence_level |
この Hitachi TrueCopy デバイスグループ用にペアがすでに確立されている場合、データ複製層は、指定された Fence_level がすでに確立されているフェンスレベルと一致するかどうかを検査します。 ペアがまだ確立されていない場合 (ペアが SMPL 状態のときなど) は、どの Fence_level でも受け入れられます。 |
Hitachi TrueCopy デバイスグループが保護グループに追加されるとき、このコマンドによって、Sun Cluster リソースが自動的に作成されます。このリソースはデータ複製を監視します。リソースの名前は、r-tc-protectiongroupname -devicegroupname です。このリソースは、対応する Sun Cluster リソースグループに置かれます。このリソースグループの名前は、rg-tc-protectiongroupname です。
これらの複製リソースを Sun Cluster コマンドで変更する場合は注意する必要があります。これらのリソースは内部実装専用です。
検証のため、Sun Cluster Geographic Edition は各 Hitachi TrueCopy デバイスグループに、そのペアの現在の状態に従った状態を与えます。この状態は、pairvolchk -g <DG> -ss コマンドで返されます。
この節の残りの部分では、個々のデバイスグループ状態と、保護グループのローカルな役割に照らしてこれらの状態を検証する方法について説明します。
個々の Hitachi TrueCopy デバイスグループは、次に示す状態のいずれかになります。
SMPL
Regular Primary
Regular Secondary
Takeover Primary
Takeover Secondary
特定のデバイスグループの状態を判断するには、pairvolchk -g <DG> -ss コマンドで返される値を使用します。次の表に、pairvolchk コマンドで返される値に関連付けられたデバイスグループ状態を示します。
表 2–1 個々の Hitachi TrueCopy デバイスグループ状態
pairvolchk の出力 |
個々のデバイスグループ状態 |
---|---|
11 = SMPL |
SMPL |
22 / 42 = PVOL_COPY 23 / 42 = PVOL_PAIR 26 / 46 = PVOL_PDUB 47 = PVOL_PFUL 48 = PVOL_PFUS |
Regular Primary |
24 / 44 = PVOL_PSUS 25 / 45 = PVOL_PSUE これらの戻りコードで個々のデバイスグループのカテゴリを判断するためには、リモートクラスタの horcmd プロセスをアクティブにし、該当するデバイスグループの remote-pair-state 取得できるようにする必要があります。 |
Regular Primary (remote-cluster-state !=SSWS の場合) または Takeover Secondary (remote-cluster-state == SSWS の場合) SSWS (pairdisplay -g <DG> -fc コマンドを使用する場合)。 |
32 / 52 = SVOL_COPY 33 / 53 = SVOL_PAIR 35 / 55 = SVOL_PSUE 36 / 56 = SVOL_PDUB 57 = SVOL_PFUL 58 = SVOL_PFUS |
Regular Secondary |
34 / 54 = SVOL_PSUS |
Regular Secondary (local-cluster-state !=SSWS の場合) または Takeover Primary (local-cluster-state == SSWS の場合) SSWS (pairdisplay -g <DG> -fc コマンドを使用する場合)。 |
保護グループに Hitachi TrueCopy デバイスグループ 1 つだけが含まれている場合、全体的なデバイスグループ状態は個々のデバイスグループ状態と同じです。
次の表に、保護グループに複数の Hitachi TrueCopy デバイスグループが含まれているときに、全体的なデバイスグループ状態を取得する方法を示します。
表 2–2 全体的なデバイスグループ状態を判断する条件
条件 |
全体的なデバイスグループ状態 |
---|---|
個々のデバイスグループ状態がすべて SMPL である場合 |
SMPL |
個々のデバイスグループ状態がすべて Regular Primary または SMPL である場合 |
Regular Primary |
個々のデバイスグループ状態がすべて Regular Secondary または SMPL である場合 |
Regular Secondary |
個々のデバイスグループ状態がすべて Takeover Primary または SMPL である場合 |
Takeover Primary |
個々のデバイスグループ状態がすべて Takeover Secondary または SMPL である場合 |
Takeover Secondary |
個々のデバイスグループ状態のほかのどんな組み合わせでも全体的なデバイスグループ状態を取得できません。これは、ペア状態検証エラーとみなされます。
次の表に、全体的なデバイスグループ状態に照らして Hitachi TrueCopy 保護グループのローカルな役割を検証する方法を示します。
表 2–3 保護グループのローカルな役割に照らして全体的なデバイスグループ状態を検証する
全体的なデバイスグループ状態 |
保護グループの有効なローカルな役割 |
---|---|
SMPL |
primary または secondary |
Regular Primary |
primary |
Regular Secondary |
secondary |
Takeover Primary |
primary |
Takeover Secondary |
secondary |
この例では、Hitachi TrueCopy デバイスグループが属する Hitachi TrueCopy 保護グループの役割に照らしてこのデバイスグループの状態を検証します。
まず、次のように、保護グループを作成します。
phys-paris-1# geopg create -s paris-newyork-ps -o primary -d truecopy tcpg |
次のように、デバイスグループ devgroup1 を保護グループ tcpg に追加します。
phys-paris-1# geopg add-device-group -p fence_level=async devgroup1 tcpg |
Hitachi TrueCopy デバイスグループ devgroup1 の現在の状態は、pairdisplay コマンドの出力に示されます。
phys-paris-1# pairdisplay -g devgroup1 Group PairVol(L/R) (Port#,TID,LU),Seq#,LDEV#,P/S,Status,Fence,Seq#,P-LDEV# M devgroup1 pair1(L) (CL1-A , 0, 1) 12345 1..P-VOL PAIR ASYNC,54321 609 - devgroup1 pair1(R) (CL1-C , 0, 20)54321 609..S-VOL PAIR ASYNC,----- 1 - devgroup1 pair2(L) (CL1-A , 0, 2) 12345 2..P-VOL PAIR ASYNC,54321 610 - devgroup1 pair2(R) (CL1-C , 0,21) 54321 610..S-VOL PAIR ASYNC,----- 2 - |
pairvolchk -g <DG> -ss コマンドを実行すると、値 23 が戻ります。
phys-paris-1# pairvolchk -g devgroup1 -ss parivolchk : Volstat is P-VOL.[status = PAIR fence = ASYNC] phys-paris-1# echo $? 23 |
pairvolchk コマンドの出力は 23 です。これは、表 2–1 内で、Regular Primary の個々のデバイスグループ状態に対応します。保護グループにはデバイスグループが 1 つだけ含まれているため、全体的なデバイスグループ状態は個々のデバイスグループ状態と同じです。-o オプションで指定した保護グループのローカルな役割は、表 2–3 からわかるように primary です。このため、このデバイスグループ状態は有効です。
クラスタノードの 1 つにログインします。
この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC の詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
デバイスグループを変更します。
このコマンドは、ローカルクラスタ上の保護グループに存在するデバイスグループのプロパティーを変更します。このコマンドは次に、パートナークラスタに同じ名前の保護グループが含まれている場合、新しい構成をパートナークラスタに伝達します。
# geopg modify-device-group -p property [-p...] \ TCdevicegroupname protectiongroupname |
データ複製デバイスグループのプロパティーを指定します。
設定できるプロパティーの詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の付録 A「Sun Cluster Geographic Edition の標準プロパティー」を参照してください。
新しいデータ複製デバイスグループの名前を指定します。
新しいデータ複製デバイスグループを追加する保護グループの名前を指定します。
この例では、Hitachi TrueCopy 保護グループの一部であるデータ複製デバイスグループのプロパティーを変更します。
# geopg modify-device-group -p fence_level=async tcdg tcpg |
保護グループにデータ複製デバイスグループを追加した場合、保護グループからそのデータ複製デバイスグループを削除することがあります。通常、ディスクセットに書き込むようにアプリケーションを構成したあとでそのディスクを変更することはありません。
データ複製デバイスグループを削除しても、複製は停止せず、またデータ複製デバイスグループの複製状態は変更されません。
保護グループを削除する方法については、「Hitachi TrueCopy 保護グループを削除する方法」を参照してください。保護グループからアプリケーションリソースグループを削除する方法については、「Hitachi TrueCopy 保護グループからアプリケーションリソースグループを削除する方法」を参照してください。
クラスタノードの 1 つにログインします。
この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC の詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
デバイスグループを除去します。
このコマンドは、ローカルクラスタ上の保護グループからデバイスグループを除去します。このコマンドは次に、パートナークラスタに同じ名前の保護グループが含まれている場合、新しい構成をパートナークラスタに伝達します。
# geopg remove-device-group devicegroupname protectiongroupname |
データ複製デバイスグループの名前を指定します
保護グループの名前を指定します
Hitachi TrueCopy 保護グループからデバイスグループが削除されるとき、対応する Sun Cluster リソース r-tc-protectiongroupname-devicegroupname が複製リソースグループから除去されます。結果として、それ以降、削除されたデバイスグループは監視されません。リソースグループは、保護グループが削除されるときに除去されます。
この例では、Hitachi TrueCopy データ複製デバイスグループを削除します。
# geopg remove-device-group tcdg tcpg |